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最新戦法の事情【振り飛車編】(2022年2・3月合併号 豪華版)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。

なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。

前回の内容は、こちらからどうぞ。

最新戦法の事情 振り飛車編
(2022.1/1~2/28)


調査対象局は146局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。


◆先手中飛車◆
~捌きを重視して戦う~

15局出現。前回の期間から出現率は15.2%→10.3%と下落しています。多くのプレイヤーが「中飛車離れ」をしている様子が見て取れる数字ですね。

居飛車の対策は、後手超速と一直線穴熊の二つが人気。そして、主流は後手超速です。特に、△6一金形のまま銀桂の活用を優先する指し方が優秀ですね。

後手超速 定跡

この組み方は、一手でも早く△6五桂から仕掛ける手を見せることで、振り飛車の駒組みに制約を掛けられることが最大のセールスポイントです。現環境では、この局面になると既に居飛車が作戦勝ちと見られています。詳しい理由は、以下の記事をご覧くださると幸いです。

【後手超速の有力策 △7三桂優先型】
2021年11・12月合併号

後手超速 定跡

そうなると、振り飛車はここに至る前に何らかのアイデアが必要ですね。今回は、その工夫を解説したいと思います。

■ 後手超速 VS ▲6六銀型の新工夫

後手超速 定跡

△7三桂優先型の将棋は、[△6四銀・△4四銀型]を作ってから桂を跳ねます。したがって、振り飛車はその形を整えられる前に動きを見せたいところですね。

具体的には、△3三銀と上がった瞬間に▲5四歩と突っかけます。現環境では、この指し方がスポットを浴びつつありますね。(第1図)

後手超速 定跡

原則として、この戦型は5五の位が安定すれば振り飛車が有利になります。それを踏まえると、こうしてあっさり位を消すのは惜しいところがあるのですが、△7三桂優先型に対してはどう頑張っても5五の位は維持できません。ならば、早く歩交換を行い、位が負担になる前に捌いておく方が良いという理屈になります。ゆえに、これが注目されているのですね。

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