ゲーム感想(迷宮の花)※R-18

作品名:迷宮の花
サークル:Dry Parsley
ジャンル:RPG
総合評価:B

3Dダンジョン系のRPG。
戦闘能力も何もない主人公は、Hをすると女の子の能力を一時的にあげることができるという力を頼りに、女性冒険者を募ってダンジョンを探索する――というのがゲームの流れ。
それ以上でも以下でもなく、印象としてはシンプルでスマート。
ただ、少しスマートにしすぎたかな、感はある。

戦闘はアクティブウェイトバトル。
行動順は敏捷度で決まり、順番がきたら一人ひとりが行動できるというタイプ。
推奨レベルよりあまりにも低いとどうにもならないが、多少低いくらいであれば戦術でどうにかならないこともない、というバランス。この辺りは良かったところだと思う。
スキルについても似たような職業でも差異があり、組み合わせなどを考えるのも楽しみの一つだ。
逆に、もう少し調整がいるのではないか、というところが、隊列の関係。
キャラクターごと隊列は固定で、前衛・中衛・後衛とあるのだが、攻撃の受け方の違いが気のせいレベルの違いでしかない。後衛であってもガンガン攻撃がとんでくるため、HPが低い上にレベルが低い新規加入の魔術師系職が何度も倒れ、ストレスがたまる。

システム的なところでは、このゲームではショップ・ギルド・ダンジョンの入り口・ダンジョンの4か所だけが存在しているわけだが、セーブできるのはダンジョンのボス戦直前を除けば、ダンジョンの入り口だけである。しかし、宿に泊まる(Hする)・パーティーを入れ替える・討伐依頼で強敵と戦う、といった、今セーブしたい、という部分が発生するのはギルドであり、宿に泊まって回復→一度ダンジョンの入り口に行ってセーブ→ギルドに戻って討伐依頼という、ひと手間多いことを繰り返すことになった。ダンジョン外のセーブ地点をギルドにするわけにはいかなかったのだろうか。もしかすると動作を軽くするための何か技術上の関係なのかもしれないが、少々面倒ではある。

クエストポイントの設定も少々難あり。エンディングが流れた時点で一番高いポイント交換アイテム50000、装備品関連10000に対し、討伐依頼の最高値が700。討伐が3連戦で、高い報酬のところは当然敵も強いため、1戦がかなりの時間を要するので、とてもじゃないけれどやってられない。まあ、必要かと言えば装備はダンジョンで拾う分で充分強くなれるため、コレクターアイテムとして考えるのなら納得できなくもないが。

Hに関しては、導入もシンプル。行為もキャラごとのモーションの違いはあれ、基本同じなため、作業感は否めない。シーンスキップ設定を用意したのは正解とは思う。事後の1枚絵表示はかなり好き。

エンディングまでが非常に短い。仲間にしたキャラクターの使い方が少しわかってきたくらいのところでエンディングを迎えてしまう。仲間もそろったしここからやるぞ!という気になっていた分、かなりの肩透かしをくらった気分だった。エンディング後にもダンジョンの更に先に潜って行けたり、2週目全員そろった状態で難易度変更してプレイできるというところもあるが、やはりちょっと物足りない。仲間はこれ以上増やさなくてもいいので、エンディング時点までを序章とし、もう少しシナリオがほしい。
シナリオ自体も非常に淡泊の上、ちょっとおざなり感がある。主人公は一切戦えない設定なのに、姫様を助けた後、称賛を主人公が受けている。リーダーとして何か指揮をしていたという描写もなく(実際にコマンド選択はプレイヤーなので、主人公が指揮しているととれなくもないが)、何をもってそんなに頼りになりそうに見えたのか、自身の冒険者としての処遇を預けるほど主人公にいれこんだのか、あまり伝わらない。お約束の展開だよね、という納得感はあるが、それ以上のものはない。もっとも、そのあたりのキャラクターの心理などを掘り下げた場合、このゲームの長所でもあるシンプルさ、スマートさが損なわれる可能性があるため、バランスが難しい話でもある。

色々と書いたが、実を言えば好きな部類のゲームである。ゲームとして必要とする部分をしっかり見据え、そこを確実に整えたスマートな出来は称賛したい。それだけに、ボリュームの少なさが物足りなさとなった。次を買うか、と言われると少し逡巡するため、評価としてはB。ただ、センスは良いと思えるので、今後に期待はしたいと思う。

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