賢い辞書の使い方
前回は、「ニュアンス」について書きました。外国語を理解するのは本当に難しいことですよね。
そのニュアンスを理解するのに活躍するのが辞書です。ネイティブに聞くのがベストですが、日本で勉強する場合は辞書が頼りになります。
今回は、まず辞書の使い方についてアドバイスできたらと思います。タイ語学習にはもちろん、語学学習そのものにとって大切な「辞書の使い方」について、僕が実践してきた方法を紹介したいと思います。
結論から先に言っておくと、
①紙辞書を使う
②必ず複数の辞書を持つ
この2つです。一見たいしたこと言っているようには見えませんが、僕が高校1年生の時から継続して無意識に実践し、英語の偏差値を80近くまで伸ばせたやり方です。
もちろん大学に入ってタイ語を勉強する際にも実践しています。おかげで、クラス内での成績もたぶんトップです(過去の栄光)。
今日はこれまで学生生活の多くを語学学習に費やしてきたこのわたくしパーユが、そのノウハウを公開したいと思います。
Today's Contents
①辞書は語学学習の必須アイテム
②紙辞書の利点
③どうして複数の辞書が必要なのか
④結論
①辞書は語学学習の必須アイテム
語学学習に欠かせないモノといえば、間違いなく辞書でしょう。いくら文法や発音が素晴らしくても、単語や表現の意味が分からなければ文章が読めません。
また、外国語学習で一番苦労するのは「語彙」ではないでしょうか。せっかく単語帳で単語を大量に覚えたと思っても、いざ文章を読もうとすると必ずといっていいほど未知の単語に遭遇します。
僕もタイ語を勉強し始めて4年が経ちましたが、ニュース記事やタイ人とチャットしていると必ず初見の単語や表現に出会います。新しい知識が増えて嬉しいのですが、正直、毎回辞書引いたりするのは大変ですよ。。。。。。
語彙力アップに欠かせないそんな辞書ですが、単語帳や電子辞書と比べてどんな利点があるのでしょうか。
冒頭にも書きましたが、僕は完全なる紙辞書信者です。電子辞書は買ったことありません。それにはちゃんとした理由があります。
②紙辞書の利点
紙辞書の利点、、、それはずばり情報量の多さでしょう。1つの単語にそれなりの量で解説が載せてあり、かつ例文も記載されているのも魅力的な点です。いわゆるニュアンス理解に繋がります。
単語帳も確かに、よく使う単語がきれいにまとめてあり、瞬時に検索可能です。また、暗記用には間違いなく最適なツールです。ですが、デメリットととしては、情報量が圧倒的に少ない点です。「単語→日本語訳」という単純な構造で編集してあるので、あまり頭を使うことなくただの記憶に終わります。
また、こんな意見をお持ちの方もいるでしょう。”電子辞書だって情報量多いし、簡単に検索できる。いまどきそんな重たい紙辞書は馬鹿げてる!”という意見。
その気持ちも理解できますが、
電子辞書と紙辞書の決定的な違いは見やすさの違いです。
(引用)
上記の写真は一例ですが、パッと開いて一度に多くの情報に触れることができます。太文字の調べたい単語に書いてある情報をまず読みます。そうすると、自然と周囲の単語にも目が届きます。そして、そのまま派生語や関連語に触れることになります。
一つの単語から、例文に始まり、気になった派生語や関連語まで一気に見ることが出来ます。
これが紙辞書の利点です。電子辞書では、この情報量を一度に見ることは不可能です。いろいろボタンを押して調べるなんてことはしないです。人間は怠け者ですから。
ちょっと試しに僕が使っているタイ語の辞書でどうやって単語を理解するかここでやってみます。
単語は先日のツイッターであげた、「เกาะ」でいきましょう。
これはとあるタイ語の辞書です。後でオススメを記事にまとめますのでお待ちください。
タイ語を読んでいて、例えば「เกาะ」の意味が分からないとします。
