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【読書】2019年 麻生的ベスト本

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もう2019年もあと数日を切りました。

ということであそうさんが選ぶ2019年ベスト本!

なぜボクが本を読むか。それは、たいていの人の悩みは誰かが答えを出したりすごく考えていてそれを本にしているから。本を読めば悩みの解決方や同じように悩んでいる人に出会える。それが理由として非常に大きいです。

とはいえ、そんなにたくさん読めない。というのもちょっと難しいレベルの本を読むのが一番達成感があるためなかなかすらすらは読めないから。

さて、今年は何冊読んだろう?たぶん月数冊ぐらいだけどその中からよかった本を紹介します。


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【心理・幸福】心の安定と幸せについての本

フロー体験 喜びの現象学

アメリカの心理学者チクセントミハイ氏による「幸福」や「楽しみ」についての本。「フロー」という概念について書かれている。
この本を読むと幸せについて考えることができる。

幸せとは何だろう?お金だろうか?実はお金と幸福度には相関があることが知られている。
アメリカ人を対象にした研究では、年収800万円ぐらいまでは年収が高ければ幸福度が高い。しかしこれではお金があれば幸せだとは限らない。なぜなら幸福度とお金は弱い相関にあるからだ。(弱い相関とは、年収が高ければ幸福度も高くなる傾向があるが、影響は弱い。ものすごく雑に言えば年収が上がれば幸せになる可能性はあるが、多くても30%ぐらいの人にはそういえるという程度)

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画像参照(https://qiita.com/nab/items/23be9d4e3da81aca799e) 

では幸せは何から得られるのだろう。幸せを得られる物、それがフロー体験だ。
本を読んでいてついつい時間を忘れてしまう、登山をしていて自分と自然が一体になった感覚になる。こういった感覚になることはないだろうか?このフロー体験を経験しているとき幸福度が高くなる。
フロー体験はその人の能力をうまく発揮し、とても楽しく、成長と発見を得ることができ、それが幸せにつながる。

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ではフロー体験にはどのような時になるのか。それを表したのが上の図だ。
能力レベルが高く、挑戦の難易度も高いとフロー体験(Flow)に入ることができる。
能力が低く難易度が高いと不安(Anxiety)になるし、能力が高くても難易度が低いと気の緩みや退屈(Relaxation)に陥る。
読む速度はあがらないけれどあえてちょっと難しいレベルの本を読むのもそのためです。

また、フロー体験を構成する要素を7つあげている。すべては紹介できないがその1つが、「行動への集中」だ。
私たちは普段、自分が思っているよりいろんなものに注意をはらっています。つまり、集中力をいろんなものに分散しているわけです。ところがフロー体験中はその行動に集中力をすべて注いでいる状態になる。この1点集中力が必要だ。

フロー体験は楽しさや成長などをもたらしてくれるわけだが、その要素には一点集中が必要だ。しかし、普段の生活では、時間を忘れ自分の存在が何かと同化していまうような感覚はなかなか得られない。では、フロー体験の条件の1つであるあなたの集中力は何が奪っているのだろう?

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【依存】SNSがあなたの時間と集中力を奪う

僕らはそれに抵抗できない
ー「依存症ビジネス」のつくられかたー

あなたは依存症と聞くと何を思い浮かべるだろう?
ドラッグ?お酒?性行為?
では、スマホ依存と聞いてなにを思い浮かべるだろう?
どうせそれは仕事を放り出し掃除も食事もろくにしなくなる人だ。と他人事に考えていないだろうか?

この本を読むと依存症とはモノによって引き起こされる病気という感覚が古い物だと知るだろう。依存はモノだけではないことが最近の研究でわかってきている。
モノではなく行動の中毒、それが「行動嗜癖」だ。ついついやってしまうというのが行動嗜好。それは決して意志が弱いとかやる気がないとかそういうたぐいではない。

スマホ依存の実例

・スマホの使用時間を予想してもらうとほとんどの人が半分以下と見積もっていた
・スマホの平均使用時間は3時間。起きている時間の1/4はスマホと向き合っている。
・メールのチェックやゲーム、記事の閲覧などに使う平均時間は生涯で11年間
・スマホ依存症は調査によると2億8000万人で、依存症患者で国をつくると中国インドアメリカについて4番目に多い人口だ。
・マイクロソフト(カナダ)によると2000年では、人間の平均的な注意力持続時間は12秒、それが2013年には8秒になり、金魚の注意力時間9秒を下回った。
・2013年心理学者による実験では、他人同士をペアで組ませ話をさせた際、手元にスマホを置いたグループは手元に紙を置いたグループより相手との関係の質を低く評価した。

