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最新戦法の事情【振り飛車編】(2021年6・7月合併号 豪華版)

どうも、あらきっぺです。

タイトルに記載されている通り、振り飛車の将棋の最新型を解説したいと思います。

なお、当記事の注意事項は、こちらをご覧くださいませ。

前回の内容は、こちらをどうぞ。


最新戦法の事情 振り飛車編
(2021.5/1~6/30)


調査対象局は128局。それでは、戦型ごとに掘り下げて行きましょう。


◆先手中飛車◆
~美濃囲いに決め打ちしない~


20局出現。先手番の振り飛車では、最も多く選ばれた戦法でした。

先手中飛車は一時期、後手超速に苦しめられていましたが、ここ最近は対抗策を打ち出しており、現環境は十分に戦える情勢になっています。オーソドックスに以下の形に組んでおけば、特に支障はありません。

振り飛車 図面

なお、ここからの変化につきましては、以下の記事をご覧くださると幸いです。

後手超速の対策 その1
2021年2・3月合併号 豪華版
後手超速の対策 その2
2021年4・5月合併号 豪華版

振り飛車 図面

さて、そういった背景があるので、近頃の居飛車はこの局面ではない形に組む傾向が強いですね。その内の一つが、次の局面です。(第1図)

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基本図と瓜二つではありますが、△3三銀ではなく△5二金右を選んでいることが先程との相違点です。△4二銀型を維持することで、持久戦にシフトできることがこの組み方のメリットですね。

すなわち、ここで先手が▲3八銀と指すと、居飛車は△4四歩→△4三銀と組んできます。その後は△3三角→△2二玉→△4二金寄と組み、最終的には穴熊に組んでしまうことが居飛車の描いている理想像になります。(仮想図)

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居飛車の作戦は、通称、「雁木穴熊」と呼ばれている作戦です。このような組み上がりになってしまうと、振り飛車は堅さで劣っている上に打開する手段も難しいので不本意な将棋になりやすいところがあります。したがって、振り飛車はこうなる前に工夫を凝らさないといけません。

その工夫の一つが、第1図から▲4六歩と突く手になります。今回は、この指し方をテーマに解説を進めて行きましょう。(第2図)

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これは美濃囲いを決めないことで、囲いの選択肢を増やしたいという意図があります。

例えば、ここで△3三銀なら急戦確定なので、そのタイミングで▲3八銀と上がります。これは上記の記事の変化と合流しているので、振り飛車は不満がありません。

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では、△4四歩から雁木穴熊を目指すプランはどうでしょうか。

こちらだと持久戦が確定するので、振り飛車はゆっくりとした駒組みが行えます。なので、▲1八香△4三銀▲1九玉から穴熊に組むのが面白いですね。(途中図)

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穴熊に組んでしまえば、堅さ負けの心配は無いでしょう。あえて美濃囲いを完成させなかった特色を活かしていますね。これが▲4六歩を優先させたメリットなのです。

なお、この作戦の類例としては、第34期竜王戦1組出場者決定戦 ▲佐藤和俊七段VS△佐藤天彦九段(2021.5.24)が挙げられます。

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さて、この後は、互いに玉型を固める作業に入ります。すると、第3図のような局面になることが予想されますね。

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