最新戦法の事情【振り飛車編】(2022年6・7月合併号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。
なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。
前回の内容は、こちらからどうぞ。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2022.5/1~6/30)
調査対象局は107局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
◆先手中飛車◆
~下火になりつつある~
9局出現。出現率は8.4%。一時期は増加傾向にありましたが、ここ最近は再び下火になりつつあります。
先手中飛車は、後手超速に対する策が無いと採用できない戦法です。昨今では、▲6六銀型で対抗するのがポピュラーですね。これに対して居飛車は、以下の図の組み方をするのが最有力だと見られています。(図)
そして、現環境の先手中飛車は、この局面を迎えることを嫌がっている節があります。今回は、その理由について深堀していきましょう。
■ 後手超速 VS ▲6六銀型 →△3三銀優先型
居飛車がこの組み方を採用したとき、振り飛車には
(1)美濃囲いの完成を優先する。
(2)歩交換を優先する。
この二通りのプランがあります。まずは、(1)の▲3八銀で穏便に美濃囲いを作る順を見ていきましょう。
■ △3三銀優先型 VS ▲3八銀
この場合、居飛車は△4四銀→△7三桂と攻め駒をどんどん繰り出してきます。こうして足早に△6五桂と跳ぶ態勢を整えるのが有力ですね。筆者が桂跳ね優先型と呼称している形です。
さて、基本的に振り飛車は、△6五桂のときに▲6八角と引けるようにしておく必要があります。ただ、そう指すと5五の利きが減るので、△5五銀左で歩を失ってしまいますね。
したがって、ここは▲5四歩△同歩▲同飛と歩を交換するのが自然です。
対する居飛車は当初の予定通り、△6五桂と跳ねます。このように、攻めの桂をスピーディーに五段目へ活用できることが、この戦型の後手の自慢の一つですね。(第1図)
ここからは、▲6八角△8六歩▲同角△5二金右▲7八金と進むのが定跡の一つ。これがこの戦型の最前線です。(第2図)
なお、ここに至るまでの詳しい解説は、以下の記事をご覧くださると幸いです。
さて、この▲7八金は有力なのですが、△1三角が気になる筋であることを前回の記事で少し触れました。そして、どうも現環境は、この局面を振り飛車が嫌がっている気配を感じるのです。(第3図)
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