ここで単語帳を開いて出てくる意味はおそらく「島」です。実際に、この単語は「島」の意味で使われることが多いです。ですが、僕は訳語を覚えるだけでは、この単語の意味の概念が分からないのでやっぱり辞書を引きます。
で、実際に辞書を引くと上記のような解説が出てきます。
①島 ← 一番良く使われる
②(鳥が枝などに)とまる
③しがみつく、つかまる
ここで、動詞の意味があることに気づきます。名詞で扱われるときは、「島」で、動詞のときは、「とまる、しがみつく」か、、とここで一応納得します。
でも、僕はここで終わりにしません。1つの単語で3つも意味を覚えるなんて時間の無駄だし、面倒だからです。
どうするのかというと、この3つに共通する概念を自分で勝手に考えます。
ここで僕なら、”「島」も海にしがみついてると考えれば納得いくな~”として、
「何かが何かにしがみつく、ひっかかる」ことを表すのが「เกาะ」か
自分の中でこの単語の概念を構築します。これだけ覚えて後は実際に、タイ人と会話しながらズレがあれば頭の中で修正すればオッケイです。
実は、まだ終わらないんです紙辞書の活用法は
「เกาะ」の下の単語をよく見てください。これも良く聞く「เกิด」が載っています。しかも、意味を見ると①生まれる、誕生する、②発生する、起こる、と2つあることに気づきます。
僕ならついでにこの単語も見ちゃいます。そしてさっきと同じように意味の概念を頭の中で構築します。
これが、僕流の辞書の扱い方です。
③どうして複数の紙辞書が必要なのか
紙辞書の重要性は分かりました。ここまではよく言われていることです。そもそもタイ語のようなマイナー言語は電子辞書が全然普及していないので、紙辞書が一般的です。
ですが、僕がもう一つ付け加えたい辞書活用のテクニックがあります。
それは、
複数の紙辞書を持つこと
です。
複数の辞書を使うことで語彙力はもちろん意味の概念を理解するのに役立ちます。
意味の概念は前回の「ニュアンスを掴む難しさ」でも書きましたが、一つの言葉とその訳語の間には、意味が重なる部分もあれば重ならない部分も当然ながらあります。
これを正確に理解せず、単語帳にあるような訳語をそのままゴリ押しで覚えても、正確に外国語は理解できません。
そのズレを少しでも解消するには、地道に言葉の意味概念を理解するしかありません。これを理解するにはやはり、辞書を使うのが効率的なやり方なのです。
一つの辞書でもこれはできますが、複数あると効果は抜群です。単純に情報量が多くなるからです。
辞書によって説明方法が違ったり、または片方に載ってない情報を載せている場合もあります。これらを漏れなく理解できればその単語の基本は理解できたといっても問題ないでしょう。
こうやってどんどん情報を吸収していくことで、意味概念が自分の中で構築されます。後は、実際に使っていけばさらに精度の高いベン図を描くことができます。
④結論
最後に、今日の内容を振り返って終わりにしましょう。
賢い辞書の使い方は
①紙辞書を使う
②複数の辞書を持つ
でした。
紙だからこそ、より多くの情報に触れることができ、単なる訳語に留まらない理解へと繋がります。とりあえず単語の意味を知りたければ、単語帳の訳語で十分です。
でも、本当に外国語を理解するのはそういうことではありません。
言葉の意味の概念を理解して、正確なベン図を作成できるようになって初めて訳すことができるのです。
それが最終的にニュアンスの理解へと活きてきます。なんかこの単語だとしっくりこないな~、これだと意味が変わっちゃうよね?とか自然と思えるようになります。
確かに日本国内にいながら言葉のニュアンスを掴むのは難しい。ただ、できることはあります。複数の辞書でたくさんの情報に触れれば、完全でなくてもより正確な理解に近づけます。
ぜひ、みなさんにもこのやり方を実践して頂きたいです。
以上、パーユ流辞書活用法でした。近いうちにタイ語辞書の紹介をしたいと思います。
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