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合計が7以下なら問題なし。
8~12なら軽度のネット依存。
13~20なら中度のネット依存。
21~なら重度のネット依存。

ネットやSNS依存は他人事ではない。フロー体験に必要な集中力を奪う。スマホが手元にあると相手との会話で関係性にひびをいれ、集中力を奪い、現代人の集中力はもはや金魚より短い。
スマホやゲーム、SNSなどはそういった依存症になる人間の仕組みをわかったうえで設計されている。人間の限りある時間や集中量をいかに自分の商品に使わせるかということを狙って作っている。

この本をおすすめする理由は、現代人はスマホ依存のような行動嗜好なんだ!という陰謀論のようなところだけで無いところだ。依存症ときけば悪いイメージ。ところが肥満患者に運動依存症をしこめば健康体重になるし、場合によってはスキルアップを目指すサラリーマンを勉強依存症にすれば英会話の勉強を続けられるかもしれない。

行動嗜好は使い方によって人生を激変させる。では行動依存はどうやって起こせるのか。行動依存はどうやって使えるのか。

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【心理・行動】心ではなく行動をみる心理学

行動分析学入門 ―ヒトの行動の思いがけない理由

なぜ甘い物はやめられないのか。なぜ英会話教室は続かないのか。たいていの人はそれを心や性格のせいにする。根性が無いとか怠け者な性格のせいだと。そういった心を見るのでは無く、行動を見ていこうというのが行動分析学だ。

人間や動物の行動には、その原因がある。その行動の原因を解明し、行動に関する法則を見いだそうとするのが行動分析学である。心理学の一部である行動分析学の研究対象は主観的な意識ではなく行動にある。

「こころ」が問題行動を起こしているという今までの常識を一変させてくる。それがこの本だ。

こころが行動の源泉だという考え方はここでは捨てる。なぜならそれは説明になっていないからだ。

たばこがやめられないというのを例に考えてみよう。なぜタバコはやめられないのだろう。それは意志が弱いからだ!と仮定してみる。
では意志が弱いとはどういう事を指すだろう。この文脈では「意志が弱い」とは、ついついタバコを吸ってしまう事になる。これをまとめてみると行動の原因を心や性格に求めることの意味のなさが見えてくる。

「たばこがやめられない」→「意志が弱いから」
「なぜ意志が弱い?」→「たばこがやめられない人だから」

もっとも基本的な循環論法である。(AはBである。なぜならBはAであるから)
これに意味があるだろうか?はっきりいって意味が無い。
こういった行動になにかしら名前を付けるのを「ラベリング」という。名前を付けると何かがわかった気にはなれるがなにも解決しない。

この本で得られる事の1つは「性格や心を原因にしても問題は解決しない」という考え方である。

ではなぜその行動を起こしてしまうのか。すべては紹介できないがこの本を読めばその基礎がわかるようになる。行動の原因の一つが、行動の直後にある現象に人間は影響されてしまうということだ。

動物は直後に起きる結果とその行動に因果関係を感じてしまう。行動と結果までの時間が短いほど因果関係を強く感じる。それはハトでも犬でも人間で同じ。
ボタンを押すと餌が出るということを学習するとボタンを押すようになる。さらに、ボタンという行動から餌が出るという結果までの時間が短いと強い因果を感じてしまう。

自分の周りでも身に覚えがないだろうか?
つぶやいた途端にイイねという反応がくる。まさにFBやツイッターが精工している理由の一つがそれだ。
もしあなたがアイドルならファンが呟いたらすぐさまイイねを押すといいだろう。呟くという行動とイイねという結果に強い因果を感じ、餌をもらうハトのように強く依存する。
ツイッターは自動イイね機能を禁止しているがその理由のひとつはこれだろう。呟く直後にイイねができる機能を搭載すればたちまち依存患者ができてしまうからだ。

行動を変えるに必要なのは意志ではなく環境の変化である。
さて、ではここまでを踏まえて道徳について考えてみる。
例えばなぜいじめっ子はいじめをしてしまうのだろうか?いじめっ子は性格が悪いから?いや、いじめという行動の原因を性格のせいにしても解決しないことを学んだ。いじめをやめさせるにはどうしたらいいだろう?いじめをしないという強い意志を持つ?行動を変えるには意志ではなく環境を変えることを学んだ。

個人の人格を攻撃してもその行動に大きく影響がでるとは言えない。行動の原因はその人の性格では無いのだから。それでも悪い人を見ると罰を与えたくなってしまうのはなぜだろう?

