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AI技術の進化がもたらす不動産業界の未来:LAMとAI不動産の可能性

AI技術の急速な進化により、不動産業界は大きな変革を迎えようとしています。その一つの潮流として、AIが行動を出力するLAM(大規模行動モデル)の開発が進んでおり、この技術により不動産業界は従来の枠組みを超えた新しいサービスを提供する可能性が高まっています。



LAMと不動産ポータルサイトの役割変化

LAMの登場により、不動産ポータルサイトを通じた物件検索の役割が終焉を迎えるかもしれません。LAMは、AIがブラウザを操作してユーザーの求める物件をインターネット全体から見つけ出すことが可能です。東京大学大学院の松尾豊教授は、2023年3月に「LAMの実用化は1~2年で実現するだろう」と予測しました。この予測が現実となれば、不動産業者は自社サイトに物件を掲載するだけで、AIが自動的に検索してくれるため、不動産ポータルサイトに広告料を支払う必要がなくなるかもしれません。


AI不動産の機能と対話型サービス

AI不動産の登場は、ユーザーにとって物件検索がよりスムーズで効率的になることを意味します。野村不動産ソリューションズの榎本英二氏によると、AI不動産は、顧客の潜在的なニーズを引き出すために質問機能を備えることが期待されています。これは、従来の優秀な営業マンが顧客と対話してニーズを引き出すのと同様の機能です。

また、アクセンチュアの番所浩平マネジング・ディレクターは、AIが質問する機能の実用化について、「生成AIがユーザーの問いかけに応じて質問することは可能だ」と述べており、AI不動産がユーザーの希望やニーズを把握するための対話型サービスの提供が現実的になっています。


資産価値の「見える化」とAIアバターの実用化

AIを活用した資産価値の「見える化」も進んでいます。東急リバブルは、京セラグループのAI開発企業Ristと共同で開発した高精度AI査定システムにより、資産価値を容易に把握できるようにしました。このシステムは、自社営業マンと同等の査定精度を持ち、今年2月には特許も取得しています。

さらに、AIアバターも実用化されています。アドバンスト・メディアが2023年10月にリリースした「AI Avatar AOI(アオイ)」は、ChatGPTとの連携機能を搭載したAI音声対話アバターです。これにより、不動産に関するさまざまな質問にAIが回答することが技術的に可能となり、不動産業界のサービス提供がより効率的かつユーザー指向のものになると考えられます。


不動産業界のDXとAI活用の未来

このようなAI技術の進化により、不動産業界は業務フローをタスクごとに分解し、AIと人間との分業を効率的に行うことで、業務の効率化やコスト削減が期待されます。特に、最も時間とコストを要する「集客」にAIを活用することで、不動産ポータルサイトへの広告費を削減し、より効率的な営業活動が可能になるでしょう。

電子情報技術産業協会(JEITA)の調査によれば、生成AIの活用状況について、アメリカ企業では6割以上がすでに利用中または開発・試験利用中であるのに対し、日本企業では2割にとどまっていました。しかし、AI革命のスピードが加速している現状では、不動産業界も本腰を入れてDXを進める必要があります。

不動産業界においてAI技術の活用は、顧客のニーズをより的確に把握し、サービスの質を向上させるための重要な手段となるでしょう。今後、不動産業界がAIをどのように活用し、効率的かつユーザー指向のサービスを提供していくのか、その動向に注目が集まっています。

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