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地下鉄に乗っていられなくなったあの時の俺へ

拝啓
どうも、スプラトゥーンやりたくてSwitch買おうかどうか悩んでる47歳の俺です。迷うまでもなく買ったほうがいいよね。

あの時の俺は32歳かな。3回目の転職をしたぐらいだね。ある金融機関を立ち上げるための準備会社に入った頃だ。

今思うと、すごく思い切った転職だったね。リクナビで一瞬だけでた公募に急いで応募して、運良く採用されたね。

会社が設立されるまでは契約社員で、設立されたらその会社の正社員になるって契約だったね。今なら絶対選ばないけど、当時は何とも思っていなかった。採用条件をよく読んでなかったかな。ただただ絶対設立できる、これはきっといい経験になるって思ってた。
実際良く頑張った。その業界は未経験だったけど、職種は今までの経験からそう遠くないこともあって、毎日限界まで頑張った。

ある日、朝起きて地下鉄に乗って出勤してるときにそれはやってきた。
突然、呼吸の仕方がわからなくなった。
自分で「吸ってー」「吐いてー」って意識しないと呼吸ができないようになってしまった。意識しないとどんどん酸素が足りなくなっていく感じだった。
そして、その恐怖から満員の地下鉄に乗れなくなってしまったね。

なんで自分がこんなことになるのかわからなかった。意識しないと息ができない、狭いところにずっといられない。それでも毎日会社に行かなきゃいけない。だから一駅づつ降りながら、なんとか会社に行ってたね。
突然やってくる不安、胸のあたりがざわざわしてじっとしていられなくなる。強烈な不安が襲ってくる。このまま死んでしまうんじゃないかと思う。今までそういう病気になったこともなかったし、まさか自分がなるなんて夢にも思っていなかった。

どうしようもなくなって、初めて専門の病院に行ったね。
先生は話を一通り聞いてくれたあと、こう言った。
「まず最初に、この病気で死んだ人はいません」
「大人になったら、この病気は治るよ」

30過ぎてる成人男子に何を言ってるんだろうと思ったけど、この言葉で随分心が楽になったね。

その後も数は少なくなったけど突然不安が襲ってきたり、息の仕方を忘れる時があったけど、今の会社が無事設立されたら辞めよう、と心に決めたら、随分楽になった。死の恐怖もだんだん薄れていった。人間どうせ死ぬんだし、と思えるようになってきた。

あれから十数年経ち、その症状はほとんど出なくなった。自分でも色々勉強して、あれがどういう症状、病気だったのかもわかった。
人間の脳ってのは意外と雑だということ、エラーを起こすということ。
そして同じような症状、病気に悩まされている人が少なくないということ。

でも一番感じたのは
「自分をそんなに厳しく追い詰める必要は必ずしもない」
ということ。
人間誰しもいつか必ず平等に死ぬ。だから死なないことを目標にしたら絶対に達成できない。そしていつ死ぬかはわからない。
自分を律することは大切だけど、やりたいように生きてても、必要以上に自分を追い込んでても、明日死んだら一緒。
だったら今、この瞬間を自分が生きたいように生きるほうがいい。
頑張ることが必ずしもいいことではない。

人生で頑張らなければならない時期もあるが、ずっとそうではない。
頑張るために生きてるわけではない。

そんなに頑張らなくてもいいよ。一度きりの人生だよ。もっと毎日笑顔で楽しく過ごしたら?
人間万事塞翁が馬、人事を尽くして天命を待つ
自分がやれることやったなら、それでいいじゃない。開き直らないと。意外と人生どうにでもなるよ。

大丈夫、その会社は無事設立されて正社員として採用されて、しばらく頑張ったところで次の道に進むから。そしてこの時の経験が、後の俺のキャリアを助けてくれるから。やってよかったね。

じゃあな、頑張れよ。あの時の俺。
敬具




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