エピログ


ちょきん


思わずわたしは
その花の一輪の根元に刃を差し込み、
太い糸の切れるような感覚を指先に感じた。
命の途切れるおと。
だと思えるのは、
この花たちが多くを語りかけるように、
色香を放っているからだろうか。


鮮明に残る、
閃光の一瞬をおもわせるその色を、
知らぬ間に愛してしまった。
心は喜びに満ちていた。

それは、あまりに残酷なことだろうか?

ふと、横から、なにか灯りが差し出される。

あの、男か女かわからない支配人だった。

灯りとは、
ゆらゆら燃える一本のローソクだった。


お気に召していただけたようですね

はあ

お代金、頂戴します

…はい。



その前に、
ともう一度ローソクを差し出される。


水あげ、なさってくださいね 



左手にたずさえたその一輪の茎のうぶげが、
急に意識される


わたしは、いつの間にか緊張していた



火は、
黄色く色めいている
震える、その熱


ほうと息をつく


添える



ちり

ちりちり

ちり……





お気をつけて、おかえりください。
またのお越しを、お待ちしております。


ポチッとしていただけたら泣いて喜びます。ヤッターッ!