【かわら版・6月号】解散風のゆくえ

G7広島サミットが終わり、国会では解散風が吹きつつあります。自民党・岸田政権は支持率を回復し、そのままの勢いで解散総選挙に向かうのではないかという観測です。

 普通に考えれば、このタイミングでの解散は考えづらいでしょう。任期の半分も終わっていませんし、来年9月の自民党総裁選の再選を目指す岸田総理にとって、このタイミングはあまりにも早すぎるというのが常識的な見方だろうと思います。
 ただし、政治の世界は何が起こるか分かりません。総理自身が、総裁再選という小さな目標のためだけに動いているとは、私自身も思っていません。常在戦場で、準備を進めなければいけません。

 サミットは、被爆地・広島を舞台に、先進7か国の首脳が集まり、核軍縮やウクライナ侵攻などをテーマに議論がなされました。
 核兵器の悲惨さに、各国のリーダーが直接触れる機会を実現したことには、歴史的な意味があったと思います。ここまでの舞台を整えた政府の努力に敬意を表します。
 核軍縮を謳う「広島ビジョン」は、G7として初めて核兵器のみを扱った声明であり、それ自体に価値がある一方で、具体的な取り組みについては、まだまだこれからだというのが実情です。理想を掲げつつ、現実的な前進を生み出す知恵が求められます。

 対ロシアに関しては、ウクライナのゼレンスキー大統領が電撃来日するということで、大きな注目を浴びました。「グローバルサウス」と呼ばれる新興国などともに、ウクライナへの支援を確認する重要な機会になりました。日本としても、力による一方的な現状変更は許さないという断固とした立場を堅持すべきです。
 とにもかくにも、最大の注目は、ゼレンスキー大統領の登場に集まった感があります。
 
 対中国については、EUを中心に、「対決」よりも「関与」を求める声が強かったとの評価があります。「ディリスキング」という表現で、リスク管理を徹底しながら、対中関係をマネージメントしていくという発想が見て取れます。中国とはたいへん難しい局面が続きますが、粘り強い戦略作りが欠かせません。
 そういった意味では、韓国との関係改善にはある種の希望を感じます。これまでの関係が「最悪」だったことを考えれば、ようやく正常化に近づいています。

 全体的な評価としては、改善点はありつつも、今後につながるものでした。政府が打ち出し、実現したい成果は何か。地に足つけた議論を進めます。

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