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初めての、佐渡

「佐渡にこいっちゃ」を始めたのは2000年、かれこれ14年になります。

佐渡を紹介するサイトをやっていると言うと、必ずと言っていいほど「佐渡出身ですか?」と訊かれます。

佐渡出身ではないと言うと「親戚が佐渡に居るとか?」と訊かれます。

佐渡とは地縁も血縁も無く、ただ単に「佐渡が好き」で、通い続けてます、と答えるわけですが、そこで次の質問が来ます。

佐渡の方からは「佐渡のどこがそんなに良いの?」
新潟の方からは「最初に佐渡に行ったきっかけは何?」

まあ、概ね、こう訊かれます。

初めて佐渡に渡航した理由

いや、今思い出だしても、馬鹿馬鹿しい理由なんですが。

2000年当時、某印刷会社で営業の仕事をしていました。冬のある日、上司と一緒に営業車に乗って、新潟市内の海岸沿いの道を走っていました。

その日は天候が荒れていて、高波がしぶきを上げていました。上司はその海を眺めながら、突然「俺は欠航明けのカーフェリーに乗った事がある。すげえだろ」と言いました。それまで、佐渡汽船はもちろん、船に乗った事がほとんど無く(修学旅行の時に宮島行きの連絡船に乗ったくらい)、時化の船内の様子を想像できなかった僕は「それ、すごい事なんですか?」と訊きかえしてしまいました。

これに上司は怒りはじめまして「お前、波浪警報が出た日にフェリーに乗って佐渡に行って来い」と無茶な要求をしてきました。

まあ、とりあえず本気じゃないだろうと思いながら、その場は口だけ「いいですよ」と答えたのですが。実はその上司は祖父母が佐渡に住んでおり、幼い頃から頻繁に佐渡に遊びに行っていた、無類の佐渡好きな人。なので僕が「佐渡に行く」と言ったのが事の他嬉しかったらしく、色々とお勧めの土産物などを語り始めました。・・・もはや引くに引けません。

いよいよ佐渡へ

で、翌週だったかの金曜日、いよいよ「波浪警報」が発令されたため、翌日土曜日に単身佐渡へ行く事となりました。1月の下旬の事です。

真冬の観光オフシーズン、佐渡に行ってなにをするでもない状況でしたが、上司から「波の花」という珍しいものが見られると教えてもらいました。

「波の花」とは、冬、風の強い時に、岩場に叩きつけられた海水が白い泡のような状態になり、それが風に乗って、海岸線上を舞う現象です。「風の強い時」という条件付きですから、波浪警報発令中であれば見られる可能性大です。

「海府大橋と言うところに行くと見られる」と、上司は教えてくれました。

翌日、始発のカーフェリーおおさど丸(6:00出航)に乗船。

・・・この段階で、実は波浪警報は解除されていました。両津港付近は数センチの積雪。(写真の電話ボックスは現在、公衆電話こそ撤去されていますが、まだ健在です)

真冬の佐渡に

ここでレンタカーを借り、外海府方面へ走ります。二ツ亀まで約1時間。内海府の海岸沿いを走ります。景勝地・海水浴場としても人気の二ツ亀、しかし真冬はあまりに寒々しい。しかしこの季節だからこその名所がありました。

賽の河原です。ここは水子の霊が集まるとされる霊場。雰囲気抜群すぎます。

大野亀を過ぎると、いよいよ外海府です。内海府とガラッと雰囲気が変わります。

切り立った雄大な海岸線。新潟では目にすることが無かった海岸線が続きます。すっかり見とれてしまいました。

そして、目的地「海府大橋」に到着しました。大ザレ滝という滝の上に架かる橋ですが、あまりに高い所に掛かっており、橋から下を覗こうとすると足がすくみます。

・・・しかし、波の花は見る事が出来ませんでした。前日の波浪警報が嘘のように、雲の切れ間から時折青空すら見えます。しかも海部大橋はかなり高い所に掛かっている橋なので、仮に波の花が飛んできたとしても、ここまでは届きません。

しかし、それまで見たことも無かった雄大な景色を見たことで「春になったら、またここに来てみたい」と思い、さらに「いつか“波の花”も見たい」と思うようになりました。

ツウ過ぎたお土産

上司からすすめられたお土産が、こちら「いかのこ(いかだんご)」文字通り、イカのたまごをすりつぶして作った珍味です。

実はこれ、佐渡の土産物としてはあまり一般的ではありません。むしとツウ好みな商品。扱っているのは両津・夷の商店街にある中澤仲助商店さん。あくまで地場産の材料に拘るので、販売されない日もあるという・・・まさにツウな人向けのお土産。

観光客を増やすなら、満足させない事

理由と言い、時期と言い、「普通の佐渡観光」とは言い難い、そんな初佐渡体験だったわけです。

のちに、ある人から「佐渡の観光客を増やすには、観光客を決して満足させない事。心残りを作り、“もう一度佐渡に行きたい”と思わせる事」と言われたのですが、まさに自分はその通りになっていました。
「また佐渡に行こう」そう思いながら、夕方のフェリーに乗りました。すでに海上は凪。結局、上司の言う“欠航明けの船に乗る事の偉大さ”も、全く分からないままでした。

次に佐渡を訪れたのは、冬が過ぎ、カンゾウの花が咲く6月の事になります。

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