若手医師のリアルな勤務実態(前編)


1.はじめに

元々は、小児科医が0人となる危機に陥った丹波市にあった兵庫県立柏原病院※の2007年の小児科医の勤務実態をツイートしたところ多くの反響がありました。

※兵庫県立柏原病院は、柏原赤十字病院と統合して2019年7月1日から兵庫県立丹波医療センターと丹波市健康センター“ミルネ”となっています。

一般の方からは、医師の過酷な勤務状況は過去の話であるとか、地方だけの話といったコメントもある一方で、医師の方からは自分の方がもっと働いているというコメントもあり様々な反応がありました。

そこで、勤務医の方々に勤務実態を教えてほしいと募ったところ50件近くの情報提供をいただきました。

医師何年目(勤務実態)

↑10年目以下の医師が8割以上を占めています

勤務地について教えて下さい(勤務実態)

↑勤務地の割合は、地方:都心=2:1の割合です。

2.寄せられた勤務実態

ぜひ、若手勤務医の労働実態を知って頂きたいです。
寄せられた勤務実態をご紹介します。あまりに具体的な記載は適宜抽象化又は省略しています。

1.麻酔科 3~5年目
・通常
6:00〜術前準備、術後回診
7:00〜術前カンファレンス、勉強会
8:30〜オペの麻酔業務
終了は大体20時程度まで(これよりも遅くなることあり)
・印象に残った激務
当直で緊急オペのためほぼ完徹ののち、20時程度まで麻酔業務
2.外科 11年目以上
・通常
8:00-18:00 取れる時に昼休憩など
・印象に残った激務
通常勤務→当直勤務(ほぼ一睡もできず)→通常勤務の連続34時間勤務
3.整形外科 3~5年目
・通常
07:45-08:15 前日手術患者の回診
08:30-09:30 カンファレンス
09:30-17:30 手術、病棟
17:30-08:00 救急当直
08:30-17:30 手術、病棟
17:30-22:00 記録、文書(保険、レセプト)
・印象に残った激務
1日目 通常勤務・大学当直
2日目 通常勤務・外勤当直
3日目 通常勤務・外勤当直
4日目 通常勤務・移動・外勤当直
5日目 通常勤務
6日目 通常勤務・移動・帰宅
(他科勤務の時)

↑4日連続当直です。会社勤めの方、4日連続職場に泊まって仕事をすることを想像できますか?

4.血液内科 3~5年目
・日常
6:30 出勤 病棟回診
9:00 カンファorケモor手技(PICCや生検)
14:00 手が空いていれば食事
15:00 教授回診or抄読会orチームカンファ
16:00 診療科外の会議
18:00 病状説明orカンファや抄読会の準備or外勤当直or学会準備
20:00 実験室のカンファor帰宅
当直は外勤当直が月6回  オンコールと病棟担当が合計月10回
・印象に残った激務
朝6時出勤、院内急変 緊急入院が重なって、通常業務が20時までかかりそこから翌日のカンファの準備のため翌1時までかかり、帰ったところで病棟コールのため再度出勤、4時に帰宅、朝7時出勤して通常業務のあとそのまま外勤当直、翌朝から通常業務が始まるとほとんど家に帰る時間がない。

↑出勤時刻が早いです。月の半分は当直又は待機です。

5.呼吸器内科 3~5年目
・日常
8:00〜13:00 病棟・救急車対応
11:30〜12:00くらいで昼食(可能な日)
13:00〜16:00 気管支鏡検査
16:00〜17:00 病棟
17:00〜19:00 カンファレンス
19:00〜21:00 書類などの事務作業
夕食(出前)
21:00〜23:00 学会準備、論文
23:00 帰宅
・印象に残った激務の日
もはやそのあと家で気を失ったのであまり覚えてないですが、前日フルタイム勤務からの徹夜当直明けにフルタイム勤務したあと、やっと家に帰ろうとしたら病棟急変が立て続けに起こり、60時間ほど家に帰れず勤務し続けた日。

↑連続60時間勤務。初めて聞きました。

6.脳神経内科 3~5年目
・日常
8:00~カンファレンス
13:00~17:00検査
救急車が来たら全員集合し処置、合間を縫って病棟業務
22:00~23:00頃離院
・印象に残った激務の日
普段通りの1日に加え、日中数件の救急車対応、他院からの問い合わせや急変転院搬送の対応、患者家族からの突然の病状説明の要請。
そのまま当直に突入し救急対応や病棟対応、患者対応で一睡もできませんでした。もちろん翌日は普段通りに23時まで勤務。

