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両方好き

「今日はぜひ伝えなきゃいけないことがあるんですよ。こないだ飲み会につれてきたMくん覚えてますか?アイツ実はバイなんですよ!」
俺は女性が好きである。 世の中にはいろんな形の恋愛がある。 誰を好きになろうと個人の自由だと思う。 でも、こう思わざるをえなかった。
何でそんな人わざわざ連れてきた?

今回は5対5。
幹事の子(以下Nさん)とはそこそこ長い付き合いで何回か飲み会をしたことがある。百貨店勤務のNさんは所謂お嬢様系で、連れてくる子も大体そんな感じ。何より本人が綺麗。従って男性に対する要求も高い。なのでNさんの飲み会の男性陣のメンバーは面白いとか話が上手とかではなく、将来有望かどうかで選んでいる。Nさんと以前飲み会をして、仲良くなった別の女の子と後日ご飯を食べに行ったとき
「彼女たちは年収とかかなり気にしているよ。こないだの飲み会のあとも男性陣の年収の話になって『あれじゃやっていけない』って言ってたよ。」
との内部告発を受け、それがきっかけで私が転職を決意したのは言うまでもない。ということで男性陣は信頼のおけるKさんとその知り合いのMさんプラス2名。

でもまあNさん本人は見た目に反してすごく楽しくて気さくな女性だし、同級生だし、飲んでも楽しいのでそこそこ長いお付き合いになっている。女性が相手の年収を気にするのも別に悪いことではないと思う。 実際お金がないとやりたいこともできないだろうし。 お金で全てが手に入るわけではないが、お金がないと手に入らないものが悲しいかなこの世ではほとんどである。貧乏人は働くのみ。

飲み会が始まった時点ではNさんやMくんの席からは離れたところに座っていたが、トイレに行って帰ってきたところで席換えが自然発生。流されるままMくんNさんグループへ。 九州出身のMくんは背も高く、顔も外国人みたいにシュッとした流線型で男性から見てもかっこいいというか整った中性的な感じである。 はじめましてーなんていいながらよくよく聞いてみるとMくんとは会社のビルが同じ。しかも某難関資格試験突破のエリート。
今回こそNさんに気に入ってもらえる!と思ってNさんを見てみるとタバコを吸っている! Nさんがタバコを吸うのは
「今日はダミダー」
と言うサインなのである。その時開始30分。はやいっす。
Nさんとの合コンでタバコを吸わなかったのは初めて会ったときの1回だけで そのときは確かにきてた男の子と2回目のデートに行ってた。
今日も駄目かと幹事としての力不足を感じる。MくんもMくんでなぜか俺に話しかけてくる。 同業他社だし、職場も近いとあって話をするがこれでは合コンの意味がない。
何とか周りの女性たちを巻き込みそこそこ盛り上がって終了。そしてみんなで連絡先交換。他の女性たちはとてもいい人たちで今後につながりそうな予感。
帰り際にMくんに
「じゃあ今度昼飯でもいきましょう」
なんていわれる。職場も近いし是非!と答えてカイサーン。

文頭の事実は、後日別の飲み会で再び一緒になった、MくんをつれてきたKさんから言われた言葉である。Kさんがなぜ、Mくんがそういう方面に興味があることに気がついたかと言うと、仲間で新宿の二丁目あたりのお店に行ったとき、その友人がトイレに行くと非常階段のところでMくんとお店の方と なにやらチョメチョメ・・・それを見て気づいたらしい。

何でそんな人を呼んだの?と聞くと
「いや、でも女の子も好きなんですよ!」
と答えになってるような、なってないような。 Kさんも誰もが知っているような有名企業に勤めるエリートなのだが、やはり天才の考えることは違うのか。でも後々考えてみると、俺を見る目が違っていたような・・・ 思わずお尻をおさえてしまった。 今までそちらの世界の方に会ったことなかった私としては、ああいう人がそうなのかと勉強になった。こういう人って意外と身近にいるのかもしれない。

念のため後日、参加した女性たちにMくんについて聞くと、テーブルの下で足を何回も蹴られたとか、 飲みかけのビールを渡されたとか、ちょっと変わってたよあの人、などと聞かされた。 Mくんと連絡先を交換したもう一人の女性に聞いてみると
「お礼のメールを出したら 『世界陸上見てますか?織田裕二やっぱりあつくていいですね!』 って返事がきたよ。やっぱ変わってるねあの人」
と返信が。納得する俺。

地球に生まれてヨカッター!

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