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【道徳・倫理】なぜ正義感で他人を叩いてしまうのか?

道徳感情はなぜ人を誤らせるのか ~冤罪、虐殺、正しい心

この本では他人を罰してしまう理由について進化や生態の視点から答えを提示している。

人間は他人の不正に敏感で、自分が損をしてでも、不正を行う者を罰しようとする傾向がある。もっと簡単にいえば、悪い人を見ると罰を与えたくなってしまうのは、悪者を叩くのは気持ちよく感じように進化してきたからだ。進化生物学や人間行動生態学の研究からこれについて簡単に紹介する。

進化生物学では、道徳感情とは互恵的利他主義から生まれるという説がある。また、進化生物学では自分が生きるために他人を助け、自分が損をしないようにズルするやつには罰を与えるという。どういうことか?

アリや鳥、コウモリなどでは自分や血縁関係者を優先して助けあうように行動することが自己保存につながり生存率があがることがわかっている。では、人間では道徳感情はどうのようになっているだろうか?人間の場合は、他の生物とは比べものにならないぐらい、血縁関係者以外への利他的な行動が多いことがわかっている。つまり、直接お返しが望めないような相手にも親切をする。

人間が血縁関係者以外の他人を助ける傾向がある理由を、人間行動生態学では、「自己保存のために、不正者には罰を与えたがるように脳みそが進化した。」と説明する。

これは、人間は言葉や文化をもつので、単純な互恵的利他主義よりはるかに複雑なメカニズムである「間接互恵性」が働くと考えられる。間接互恵性とは、自分の評価を高めることで、巡り巡って自分の恩恵になるだろうと考える行動をとることだ。互恵に反する行動をとる者への監視や罰は、間接互恵性をみこして見合うようにするためより複雑になる。

チスイコウモリ→前に血をわけたのに返してくれなかったから罰しよう。
人間→自分には直接関係ないが、親切をしたのにお返しをしなかった人がいたなら、そいつを罰することで自分のイメージがあがったりするだろう。(間接的なメリット)

間接的なメリットデメリットを人間は考えるため、自分以外の他人のよくない行いに対しても敏感になります。実際に人間は不正に対して敏感に反応することがわかっている。

自分が直接被害を受けなくても、さらにいえば自分が損をしてまでも、不正を行う者を罰しようとする傾向があることがわかっている。

実験1

Aがお金をもらいBに分けて、受け取るかどうかという実験。
条件1:AとBあわせて1000円もらえる。分配はAが決める。
条件2:Bは受け取れば両者お金がもらえ、拒否すればお互いにもらえない。

結果1:Aが500円と言った場合、Bは受け取る。(当たり前だが)
結果2:Aが750円以上、Bが250円以下となるとBは受け取りを拒否する場合がほとんどになる。

条件2の場合、明らかにAの方が多くもらえて不公平だが、それでも受け取れば250円はもらえる。しかしほとんどが受け取り拒否する場合が増える。つまり、自分が損をしてでも不公平というのを嫌う傾向にあるということがわかる。

損をしてまで不公平者に罰を与える瞬間の脳をスキャンすると、背側線条体という部分の活性が見られるという研究結果もある。脳みそを調べると、不公平者に罰を与える行動が満足感を与えるように脳が反応しているのではないかという1つの証拠になるともいえるかもしれない。人間の場合は間接互恵性によって自己の生存率が高まるので、他人を罰する行動と満足感の感情が結びついたのではないか?と考えられる。

自己保存のために、不正者には罰を与えたがるように脳みそが進化した。
脳みそは、ズルするやつを叩くと気持ちがいいように感じる。これが正義心から他人を叩いてしまう理由だ。

悪い人の行動の原因は悪いこころや悪い性格のせいではない。でも悪い人を叩いてしまうはなぜか?それはズルするやつを叩くと気持ちがいいように感じるように進化したからだ。
間違えてはいけないのが、そういう風に進化したのだから他人を叩くのはしょうがないというわけではないということだ。

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2019年 麻生的ベスト本 まとめ

ぶっちゃけもうちょっと紹介したい本があるのだけど、それらは関連してない。

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情報と知識に関してすごいわかりやすい図

幸福論からはじまり、SNS依存、行動分析、そして道徳と進化に着地した。

これらの情報が結びつき知識と編纂された感じがしたのでこの4冊に。

これを読んでもらえると最近の麻生さんの発言がすこしわかってもらえると思う?

今度は人生で読んだおすすめ本やりたいな。

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