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NPO立ち上げのリアル!設立から半年の間にやったこと、学んだこと

NPO法人を設立してから約半年が経過しました。
体感1年といったところですが、ようやく半年です。

正直な感想としてはよく生き延びてたなというところですが、今の思いやここまでの歩みをのちに振り返られるように文字に残しておこうと思い、書きました。

また、NPO法人を立ち上げて、自分でもやっていきたい!という人や既にNPOを運営している人の参考にもなれば嬉しいです。

どんな団体を立ち上げたのか

自己紹介をしておくと、現在NPO法人サンカクシャという団体で若者の支援をしています。
https://www.facebook.com/npo.sankakusha/
(ウェブサイトは1月頃リリース予定)

サンカクシャは、学校に馴染めない15歳から25歳くらいまでの若者「タマリバ」と「社会サンカク」の機会を提供しています。
サンカクシャの名前は、社会参画からとりました。地域に若者のタマリバを作り、ご飯や話し相手、仕事の提供を行っています。タマリバに来れない子へは、こちらから出向いてつながりに行くアウトリーチ活動もしています。

ちなみに、立ち上げて3年ほどしたNPOから独立し、新しく立ち上げた形になります。全くのゼロからではなかったので、ある程度の活動基盤はありました。豊島区に活動拠点となる一軒家を持っていて、若者も一定数繋がっていて、自治体や企業との繋がりもありました。
こうした前提はありますが、組織を一から自分ひとりで立ち上げたことはなかったので、手探りの連続でかなり死にました。同じような人が出ないように、私の辿った道は共有しておきます。

設立から半年の間にやったこと

組織を一から作るというのは、あらゆることを同時にこなさなくてはいけなくなります。
とにかく言いたいことは、一人でやらないことです。

相談できる人を捕まえておくのと、一緒に手を動かしてくれる人は必ず見つけた方がいいです。こういう時にお願いした人は、設立後もとても強力なパートナーになってくれます。
何から手をつけたら良いかわからないくらい、本当にあらゆることをやらないといけないので、私が辿ったことをできる限り網羅してまとめようと思います。抜け漏れもあると思うので、これだけやれば大丈夫というものではないので悪しからず。

〜設立準備〜

■活動の中心メンバーを集める
一番近くで一緒に仕事をするメンバーなので、できる限り公私ともになんでも話せる仲間がいいと思います。
ポイントは、こいつにお願いされたら死ねる!くらいの人がいいように思います。ありがたいことに私には3名何でも話せる人がいました。基本大変なので、愚痴やらしんどいことやら、楽しいことなどを共有できるだけで本当に救われます。
あとで書きますが、立ち上げから手伝ってもらい、2番目の職員になったメンバーがいるのですが、数ヶ月で辞めていきました笑。

■理事を決める、正会員を集める
設立に関しては、わからないことだらけなので、とにかく詳しそうな人に何をしたら良いか相談しまくることです。相談するうちに、「この人は継続して相談に乗ってもらいたい」という人が出てくるので、理事になってくれないか!とお願いていきました。ちなみにサンカクシャの理事は、立ち上げ期に出会った方が多めです。
アドバイスをしてくれる人、手も動かしてくれる人と人によって関わりは様々ですが、困難に陥った時に、なんとかしようと動いてくれる人が良いと思います。
できる限り困った相談をするようにしています笑

また、NPOを設立する際は、正会員を10名集めないといけないのですが、正会員は議決権を持つので、この人にだったらいいことも悪いことも共有できるという人をお願いした方がいいかなと思いました。

■定款等の設立書類を作成する
これが一番めんどくさいのと意味がわからなかったです。
私はたまたま知り合いに東京ボランティアセンター@飯田橋の人がいたので、その方にお願いして、活動の詳細を伝え、サンプルとなる定款を団体にあった形に修正していきました。本当に丁寧にありがとうございました!
その他、申請に必要な書類がたくさんあるのですが、こちらを参照してください。(東京都の場合)

