最新戦法の事情【振り飛車編】(2022年4・5月合併号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。
なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。
前回の内容は、こちらからどうぞ。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2022.3/1~4/30)
調査対象局は105局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
◆先手中飛車◆
~障害物を取り除け!~
15局出現。出現率は14.3%であり、1〜2月と比較すると増加傾向にあります。
居飛車は相変わらず後手超速が主流ですが、それを志向したのは8局で、猫も杓子も後手超速という訳ではありません。背景には、振り飛車側が新たな対策を打ち出していることが挙げられます。今回は、それをテーマに解説を進めて行きましょう。
■後手超速 桂跳ね優先型の対策
後手超速には駒組みの手法が複数ありますが、昨今では図の桂跳ね優先型が最有力と見られています。
これは△6五桂と跳ねる手を見せることで、振り飛車の駒組みに制約を掛ける狙いがあります。非常に攻撃的な作戦であり、振り飛車にとって厄介な相手ですね。
さて、この局面を迎えると、振り飛車は▲5四歩△同歩▲同飛と動くことが必須。その後は、△6五桂▲6八角△8六歩▲同角△5二金右と進むのが定跡化された手順ですね。(第1図)
なお、ここに至るまでの詳しい解説は、以下の記事をご参照くださいませ。
さて、従来はここで▲5九飛と引く手が主流でした。これは飛車を安定させて、捕獲される筋をクリアした意味があります。
ただ、飛車を引くとその後の攻め方が難しく、現環境では居飛車良しという見解が定着しています。詳細は、こちらの記事をご覧くださいませ。
とはいえ、飛車を引くのは至って自然な選択ですね。自然な手が思わしくないので振り飛車はこの変化を避けていたのですが、その定説にチャレンジした手が現れます。それが▲7八金という手になります。(第2図)
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