【アライさんと学ぶ所得税】 第2回 利子所得
1.投資をするフレンズの出現
ジャパリパークの中でフレンズたちが商業などをやって稼ぎ出したお金はほとんど生活費や新たな資産の購入に使われるのだ。でももっとお金を増やしたいというフレンズも最近現れたのだ。
ツチノコとかは外の世界の投資信託を買ったりして配当金をもらったりすることで収入を得ているというのだ。さらにそれを元手に資金の貸し出しなどをすることで金利収入を得てそれで生活しているというのだ。でも肝心のツチノコはこれにかかる所得税の計算を忘れてしまったというのだ。そのために今日、アライさんの巣に相談に来てくれたのだ。
2.内容
利子所得とは「公社債及び預貯金の利子並びに合同運用信託、公社債投資信託及び公募公社債等運用投資信託の収益の分配にかかる所得」と5つの収入に限定しているのだ。すなわち①定期的に②定率で③多数の者に④同じ条件という4つの条件を満たしたもの(すなわち安全なもの)が利子所得とされているのだ。
3.範囲について
順番にどういったものが範囲になるのかというものを見ていくのだ。
①.公社債の利子
これは単純明快で、広く一般的に公募されている債権の利子のことを指すのだ。具体的には国債、地方債などの公債、会社法に基づく会社が発行する社債、会社以外の団体が特別の法律により発行する債券(農林債、放送債など)の利子がこれに該当するのだ。
ただし、学校債、組合債の利子については雑所得として計算するのだ。これは学校債や組合債といった債権は基本的に学校関係者や組合関係者などの一部の限られた人しか持つことができず、一般に広く売買することができない代物だからなのだ。
②.預貯金の利子
文字の通りなのだ。ただしこの預け先というものは必ずしも銀行に対するものとは限らないのだ。以下の通りなのだ。
*預金(ゆうちょ銀行以外へ預けたもの)の利子
*貯金(ゆうちょ銀行へ預けたもの)の利子
*預貯金に準ずるもの(労基法の規定による労働者の社内預金の利子)
ただし、社内預金の中で役員、退職した人の分の社内預金については雑所得として計算するのだ。労働基準法は基本的に労働者を保護するための法律で、経営者となっている役員や労働者から外れた退職者については保護の対象となっていないのだ。そのため保護された「安全なもの」の定義から外れるとみなされるため、利子所得とはならないのだ。
③.合同運用信託の収益の分配
合同運用信託とは、信託銀行が引き受けた金銭信託で、多くの人の財産を共同して運用するものをいうのだ。そのような収益は信託銀行が責任もって安全に運用しているから利子所得と認められるのだ。
④.公社債投資信託の収益の分配
公社債投資信託とは、証券投資信託の中でも公社債に対してのみ信託財産を投じて運用するものをいうのだ。少しでも株式に投資したらもうこの定義から外れるのだ。
⑤.公募公社債等投資信託の収益の分配
公募公社債等投資信託とは、証券投資信託以外の投資信託の中でも一定の公社債に対して信託財産を投じて運用するものをいうのだ。公社債は安全なものだから、それを配分する公募公社債等投資信託も安全なものなのだ!
4.利子所得と間違えられやすいもの
よく間違えられやすいのが、金銭貸付業や従業員・得意先への貸付、友達に貸したお金の利息収入なのだ。
金銭貸付業や従業員・得意先への貸付はもう金貸しが本業になってしまっているから、事業所得として計算するのだ。
友達に貸したお金の利息は大多数に対してお金を借りている存在でないから利子所得ではないのだ。雑所得として計算するのだ。
また、所得税を毎年収めていると払いすぎたとして還付金が発生することがあるのだ。還付金は申請すれば収めすぎたお金の元本とともに年7.3%の利息をつけて返してくれるのだ! でもその利息による収入は定期的なものでなく臨時的なものだから、所得税等の還付加算金は雑所得として計算するのだ。
5.計算の仕方&課税の方法
利子所得の金額=収入金額として計算し、手取金額+源泉徴収税額を合わせて収入金額とするのだ。この源泉徴収税額をとっている国内の利子所得についてはそれだけで課税関係は完結しているため、申告不要なのだ。これを源泉分離課税というのだ。
逆にこの源泉徴収を行っていない外国公社債等の利子のうち国内事業者を通してないものについては申告が必要になるのだ(国内事業者を通しているものは源泉徴収が行われるため、申告分離課税(申告する)かしないかを選ぶことができます)! この場合、外国で税金がとられているなら外国税額控除の適用を受けるのだ(外国税額控除については後の回で説明します)!
源泉徴収税額は元の収入金額に対して所得税15%、復興特別所得税0.315%(= 15 * 2.1%)、住民税5%の合わせて20.315%となっているのだ。これを差し戻した金額が元の収入金額となるのだ。
6.何時収入したとみるべきか?
以下の通りとなるのだ。
①計算期間満了の日or解約の日
*定期預金の利子
*合同、公社債、公募公社債等運用信託収益分配
②支払いor元本に繰り入れられる日
*普通預金利子
③支払開始日(利払い日)
*公社債利子
7.補足
公募公社債投資信託の収益の分配、上場公社債投資信託の収益の分配、特定公社債(国内・国外の国債と地方債、公募公社債、上場公社債、外国公社債の一定の物、H27年12月31日以前発行の公社債)は申告をすることもできるししないこともできるのだ。
でも主に申告することを選択して得をするのは課税所得金額が3,300,000円以下(税率が10%)になるフレンズだけだから、ほとんど使われないと思っていただいてもいいのだ。
8.おまけ(問題)
俺はツチノコだ。俺はジャパリパークの中にある銀行のみならず世界中の投資信託や社債などを買ってそれをもとに金貸しをして生活しているんだ。以下に示す分が俺が一年間にもらったお金(源泉徴収前の金額)だから、これでいくらをどこに表示すればいいのか計算してくれないか? 今年は令和3年で、示すのは令和2年分の収入だ。それ以外の部分や外国で支払われた税金の額についてはもう知っていて、俺自身であとはできるから気にしなくて大丈夫だ。
①.七菱銀行の普通預金の利子:8,000円
②.あんいん銀行の定期預金の利子(本年にかかる利子分。満期日は令和5年8月31日である):3,500円
③.ゆうちょ銀行の貯金の利子:2,000円
④.組合債の利子:12,000円
⑤.国内A社債の利子:25,000円
⑥.国外B社債の利子(国内事業者を通しており、申告不要を選択した):37,500円
⑦.国外C社債の利子(国内事業者は通していない):50,000円
⑧.日本国債の利子(申告分離課税を選択した):14,000円
⑨.社内預金の利子(経営を行っているD社にかかるもの):10,000円
⑩.得意先に対する貸付金の利息収入:102,000円
⑪.合同運用信託の収益の分配(本年9月30日に満了し、元本を差し引いた額):83,000円
⑫.前年度の所得税過納付にかかる還付加算金:4,000円
答え
利子所得のうち源泉分離、申告不要については本当は確定申告の書類に書く必要がないけど、解説の都合上括弧に入れて金額を出しているのだ!
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