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noteに辿り着いて

 私がnoteを知ったのは、先週の木曜日でした。まだ五日しか経っていないのですが、なんだかやっと辿り着いたって気がしています。

 私が最初に人様に読んでもらうものを書いたのは多分二十代の前半、きっと二十四歳かそこらだったような気がします。
 高校の一つ後輩の数人が、同人誌を作るんだけど何か書いてくれない? というので、ショートショートくらいなら。と引き受けて、その不定期の薄い同人誌の隅に短い小説をいくつか書きました。
 その小説は主に恋愛もので、しかも基本的に微妙にすれ違う男女の機微みたいな題材を生意気に書いていました。同年代にはなんのことだかわからなかったようで、彼らのお母さんたちに好評だったそうです。何しろ当時は阿刀田高にかぶれていましたから。
 その後、その同人誌は立ち消えになり、私も自営業で仕事を始めて、法人化したりと忙しかったのですが、Macを触るようになって、パソコン通信のチャットに夢中になっているうちに、インターネットの時代が来ました。
 あるとき、Macのサイトの中の掲示板なのに、弱ったMacユーザーをWindows陣営がいじめるような、不毛な展開を見て悲しくなった私は、「それでもMacはいいよね。みんな仲良くしようよ。」というようなことを書き込んだら、それまで陰鬱としてトゲトゲしかった掲示板が、突然明るく楽しい場所になって、数人で大はしゃぎしちゃったんですね。
 その後は2ちゃんと一緒です。誰かに、人の掲示板で騒いでるのは如何なものかと水を差され、そこの管理人さんも実は楽しく見ていてくれていたのですが、これ以上人様のところで迷惑をかけるわけにもいかないと、私が掲示板を立ち上げて、みんなと引っ越しました。

新林檎依存症隔離病棟BBS:http://www.21styles.jp/bbs/elan/

 ここはもう十五年ほど前に作って、今は書き込みもほとんどなくなりましたが、ずっと続けています。要するにMacバカは隔離しなきゃまずいだろ? ということで作ったんですね。今でこそAppleは元気ですが、その頃は潰れちゃうかもなぁって空気が漂っていました。そしてそこで知り合った友人たちとは、今も交流があります。

 その後、Appleが.macという、今のクラウドの先駆けのようなサービスを始めたときに、ユーザーに配布したiBlogというBlog配信アプリケーションがあって、「Weblogってなに?」っていうところから手探りでBlogを始めました。
 何しろBlogという言葉も日本に入って来たばかりで、最初はWeblogと呼ばれていました。
 そして同時期にそのツールを使ってBlogを始めた人たちと交流が始まったのですが、何しろインド人が作った英語圏用のアプリケーションだったので、日本語環境で使うには色々と不都合が多く、それを寄ってたかって、バリバリのエンジニア達がパッチを当てながら互助会的に運用するという、ある種のムーブメントが起きました。
 けれどもそれは、Macでターミナルを使ったり、アクセス権の修正をうんちゃらかんちゃらして、さらにCSSやStylesheetがどうのこうのと、私にはかなりちんぷんかんぷんで、他のみんなは、発信とBlogのカスタマイズをバランスよく同時に楽しんでいたようですが、私には正直今でも馴染めない世界でした。
 実はそのiBlogというツールは、MacOSのアップデートに伴って使えなくなり、ほぼ絶滅したのですが、日本でほぼ唯一アクティブな状態で生き残っているのが、私のブログです。

Elan's Weblog:https://goo.gl/Zhy9Lp

 CSSもStylesheetもターミナルも苦手な私は、それよりもコンテンツに重点を置いていました。
 そこで暴挙に出ます。
 ある日、書く時間がないので、なら喋ればいいのか? 音声ファイルも公開できるのかな? と思い、書く代わりに普通にベラベラ喋ってあげちゃったんですけど、これがウケまして。誰もやらなかった(恥ずかしくてしなかったがきっと正解。)せいもあって、そこからあれこれと一気に盛り上がったのでした。
 ちなみにRSSで一般に音声を配信したのは、私は日本でも一番かそこらの位置にいたと思います。その後ポッドキャストが始まった時には、もうおせーよとか言ってましたから。
 とはいえ、iBlogというツールも、MacがPowerPCからIntelに移行していく過程で消えていきました。

 同時並行で、mixiってのが始まったから紹介しとくねーなんて誘いがあって、まだ始まったばかりのmixiに参加してみたり、なんかつぶやけるらしいよーなんてことでTwitterを始めてみたり、なんか本名じゃないとダメらしいよーとかで上陸したてのFacebookを始めてみたりはしたんですが、どうもこうなんというのか・・・

 なんかこうしっくりくるようなところはなかったような気がします。

 もう昔の話になりますけど、その頃のBlogって、やっている人が少ないので、お互いに励まし合っていたというか、盛り上げようとしていたというか、誰かがエントリーすると、寄ってたかってコメントしまくるわけですよ。うっかりすると書いて何時間かして見たら、コメントが30件とかついてて、それに返事しているうちに、さらにコメントが入ってくる。本文書くより大変なんだけど、それがもう本当に楽しかった。
 最近はBlogにコメントってあんまりしないですよね。私もしなくなりました。

 他にも外国為替のBlogを書いたりもしていたのですが、それは為替の話なんで、あまり心情の入り込む余地がなくて(それでもしこたま入ってはいるのですが)なんというか書く場所が無くなっていました。

 そして今年私は会社と個人で同時破産することになって本なんか書いちゃったわけですが、書き終わってさてこれからどうしよう? という時に、友人(隔離病棟友達)が、noteも見ておいたら? なんていうので、先週見て、なんでもやってみないとわからないので、やってみるのが私流なんですが、えっと・・・・

 いいじゃないですか。

 すごくいい。

 CSSとかStylesheetもいじらなくていいし、広告も無いし、他に書いている人たちもコンテンツ(この言い方はちょっと嫌だけど)に集中している感じで、え、無料でこんなに豊富な読み物たくさん読んでもいいの? という感じで、とっても素敵です。

 いや、だからこんな文章書いているんですけどね。

 インターネットのインフラが整備されて、いろいろなチャレンジやアイディアがあったけど、妙に難しくややこしくめんどくさくしちゃって、こういうシンプルなのはなんかチャチに見えたのかなあ? でも却ってこのシンプルさが実は心地いいってことにようやくなってきたんだなぁと思います。

 それから、イイネじゃなくてスキなんですね。

 これも最初にもらった時はなんだか素直に嬉しくて、あ? なに? スキ? え? みたいな感じで嬉しくて、それも作る側と見るだけの側というんじゃなくて、お互いにそれぞれの世界を紡いでいる人たちな訳で、作る人たちが集まってお互いをリスペクトするっていう世界観がすごく素敵で、それはiBlogを始めたあの頃ととても似ていて、それでいて全く違う、もう少しなんだかピュアな感じ。そんな感じがしています。
 たった一週間にもならないのに、何言っちゃってんの。って思われそうだけど、十五年くらい前、Blogって言葉が日本ではほとんど知られていなかった頃にBlogを始めたおじさんの素直な感想です。

note素敵です。


サポートする代わりに、こんな本を書いたり、こんなことをしている奴がいるよーって触れ回っていただけると助かります。