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【7/28~8/2】 ウィークリーレポート:塩見泰隆(べいじゃり)

0.はじめに

今回は色々とプレー以外での話題も多いあるヤクルトの選手について分析していきたい。去年の大雨三輪の引退試合では、間違えて中山のユニフォームを着てしまい打席に入るのが遅れ、あの1等地の神宮に競馬のG1ファンファーレがフル尺で流れるという珍場面。そしてオフにはFLASHにすっぱ抜かれ、話題を提供してくれるあの選手(記事の詳細は触れないでおく)。3年目の外野手、塩見泰隆である。
塩見は大卒社会人で今年27歳になる年だが、ヤクルトのスカウトは武相高校時代から足掛け5年以上も追いかけ続けていたという選手である。ちなみにドラフト指名時のスカウト評は「ポカもするが、とんでもない大仕事をする選手」という評価であった。確かにプレー以外のポカは多めかもしれない(笑)。ただ、プロに入ってからは目に見えてポカをするような場面も見られず、どちらかというと堅実なプレーができる選手のようにみえる。
特に打撃面でのポテンシャルはとてつもないものを持っており、2軍では18年、19年とOPS1.000を超えている。なおかつ、18年から19年でBB/Kが0.51→1.00とアプローチ面での改善も見せており、今年のブレイクが大いに期待される選手である。

1.選定理由

筆者が好きな選手だから!というのもあるが、ヤクルトは7/27(月)に主軸の山田哲人を上半身のコンディション不良で抹消したのに加えて、不調気味の雄平も抹消と主力の離脱が相次いだ。右打ちの外野手は渡辺大だけという状況で廣岡が左翼で起用されるなど、台所事情が苦しい状況が続いている。塩見が主力の穴埋めをしつつ右打ちの外野手としてポジションを確立出来るかというところにヤクルトの成績にも影響が出てくるであろうという理由で選定した。

2.先週の塩見

好きな選手だけに前置きがやや長くなったが、先週の塩見を振り返っていこう。先週の出場試合数は3試合、昇格直後の28日、29日で阪神戦でスタメン起用されたが、中日との3連戦では31日のスタメン起用1回のみに留まった。ヤクルトは外野に青木、山崎と好調な左打者がいるため、右投手の時はやや塩見が起用されづらい状況にある。ただ、その出場した3試合では目を見張るような結果を残している。以下が今週の主な指標である。

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出場した3試合では3本塁打を放ち、OPS 1.545と大暴れしていた週であった。しかもホームランはセンターに1本、ライトに2本と内容も素晴らしいものであった。

特に、7/28(火)の第4打席に足を滑らせながら秋山から外角のスライダーをライトスタンドに運んだ打撃は圧巻であった。元々センターから右方向に強い打球が飛ばせるとは言え、外に逃げていくスライダーをスタンドまで持っていくリストの強さを見せつけた打撃は今後の対戦相手にとって脅威になるだろう。翌日の能見から放ったホームランもセンター最深部に飛距離の出るホームランであり、右投手の先発日に代打ですら起用がなかったのは疑問が残るくらいインパクトのある内容と成績であったと思う。

3.詳細分析

インパクトの強い週となった塩見だが、継続して使われないことも理解ができるデータがある。まず、三振率が.364であるのに対して四球は0とアプローチに問題があった。とは言え、ガルシアに大野と奪三振率の高い選手との対戦になっているので致し方ない部分があると筆者は思っている。明らかに問題があるとすると落ちる球に対するアプローチである。先週の塩見は以下の通り、スイング率自体は60%程度と決して振り回していたわけではなかった。

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しかし、下表のように変化球ごとに見ると、落ちる球に関してはスイング率は81%と我慢出来ておらず、コンタクト率も22%と当てるのに苦労している状況である。ツーシームで唯一コンタクトした1球もボテボテのショートゴロであった。(大野雄、ガルシアのツーシームは明らかに落ちる変化球なので、下表ではツーシームを落ちる変化球として見てほしい)

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首脳陣としてはこの落ちる球へのアプローチの不安から起用し続けることができていないのではないかと思われる。

先述の通り昨年はファームでBB/K を大幅改善させるなど、本人のアプローチは変わってきているのでもう少し我慢して打席を与えてほしい気はするが、昇格後は明らかに問題となっている部分なので今後の打席で我慢できるか次第でレギュラーを取れるかどうかのポイントになってくるだろう。

4.おまけ

塩見の現時点の最適な打順だが個人的には2番だと思っている。ここまで山田哲人が2番を打っていたと言うことを考慮しても、長打力がある選手が入るべきであろう。また、盗塁をすることができ、単打で2塁から帰ってくる脚力を持っていることから上位打線で使うべきである。出塁率が上がってこないという状況では1番向きというよりは、自分で走者を返すこともでき、走者として返ってくることもできる2番が最適ではないかと思う。

以上の分析は打撃に関する内容だが、守備に関しては筆者は19年の春季キャンプで実際に塩見を生で見る機会があった。守備に関してはかなり無難と言う印象受けた。スカウト評のポカをすると言うイメージから守備に関してはあまり判断が良くないのかと思っていたが、充分にレギュラーを張れるだけの力はあるであろう。

好きな選手だからついつい贔屓目に見てしまうが、贔屓目抜きに総合力は高い選手であり、是非とも球界のトップレベルに達してほしい選手である。


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