最新戦法の事情【振り飛車編】(2022年10~12月合併号 豪華版)
どうも、あらきっぺです。
タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。
なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。
前回の内容は、こちらからどうぞ。
※ お知らせ ※
今回は三ヶ月分の内容をまとめているため、普段よりも分量が二倍近くになっております。つきましては、お値段を500円に変更させて頂いております。ご理解頂けますと幸いです。
最新戦法の事情 振り飛車編
(2022.9/1~11/30)
調査対象局は200局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。
◆先手中飛車◆
~雁木穴熊を打ち破れ!~
22局出現。出現率は11%。これは前回の期間から横這いで、数字の上では変化はありません。ただし、居飛車が選ぶ作戦には変化が起こりつつあります。
まず、先手中飛車にとって最強の敵は後手超速です。これには▲6六銀型で対抗するのが最有力ですが、居飛車に以下の局面に誘導されてしまうと、先手中飛車は苦戦を強いられることになります。
上図の桂跳ね優先型が誘導されてはいけない局面です。ここからの変化は多岐にわたりますが、結論から述べると、この局面は既に振り飛車の作戦負け。これは、現環境の[先手中飛車 VS 後手超速]という戦型における前提になっているので、この戦型を指すプレイヤーは必ず知っておかなければならない知識です。
なお、この局面が振り飛車作戦負けである理由については、以下の記事をご覧くださいませ。
ゆえに、振り飛車は桂跳ね優先型を避けるために、ある工夫を行うようになります。それが、以下の指し方ですね。
図のように、▲3八銀→▲3九玉という順番で美濃囲いを作るのが振り飛車のアイデアです。
これは、▲2八玉を保留すること、及び右銀を優先的に上がることで居飛車の急戦を防ぎやすくする狙いがあります。この組み方をすれば、振り飛車は桂跳ね優先型を回避することが可能ですね。
なお、具体的な回避方法については、以下の記事をご参照頂けますと幸いです。
ただし、この組み方で万事解決とはなりません。というのも、この指し方は早めに▲3八銀を上がるので、振り飛車は穴熊に組む余地が無くなります。ゆえに、居飛車は持久戦にシフトする指し方が有力になるのです。具体的には、雁木穴熊ですね。現環境では、この作戦を採用するケースが増加傾向にあります。
という訳で、今回は、雁木穴熊をテーマに話を進めましょう。
■ 雁木穴熊 VS ▲5九飛型
居飛車が雁木穴熊を目指す場合、図のように△4四歩→△4三銀を指すことになります。ここから△3三角→△2二玉→△3二金→△1二香……といった要領で囲いを発展させる訳ですね。
振り飛車も、まずは囲いを強化することを考えたいところ。ゆえに、▲5九飛→▲5八金左から高美濃に組むのは自然な指し方です。すると、以下の局面になることが予想されます。(第1図)
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