《ガード・ドッグ》から見る遊戯王の「ミクロな秩序」
あらいぐまです。普段はカード考察やデッキ構築備忘録を書いています。
今回はあるカードから話題を広げて、遊戯王哲学的な話をします。
多くのプレイヤーに身近な内容だと思いますので、少し目を通していただけたら嬉しいです。
この記事は遊戯王ブログナビ様主催「第1回遊戯王ライターバトル3on3」に合わせて書いたものです。リンク先から「いいね」が押せます。
それでは始まります。
序論
《ガード・ドッグ/Guard Dog》
効果モンスター
星3/地属性/獣族/攻1500/守 500
リバース:このターン相手プレイヤーは特殊召喚できない。
突然ですが、このカードを皆さんはどのように使いますか?
一番わかりやすい使い方は《聖占術姫タロットレイ》等で特殊召喚し、相手ターンにリバースさせて特殊召喚を封じるものだと思います。
その強い拘束力は魅力的ですが、世の中にはこのような動きをされたくない人も大勢います。ゲームテンポが失われ、自分のやりたいことができなくなるからです。
この価値観の違いは多くの場合「ガチ」「カジュアル」という区分けによってなされます。
ですが「カジュアル」を構成するプレイヤー全員の価値観が一致しているわけはありません。そもそもこのカードやタロットレイは大会等で使用するにはパワー不足ですから、これらもまたカジュアルなカードです。
ならばそのチョイスは何によってなされているのか?
プレイヤーの趣向、だけではないはずです。なぜならゲームには対戦相手がいるからです。《ガード・ドッグ》を使いたくても友達がそれを拒絶するなら使うべきではないでしょう。ここには選択の不自由性が生まれています。
つまり、この不自由性が「秩序」なのです。
ミクロな秩序
大会をメインに活動する人は全ての可能性の中で最大限に強いデッキを求められます。
逆に身内としか遊戯王を遊ばないならば、極端な話そういったカードプール全体での観点は無視できるはずです。なぜならそれはマクロなレベルでの秩序であって、身内環境にはミクロなレベルでの秩序が存在するからです。
シンプルな例を上げます。
《ガード・ドッグ》の効果は高い拘束力を持ちますが、遊戯王OCG全体のカードプールでは《エルシャドール・ミドラーシュ》や《真竜皇V.F.D》といったより扱いやすい拘束カードが存在します。
セットからリバースという二段階を要求され、名称サポートもない《ガード・ドッグ》の評価は総合的に低くなります。これはマクロな秩序です。
一方で、上の2つのような明らかに強いカードが嫌われているが、高いパワーレベルでコンボを好む遊戯王を遊んでいるグループが存在したとします。彼らは視覚的に面白い《聖占術姫タロットレイ》と《ガード・ドッグ》のコンボを受け入れるかもしれません。
また他方でそうした場を硬直させるカード全般を排除して、プレイヤー間のインタラクションを楽しむグループがあるなら、そこでの《ガード・ドッグ》にプレイ面での価値はまったくありません。
2つのグループにはそれぞれ別の「ミクロな秩序」が働いています。彼らは大会的な秩序によってプレイしているわけではありませんが、単に自分たちの好みでカードをチョイスしているわけでもありません。
・メンバーの快不快
・扱うカードのパワー
・好きなカード
・ゲームスピード
・コンボと戦略性のバランス
ここで重要なのは、それぞれの「ミクロな秩序」によってカードやデッキの評価が一変してしまうということです。
《ガード・ドッグ》の特殊召喚を止められる《灰流うらら》をケアするために《墓穴の指名者》を採用するのか? しかしそれは手札誘発が受け入れられるグループにおいての話です。
除外された《ガード・ドッグ》を戻すために《早すぎた帰還》を採用するのか? しかしコンボ偏重のグループにおいては、もしかしたら除外除去そのものが排除されているかもしれません。
上のは身近な例ですが、「ミクロな秩序」の形はグループによって異なります。まったく同じ考えを持つ人がいないように、まったく同じ「ミクロな秩序」もまた存在しないでしょう。
これによりカジュアル界隈において、違うグループのプレイヤーのデッキを本質的に理解することは難しいと言えます。遊んでいるゲームそのものが違うのです。
秩序を共有する
この問題の解決策は自分たちの「ミクロな秩序」を共有することです。
デッキ紹介をする際、どこかに「手札誘発は考慮していません」「勝利以外の目的があります」等と書くだけで読者の認識は深まります。
自分の場合は先攻が3妨害ぐらい構えられて、誘発も盛りだくさんな環境なので《ガード・ドッグ》を使うならそれを考慮してデッキを組みます。《タロットレイ》は隙が大きいのでパワーの高い星遺物を中心にまとめるかもしれません。除外ケアもするでしょう。
そういうことを要点を絞って伝えることが本当に大切だと思いますし、様々なデッキ紹介を見てきて自分が感じたことでもあります。
ここまで読んでくださってありがとうございました。もう一度リンクを貼っておきますので「いいね」お待ちしています!お待ちしています!
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