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ネットスーパーがメインの購買スタイルになると地方の中小スーパー事業者は生き残れないのではないか?

僕の専門はソフトウェアエンジニアリングなのですが、いま興味があって「流通」というテーマで業界研究をしています。

先日「ネットスーパー」という部分にファーカスを当ててリサーチをしていると「ネットスーパーでの購入が主流の購買スタイルに変わると地方の中小スーパー事業者は生き残れないのではないか?」という仮設が生まれてきたのでそれをシェアしたいとおもいます。

ネットスーパーの国内事情

2000年から2020年の現在まで、インターネット/スマホを利用した小売事業はずっと伸びてきている。では、ネットスーパーはどうかというと他の小売事業に比べるとなかなら伸びきれていませんでした。

これは消費者の側がネットスーパーに対してまだ乗り切れていないことが原因の部分も多いが、ネットスーパー側が消費者に満足させる体験を作れていない事が大きいのではないかとおもいます。

既存のスーパーマーケット事業者が、ネットスーパー事業を成功させるには以下のような投資が必要になります。

・ネットスーパーのシステム開発・運用

・集客 / マーケティング

・消費者への宅配/物流するシステムの整備・運用

じゃあその投資を行うためにどうするか?という点だが、日本の場合小売のトッププレイヤーが、テクノロジーのトッププレイヤーと組んで事業を行うようになってきています。

消費者のネットスーパーへの需要

では、消費者のネットスーパーに対しての需要はいまどうなっているのか?

博報堂生活総合研究所が2019年7月16日に発表した「消費者1万人調査」の調査結果によると、ネットスーパーの利用率は11.4%にとどまるが、「今後利用したい」と回答したのは全世代で3割台となっており、消費者からの需要は高いと考えて良さそうです。

さらに2020年3月以降からはCOVID-19の流行により日本でも外出自粛が行われるなかで、それでも人が集まってしまうスーパーへの外出も避けたいとネットスーパーの需要は急激に高まってきています。

小売はテクノロジーの変化、ライフスタイルの変化に適応したものが勝者となってきた

日本の小売の歴史を振り返ると、テクノロジーの変化、消費者のライフスタイルの変化にうまく適応したモノが勝者になり、適応できないと衰退していくことが見えてきます。

例えばクルマ。

マイカーが普及することで、消費者の購買スタイルが商店街に行って歩いて買い物するスタイルから、幹線道路沿いにありクルマでアクセスしやすく駐車場もあるスーパーマーケットに週に1度まとめ買いするスタイルに変わりました。

それにより商店街がだんだんと廃れていき、郊外の大型スーパーが伸びることになります。この時代に勝者となったのがイオンになります。

また、深夜帯でも活動する人が増えることや、単身世帯などが自宅に商品を保存せずに必要な分を必要な時に買いたいというライフスタイルの変化に対応する形でコンビニエンスストアが支持されて大きく成長していきました。ここで勝者となったのがセブンイレブンを運営する、セブン&アイホールディングスになります。

そう考えると、いま起きているインターネット、スマホ、AIなどによる大きなテクノロジーの変化とCOVID-19による大きなライフスタイルの変化が次の小売の勝者を決めるのは確実であり、その中で消費者が日々消費する生鮮食品という分野において、ネットスーパーが従来の店舗型スーパーのシェアに匹敵し、さらには超えていく未来も現実に見えてきます。

ネットスーパーでの買い物が主流になる未来において、私が注目している点は2点あります。

一つは「ネットスーパーは店舗型スーパーとシェアを奪いあう関係にあること」、もう一つは「地方の中小スーパーマーケット事業者がネットスーパーを運営可能なのか?」という点です。

ネットスーパーは店舗型スーパーとシェアを奪い合う関係

スーパーマーケットとコンビニエンスストアは意外ですが、売上のシェアを奪い合う関係ではありません。それは同じものを販売していたとしても利用シーンが異なるからです。

コンビニエンスストアを使う場合はその日、その場で消費するものを購入します。しかしスーパーマーケットでの買い物は数日〜1週間分などのまとめ買いになるので実は解決している問題が違っています。なので同じ人がコンビニエンスストアで買い物もするし、スーパーでも買い物をするというの共存できるのです。

しかし店舗型スーパーマーケットとネットスーパーは「数日〜1週間分で消費する商品のまとめ買い」という同一の課題を解決するものであり、ネットスーパーを利用する人は店舗型スーパーの利用は確実に減っていくでしょう。

地方の中小スーパーマーケット事業者がネットスーパーを運営可能なのか?

次に「地方の中小スーパーマーケット事業者がネットスーパーを運営可能なのか?」という点ですが、これは今の状況では非常に難しいと考えています。

既存のスーパー事業者がネットスーパー事業を行うには先程も述べている通り「ネットスーパーのシステム開発・運営」「集客 / マーケティング」「物流」に対する投資が必要です。

そして投資をしたとしても、そもそも生鮮食品商品の利益額からネットスーパー事業の利益を出すのは非常に難しいのが現実でしょう。

流通業界でネットスーパーへの参入は増加しているものの、儲かっているスーパーはごく一握り。最近では物流コストの上昇に耐えかねて、従来数千円以上は無料だったのに、配送料数百円を設定しているところも多くなっている。
ただ、ウォルマートですらEC事業では投資が先行しており、収益化はまだ先。

まとめ

・「ネットスーパーによる生鮮食品の購買が主流になる」

・「ネットスーパーが今後の店舗型スーパーとシェアを奪いあう関係にある」

・「地方の中小スーパーマーケットは、ネットスーパーに投資することができない」

この3つが現実のものになると、いま商店街が郊外スーパーマーケットやモールに消費者を取られて衰退したように、店舗型スーパーマーケットがネットスーパーに消費者を取られて衰退していく未来が見えていきます。

この未来をいち早くしているため、現在のスーパーマーケット業界の巨人であるイオン、ライフ、西友はまだ投資先行であったとしても、テクノロジー業界の巨人と手を組んででもネットスーパー事業に取り組んでいるのでしょう。

ただ、僕は沖縄という地方に住んでいるソフトウェアエンジニアとして、中小企業や地方をソフトウェアの力でエンパワーメントするのはは重要なテーマの一つです。

次は地方の中小スーパーマーケットがネットスーパー時代に発展していく方法がないかも考えてみたいと思います。

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