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「最近の若者は~」「若者の○○離れ」

「最近の若者は~」「若者の○○離れ」

これってよく聞きませんか?

なぜこういったことが起きるのか考えてみました。



「最近の若者は~」を考える。

「最近の若者は~」という言葉をよく聞く理由として考えられる事の一つ。

結論から言えば。

「最近の若者は~」と言う理由。
それは、
変化する環境で生き残るには一世代前の経験を模倣するよりも、同世代を模倣した方が変化に適応する確率が高いと考えられるからです。

それらを説明するための前提について説明します。


前提1:人は、親ではなく同世代の仲間から学ぶ

心理学者であるHarrisによると
人の行動パターンに影響を与えるのは「遺伝子」と「仲間」であって、「親の影響」(躾)はそれほど影響を与えない」そうです
また、「親が子どもに対してあまり話しかけない多くの文化においてですら、子どもたちは言語を習得する。」ことも根拠として言っています。

ウォータールー大学の研究によると、「他の子供との接触が多い幼児は、大人だけと接触した子供よりも、新く覚えた単語と物を関連付ける能力に優れていました」と言っています。

発達心理学の研究によると、「幼児に二択の質問をすると、圧倒的に後者を選ぶ傾向があることを発見した」と言っています。
幼児に「ケーキかブロッコリー?」と聞くと「ブロッコリー」と答える事が圧倒的の多い理由をこう説明しています。「これは本心では無く、最初の選択肢について考える事に手間取って最後に聞いた単語を繰り返しているだけかもしれない。」
この論文の本旨とは異なるが、幼児は返事はしていても内容を理解できていないことがあるのがわかる。大人の言葉というのは子供にとって、大人が思うよりも難しいのではないかと考えられます

大人の言葉は子供にとって難しいので、同じレベルの子供から学習するのではないでしょうか?


前提2:人は、自分が人よりも優れていると考える

レイク・ウォビゴン効果として知られていますが、「人は自分が平均よりも優れていると考える」ことが知られています。
自分は平均よりも優れていると考えてしまうことは一般的なことで、平均以上だと思う人が半分以上いたり、多くの人が自分は運転がうまいと思っているなどがあります。


前提3:「自分が昔はこうだった。」ということをみんなやっていたと思いがち

ずばり「最近の若者はダメだ」という研究にはこう書かれています。

「読書好きの人は、若いころから読書をしていた。そして、それはみんなしていたとおもいがち。」だそう。
何かに優れていたり得意なことがある人は、若いころからそうで、それはみんなやっていたと思い込んでしまう。


「最近の若者は~」は、生存戦略のための進化

上の内容をまとめると。
ヒトは親ではなく同世代の仲間から学ぶ
人は、自分が人よりも優れていると考える
「自分が昔はこうだった。」ということをみんなやっていたと思いがち

「最近の若者は~」という理由。

それは、まず、「変化する環境で生き残るには一世代前の経験を模倣するよりも、同世代を模倣した方が変化に適応する確率が高いからであると考えられる」

親の世代の常識は、現在の環境では通用しない可能性があるので、同世代の常識を頼る。そうすると世代間で常識は異なったものになります

世代ごとに価値観は変わっていく。脱皮のように変化していくということです。
「老害」(この言葉はすきではありませんが)という人達がでてくるのもこのせいでしょう。、

そして自分の常識は人より優れていると思いますし、実際に優れていたひとは、当時の人はみんな自分のように優れていたと思い込んでいます。

こうして「最近の若者は~」ができるのではないでしょうか?



「若者の○○離れ」を考える

「若者の○○離れ」という言葉をよく聞く理由として考えられる事の一つ。

結論から言うと

「若者の○○離れ」が起きるのは「ある時代に流行った物は、経済のサイクルによって数年で飽きられてしまう」から

これを説明するのに次のことを前提としています。

前提1:経済は成長し続けなければ死んでしまう
前提2:流行り物はすぐ満たされる
前提3:需要は一度満たされると戻らない
前提4:技術革新による需要は数年~数十年
これらの前提について説明していきます。


前提1 経済は成長し続けなければ死んでしまう

これは説明すると長くなるので、資本主義における経済は成長しないといけないものということにして先に進ませてください。
現状維持すら許させず、成長しないと死んでしまう。経済とは、泳ぎ続けないと死んでしまうマグロのようなものです。


前提2:流行り物はすぐ満たされる

ペティ・クラークの法則といって、「産業が第一次から第二次、そして第三次産業へと移行していく」ことが知られています。
日本の第一次産業は国税調査によると約5%。第二次と第三次産業がほとんどを占めています。経済は第二次、第三次産業の影響を大きく受けます
(第1次産業:「農業」,「林業」,「漁業」,第2次産業:「鉱業」,「建設業」,「製造業」,第3次産業:前記以外の産業)

そして、第二次or第三次産業である「流行り物」というのは、ライバルが急激に増え供給が増えるので、すぐに需要を満たしてしまいます。それはその分野で経済が止まることを意味します。経済は成長しないと死んでしまいまいますから、需要能力が高い市場で経済を成長させるには、新しい需要を生み出すしかありません


前提3:需要は一度満たされると戻らない

しかし、需要は一度満たされると戻りません。限界効用逓減の法則といって、一家に1台あるのに新たに車をもう1台買ってもらうことは難しいからです。
そこで、新しい需要を生み出すのが技術革新です。今あるものをもっと買ってもらうのでは無く、新しい物やサービスを生み出すことで新しい需要をうみだすしかないのです。


前提4:技術革新による需要は数年~数十年

新たな需要を生み出すのは技術革新です。技術革新と需要の拡大の歴史を見てみます。(戦争や公共事業も需要を生み出す要因の一つです。)

石炭による技術革新は、大量生産を可能にし、繊維の値段を下げることで庶民も買えるようになり、大量の需要を生み出しますが、それも庶民に行き渡ると好景気を終えます。
石油は、洗濯機や自動車という需要を生み出しますがこれも次第に需要が落ちていきます。
そして半導体はIT革命を起こしPCやスマホの普及につながります。

石炭→石油→半導体による技術革新は需要を生み出しましたが、このサイクルが異常に早いのです。技術革新による需要拡大は長くて十数年、短いと数年で、そのうち市場は飽和し値段が下がります。


「若者の○○離れ」は経済の新陳代謝の一環

経済を動かすために需要を生み出す必要があります。
そして、技術革新などによって生まれた新しい需要に若者は反応します。
その需要を満たして儲けるために企業は全力で市場に物やサービスを供給します。
いずれ物やサービスが飽和して、飽きて需要が落ちます。
そしてまた新しい需要が生み出されたとき。かつての若者は若者で無くなり、新しい世代の若者は、すでに持って生まれた世代というわけです。

すでに持っているので若者は○○から離れるし、離れてくれないと新しい需要が生まれず経済が回らないのでなんとしてでも新しいものに目を向けようとするのです。

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