一番スケジュールが狂うのは、理事監事の住民票の取得です。理事監事が決まった段階で早めに住民票(※マイナンバーの記載なし)をもらうようにしておくのが大事です。

認定NPOを取得することも視野に入れているのであれば、定款の内容はしっかり頭に入れておくことと、めんどくさいかもしれないが、定款に忠実に運営していくことを強くオススメします。最初めんどくさがると後が大変になります。

■設立総会を開催する
設立関係の書類が整い、理事や正会員が集まったら、早急に設立総会を開きます。というのも、登記申請に設立総会の議事録が必要なんです。
私たちの場合は、ギリギリまで団体名が決まっていない状態だったので、設立総会は、団体名を決めることに割と多くの時間を割きました。
(スピード開催だったので、来れない方も多くてすみませんでした。。)余裕を持っての開催をオススメします。そしてこのタイミングで活動内容や思いをしっかりと伝えるべきです。

■登記申請
東京都庁に出向き、書類を提出します。チェックリストにある項目の不備がないかどうかを見られます。
ノーミスで行きたかったので、事前に作成した書類を東京ボランティアセンターの方に見ていただきました。
私たちの場合は、ほぼノーミスだったので、約2ヶ月で登記完了しました。
こんな感じです。
3月17日設立総会→3月29日登記申請→5月11日認証がおりる→5月24日登記完了


〜設立期〜

■理事会を開催する
理事の方々に、現在の口座残高や今後の事業計画、抱えている課題など全て包み隠さず共有しました。その方が一緒に課題解決に動いてくれるので、最初のうちにできる限り全て共有し、協力をお願いしていました。
理事会は、立ち上げ時期なので、四半期に1回程度開催しようと決め、4ヶ月毎に収支や各事業の進捗を共有することにしました。
自分で立ち上げた組織とはいえ、あくまでの組織のビジョンミッションのために、代表である自分が動けているかを客観的に見ていただくためにも理事会や総会はとても重要になります。

■ロゴの作成、SNSアカウントの作成

ロゴの作成に関しては、独立を公表したタイミングで、お世話になっていたデザイナーの方が、ロゴを作っても良いかと名乗り出てくれました。
連絡が来た時には、「嘘だろ!?」と思ったのですが、何度か足を運び、趣旨を説明し、とっても素敵なロゴを作成してもらいました。一生の宝にします!そして、このロゴがあちこちで多くの人の目に留まるよう活動をしっかり広げていこうと心に誓いました。

ちなみに、ロゴができるまでは自分たちでこんなロゴを作っていました。今思うとだいぶふざけてますね。

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(仮)とつけていたので、まあ遊ぼうと思って作ったのですが、このロゴを見て、デザイナーの方が見かねて!?連絡くれたようです。

(仮)ロゴで登記準備中というカッコ書きで、SNSアカウントを作りました。フェイスブックとツイッターの2つ作ったのですが、ツイッターはほとんど運用できてません。。
NPOセクターの人は、割とフェイスブックで繋がる印象が強いので、まずはフェイスブックにいいね!と増やしていくのが良いかと思います。
ツイッターはその次ですかね。頑張って運用せねば。

■ボランティア募集をはじめる
こうした若者支援は、職員も大事ですが、ボランティアで、仕事ではなく関わる人の存在がものすごく重要になります。
ボランティアを募集したのですが、フタを開けたら100名以上の方が説明会に参加してくださり、60名の方がエントリー、結果45名近く採用することにしました。
どう集めたかのか、集めてどうだったのかはまた別途まとめたいと思います。

こちらは説明会の様子。

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■自治体や関係機関に活動内容の周知

私たちの場合は、委託を受けていたり契約があるわけではないので、そこまで大変ではなかったです。
どちらかというと独立した経緯や背景を説明することの方が多かったです。
サンカクシャという名前が定着するように、その後も何度も何度も名前を連呼していました。

■若者、保護者への活動内容の周知
若者や保護者にも説明をしてまわりました。正直、個人名で覚えられていることが多かったので、団体名が変わってもさほど関係ないという保護者の方が多かったのですが、若者が「サンカクシャ」という名前を口にしてくれるまでは、定着するだろうか正直ドキドキしていました。今では、普通に呼んでくれるので嬉しいです。


