【8/24】君こそは、日曜日よりの使者～埼玉西武・栗山巧の一週間～(徳)

０.　はじめに

　「君は、君こそは、日曜日よりの使者～」といえば、ザ・ハイロウズの名曲『日曜日よりの使者』の一節である。日曜日に現れる、見ているだけで勇気や生きていることへの肯定すら感じられる存在、「日曜日よりの使者」。今年のプロ野球界にも一人、日曜日よりの使者がいる。埼玉西武ライオンズ、栗山巧。2000本安打へのカウントダウンも始まっている生え抜きのヒーローは、2020年8月23日現在「.667」というとんでもない打率を残している。そして本稿執筆後の8月24日の試合でも5打数4安打1本塁打2打点と、イケイケの新生中嶋バファローズからあと一歩で同点に追いつきそうな場面を演出した。今週はそんな栗山外野手について

「日曜日以外はどうなんだ？」「今までも日曜日に強かったっけ？」

と疑問が湧いてきたため、一週間について、データの取れた9年分を追いかけてみた。

１.　栗山巧の一週間（2012年-2020年)

（データ参照元：https://baseballdata.jp/playerB/12102.html）

(図)2012-2020.8.23現在 栗山巧・曜日別打率

　栗山外野手の曜日別打率を見てみよう。2020年を除く8年間は2007年以降続く毎年100試合以上と安定して出場を続けている。

（打数に偏り（月曜日はもちろん他の曜日に比べて打数が少ない）があるものの、あくまで「どの曜日が得意なのだろうか」の検証故、並列して記載していることはご承知おきいただきたい。）

結論から言うと、栗山は元々日曜日がものすごく得意なようである。

データの取れている9年間中、6年で打率3割オーバーを達成。一方で火曜日は2015年1回を除き、全年度で.260以下かつ1割台が3年と「休み明け」はなかなか馬力が入らないのかもしれない。水曜日・木曜日は特定の年度を除き平均的には2割台を推移しており、火曜日から徐々に上げてきているのかもしれないことを窺わせる。2012年～2017年に関しては水曜日が火・木より高く、今年を含む直近の3年はおおむね火曜→木曜日と打率を上げている。これはローテーションが1枚目から3枚目へと推移していくことにも起因しているかもしれない。

そして、金曜日も3割超え5回と、日曜日の次に得意としていることから、栗山自分の休み（月曜日）直前・世間一般の休み（土日）直前に強い、休み前大好きバッターなのかもしれない（？）。

(図) 2012-2020.8.23現在 栗山巧・曜日別OPS

続いてOPSを見てみよう。

おおむね打率と同じ傾向を見せている。土日に高OPSが集中し、火曜日は暖機運転の傾向がより顕著になっている印象だ。

栗山巧が老若男女問わず愛される所以、卓越した野球技術、キャプテンシーや人柄、フランチャイズ性、ダンディなルックスに加え、「みんなが休みの日（試合を観る人が増える日）によく打っている・印象に残っている（？）」という側面もあるのかもしれない。

２．　終わりに

　データを調べた結果、栗山は日曜日、及び　打率は金曜日、OPSは土曜日にも強みがあることが分かった。週明け２カード目に強い・・・ようである。

最後に、おまけとして栗山にまつわる印象的な日の曜日をまとめて本稿を締めよう。

・プロ初出場/初安打　2004年9月24日 vs近鉄戦(小池)　木曜日

・プロ初打点　2005年4月12日 vs日ハム戦(江尻)　火曜日

・プロ初本塁打　2005年4月13日 vs日ハム戦(鎌倉)　水曜日

・通算1000本安打　2013年4月16日 vsオリックス戦(東野)　火曜日

・通算1500本安打　2016年6月19日 vsヤクルト戦(秋吉)　日曜日

・通算100本塁打　2019年8月11日 vsロッテ戦(松永)　火曜日

・オールスター初出場/初本塁打　2016年7月15日　金曜日

・埼玉西武球団通算安打記録更新　2019年8月31日 vsソフトバンク戦(松田)　土曜日

・代打サヨナラ３ラン（プロ初サヨナラ弾) 2017年8月17日　木曜日

極めてまんべんなかった。栗山巧、一週間ずっと見逃せない選手である。

文責：徳