7.救急科 3~5年目
・日常
7:30-17:00日直、当直日は17:00-翌10:00頃まで、土日も日直、当直あり
・印象に残った激務の日
当直明け2時に緊急呼び出し
8.歯科 6~10年目
・日常
8:00~22:00
・印象に残った激務の日
色々あるが、昼休憩がないのは辛い
9.脳神経外科 3~5年目
・日常
8:15-病棟管理と脳外科は緊急入院が基本なので救急外来から脳卒中の搬送があるとその度対応。日中最低1件はコンサルテーションがあり緊急対応する。週3-4日オンコールが当たっており、多ければ全日で時間外(未明0時などもあり)で病院呼ばれ緊急入院など対応をする。その分の代休はなく翌日は通常業務。
・印象に残った激務の日
x日未明4時に脳出血入院対応(診療科オンコールで呼ばれた)、8時より通常勤務しそのまま救急外来外科当直(17:15-8:30)、当直中(x+1日)未明3時に上記の脳出血患者が急変、当直後(x+1日)正午より緊急手術。23時ごろ帰宅。計40時間程度連続勤務。その翌日(x+2日)19時に再度緊急手術症例があり手術に呼ばれた。22時帰宅。x+3日は再びオンコールに当たっておりオンコール業務をした。
10.内科 6~10年目
・日常
8:00-12:00病棟 
12:00-18:00外来 19:00-翌7:00当直 翌8:00-21病棟(間に外勤) これが月に8回くらい
・印象に残った激務の日
6時朝回診-夕方まで病棟、夕から救急当直(無睡)⇨翌6時回診、夕方まで病棟と救急当番(昼に1時間仮眠)⇨夜患者急変⇨未明3時に帰宅⇨朝6時に回診、通常業務

↑仮眠しか取れない状態で連続勤務。過酷すぎます。

11.眼科 3~5年目
・日常
8:30始業
17:00からそのまま夜間当直へ移行
翌日9:00から平日の通常業務へ
その日が順調に済めば18:00頃業務終了
12.(ご主人が)外科(教授)  11年目~
・日常
朝5時半出勤、カンファレンス、オペ、外来、論文、講演会の資料作成、後輩の指導、ポリクリ学生の相手、院内の委員会(たくさん)、帰宅は平均22時。早くても21時。遅いと夜中3時帰宅。
夫婦で食事をするのは月1〜2回あればいいほう。
・印象に残った激務の日
朝からオペに入り、トイレに行く時間もほぼなく、食事もとれず、30時間たちっぱなし、食事なし状態。

↑教授クラスで1日20時間近い勤務を余儀なくされることに正直驚きました。

13.放射線科 11年目~
・日常
8:30〜12:00 読影
13:00〜18:00 読影
適宜 IVR
・印象に残った激務の日
帰り際や夜中に緊急IVR
14.眼科 6~10年目
・日常
大学病院常勤
7:30頃 自宅より出勤(自家用車)
8:00〜9:00 病棟にて入院患者診察
週1回8:00〜教授回診のためそれより前に診察
9:00〜15:00頃 一般外来診察 休憩なし
日によって12:30頃から1時間半程度外来を中断し手術
15:00頃〜16:00頃 専門外来
緊急手術等なければ病棟業務等を消化して17〜19時頃帰宅
週1回、医局会のため20時過ぎ頃帰宅
緊急手術ある場合は帰宅が深夜になることもあり
土曜も原則 8:00〜12:00頃まで勤務あり
当直 月3〜4回
週2日外勤あり(外来)
・印象に残った激務の日
緊急手術を要する症例が立て続けに回されてきた日があり、たまたま医局のマンパワーが手薄な日だったこともあり入院オーダーや関係各所への連絡、指示出しをほぼ全て自分で行うこととなり外来診察も大幅に遅延した。もちろん昼食は取れず、手術が全て終了した22時頃に夕食にありつくことができた。元々当直日だったので帰宅する必要なく、幸い当直中も緊急患者は来なかった。
15.放射線科 11年目~
・日常
8:00~8:30会議
8:30~12:30注射当番をしながら読影
12:30~13:30昼休み
13:30~14:00読影
14:00~15:00学生に講義
15:00~19:00研修医に教えながら読影。
週に2回程午後に会議、月に一回当直で朝まで(翌日は続けて仕事)不定期に土日朝から夜まで臨床研究

(中編)に続きます。

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