〜立ち上げ資金の調達〜

■銀行口座の開設
銀行口座の開設は、まず任意団体の口座開設から行いました。
作った口座は下記の通り。
・ゆうちょ銀行(任意団体)
・ゆうちょ銀行(NPO)
・住信SBIネット銀行
NPOの登記が下りる前に口座が必要だったので、任意団体の口座も必要でした。
NPO設立の書類で任意団体の口座が作れたらと思ったのですが、それができず、わざわざ任意団体用の定款などを作成して提出することになりました。
基本3週間程度かかると見込んでおけば大丈夫です。
NPOの申請書類と銀行の申し込み書類があればすぐ提出できるので、NPOの申請書類ができてしまえば割と簡単にできます。メガバンなどになってくると話は変わりますので、あくまでも上記銀行のみの話。

■助成金を出しまくる
立ち上げの時はとにかくお金がなかったので、かたっぱしから助成金を申請していました。十数本は提出したと思います。いつも締め切りギリギリになってしまい、締め切り前に慌てるのがデフォルトになってしまいました。。これから変えていきたいです。。
助成金は、この2つを見ることが多いです。
・CANPAN
https://fields.canpan.info/grant/
・ボラ市民ウェブ
https://www.tvac.or.jp/sagasu/?cat=joseikin

この助成金の申請書を書くことで自分たちの事業の背景や実施内容やスケジュール、予算などクリアになっていくので、めんどくさがらずに、黙々と取り組むことが大事になるのと、メンバーにも共有し、自分たちの事業のことを自分ごとにしてもらえるような機会にもなるような気がしているので、大変ですが、大事な時間です。
■寄付をお願いしまくる
寄付のお願いって何かキャンペーンがないとやりにくいですよね。
立ち上げ期は、お願いする絶好の機会なので、躊躇なく、自分たちの活動の宣伝ということを兼ねて、色々な人に祝ってもらいつつ、活動のことを知ってもらいつつ、応援者になってもらうことをおすすめします。
私たちは、立ち上げ時のクラウドファンディングを行いました。

NPO法人サンカクシャ誕生!ともに子ども若者が孤立しない社会の実現をめざすスタンドアップパートナーを募集します!

最初に割と大口の寄付が集まったので、途中はほとんど手付かずで結構ギリギリまで放置していたので、ラストスパートが本当にしんどかったです笑
ですが、これを機にサンカクシャのことを知ってもらい、応援してくれる方が増えたのは本当にありがたかったです。たくさんの人に応援されていると実感できたことが何より励みになりました。

■設立記念パーティを開催する
クラウドファンディングの終了のタイミングで設立パーティも開催しました。
当日は、70名ほどの方々が参加してくださり、じっくり説明もできました。若者たちにも運営をかなり手伝ってもらったので、みんなで作ったイベントになりました。
本当に反省なのは、呼びかける関係者のリストを事前に作成し、いつまでに招待をするかを決めておかなかったことで、ギリギリになってしまい呼べなかった人など出てきたので、次回から徹底したいと心に誓いました。

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〜活動の仕組み作り〜


若者との関わりも居場所の運営も事務局も全部やるのではなく、できる限り細かくやることを分解して他の人にでもできるようにしようと決めていました。
「荒井は現場運営の役割は担わない」とまず宣言することから始めました。

若者を受け入れてから、伴走し、社会に出ていくまでのサポートを細かく設計し、ここではこの人はこういうことをするという業務フローを作成し、お願いをするという形にしていこうと思いました。(すごくありがたいことに、業務フローを作成しなくても阿吽の呼吸で動けるメンバーがいたので、作成はせずに運営を開始しました。とはいえ作らないといけないので、次の人が入る時、次の拠点を展開する時に活用したいと思います。)

特に、メインの活動拠点の要町の場は、木村さんというお母さんスタッフが子連れで切り盛りしてくれ、本当に良い場にしてくれました!日に日に利用者も増え、手狭になってきたので、これからもう1箇所拠点を増やします。

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保育園っぽいけど、スタッフの子どもと若者でピザ作ってる時の写真。


〜事務局基盤の整備〜

活動が本格的に始まる一方で、事務局の基盤も整備していきました。
ありがたいことに理事の一人がNPOの事務回りにとても強い人なので、相談しつつ進めていきました。

■freeeの導入
勘定科目ってどうやって設定したら良いのか?という感じだったのですが、ありがたいことに、ボランティア募集をしたら公認会計士の人が来てくれたので、そのまま経理担当をお願いすることにしました笑(こんなことってあるんですね)
税理士の方にfreeeの導入サポートに入ってもらい、事務局で勘定科目を決め、freeeを運用していきました。理事会もあるので四半期に1回活動計算書を作成して振り返りをしています。

■保険関係の手続き
これまで自分で手続きしたことなかったのですが、雇用保険やら社会保険の申請や簡単にでも仕組みを知っておかないといけないですね。いくらの給料を支払うとどのくらい社会保険料を支払うのかなど結構知らなかったなぁと反省。
立ち上げでバタバタしていても一度自分で申請して仕組みや内容を覚えた方が良いなと思いました。

■支援者とのコミュニケーション
本当にたくさんの人に日々応援してもらっているので、できる限り活動報告やお礼をしたいと思っているのですが、なかなか対応の時間が取れずにいました。

活動をしっかりと進めていくことが一番のお返しですが、お礼や報告は必須なので、自動化できるところは自動化すべきです。

プロボノの方に入ってもらい、差し込み印刷を教えてもらった時は感動しました。
寄付者の方々へのお礼やグッズや報告書などの配送などの仕組みができてしまえば、活動報告会なども今後やりやすくなるので、最初に気合で整えていくべきです。

今だから思うやった方がよかったこと

ここまでざっとやってきたことをたくさん書きましたが、振り返ります。
やっておくべきだったなと思うのは、やりたいこと/作りたいものの情報発信(社内も社外も)かなと思います。
基本的にやりたいことやこれを作りたいと思うものに溢れているので、身近な人や周りの人に積極的にもっと発信していくべきだなと思いました。

アイデアやアイデアの背景にある仮説などはもっと発信していくべきで、そうした発信があれば周りの人が動きやすかったり、協力したいと名乗り出てくれることが多かったんじゃないかなと思います。

発信することで一緒に動いてくれる仲間も見つかるので、これからは積極的に情報発信をしていけたらなと思うのと、頭の中にある事業や活動の仮説のようなものをもっとアウトプットしていきたいなと思います。

今後の展望

サンカクシャは立ち上げた時から5年で5億円規模のグループを作ると宣言しています。そのためにまずは3年で1億円規模を目指しています。

なんでNPOなのにこうした目標を掲げているのかというと、やはり活動資金が大事だと痛感したからです。これまでの活動はやはりかなり何かを犠牲にして作り上げてきたものでした。もちろん、こうした団体を立ち上げたので、立ち上げた私の人生のほとんどの時間はこの仕事に費やすと決めているので、自分自身のことは良いのですが、周りで巻き込む人たちが、家庭を持ちはじめたり、子どもが生まれたりしていく中で、活動のやりがいだけでなく、経済的な部分もないと継続して活動ができないと感じました。

お金があれば、解決できるというわけではないですが、犠牲の上に成り立つ仕組みではなく、お金もしっかりとまわりつつ、活動もうまく両立するという形でやっていきたいという宣言の意味を込めて上の目標を宣言しています。

活動の質を高めていくことにばかり注力すると、運営が難しくなり、お金のことばかり追求しすぎると活動の質が下がっていく。このバランスの追求は本当に難しいと思うのですが、ここにこそチャレンジしていきたいと思っています。

これまで10年近く取り組んできた大好きな活動で、思い入れも強い活動をこの先もやっていきたいし、一緒に活動する仲間を増やして、事業を大きく、そして深くしていきたい。

個人的には、団体で得た利益を、ディープな支援に投入することが一番やりたいことなので、ディープな支援をするためにも、団体運営はできる限り仕組みにし、うまくビジネスモデルを作り、お金がまわりつつ、深い支援もできるような組織にしていきたいと思っています。

まだまだ立ち上げたばかりなのですが、これからも頑張りますので応援をよろしくお願いします!


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