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篠澤広が好きなのは、篠澤広を好きなのは

 学園アイドルマスターというゲームに「篠澤広」というアイドルがいる。
 本記事は彼女のオタクの妄言である。


篠澤広という人物

馴れ初め

 プロデューサーが廊下を歩いていると、眼の前で少女が倒れた。
 少女を保健室まで運ぶと、目が覚めるや否やいきなり「私をプロデュースしてほしい」と頼まれた。その少女が篠澤広である。プロデューサーは一度断るが、彼女は「なら本契約ではなく「お試し契約」として一定期間プロデュースし、無理そうならやめれば良い」と提案した。
 これにプロデューサーは了承し、プロデュースが始まることとなる。

篠澤広はなぜアイドルを志望するのか

ミステリアスな雰囲気漂う天才少女。簡単で退屈すぎる日々を厭い、苦手分野に挑戦すべく初星学園に入学した。「辛く苦しいレッスン」や「うまくいかないこと」に喜びを感じる変人。アイドルを目指した理由は「いちばんわたしに向いてなさそうだから」。

公式サイト

  篠澤広は大学を飛び級で卒業するほどの頭脳を持っている。当然、周りの人間はその才覚に期待するが、彼女はそれを嫌った。

親愛度コミュ5

 そのため、彼女はそれの逆、「篠澤広」に求められていない、期待されていないアイドルを志望するに至る。その頭脳を活かせば安泰な人生が約束されているのにもかかわらず、安定も安泰もないアイドルを。

 おそらくアイドルとして大成するために入学する生徒が多い中で、アイドルを目指すために彼女は入学した。「売れる」ためではなく、「目指す」ために。

親愛度コミュ2


 そう、彼女はこの過程を「趣味」だとしている。趣味であるから、彼女は苦しいトレーニングやレッスンを楽しむ。これ、安直にM気質って言えるか?と聞かれると少し微妙な気もする。

篠澤広の変化

 このように、篠澤広は「アイドルを目指すこと」が夢で、アイドルへの熱が足りないとされてきた。しかし、共にトレーニングをしてきた花海佑芽のライブを見た後、プロデューサーに「同じグループの佑芽が輝いているのを見て、何を感じた?」と問われた際、広はこれまで得る機会のなかった新たな感情を認識する。

 「悔しい」という感情である。これまで、誰かに負けるという経験をしてこなかった彼女が、悔しいと思った。しかし、悔しいと感じた理由は単純に「佑芽に負けたから」だけではない。「自分と同じところを目指す佑芽に負けたから」なのである。
 例えば、私達が大谷翔平が世界で活躍しているのを見て「悔しい」と思うだろうか。もし、これを悔しいと認識している人間がいるとしたら、それは「大谷翔平が野球を愛しているのと同じ様に、自分も野球を愛し、野球選手を目指していた人間」だろう。

 篠澤広は、アイドルが好きになっていたのである。


 これまで、アイドルに対して夢や熱を持たなかった彼女にとってそれは劇薬で、プロデューサーに無理をさせてでもライブを行おうとするほどのエネルギーとなった。

これが、プロデュースを通して得られた彼女の「変化」と言えるだろう。


ここからはTrueの内容を含むので、注意してください。



プロデューサーはなぜ篠澤広をプロデュースするに至ったのか

 プロデューサーには小さな違和感があった。冷静に考えれば、普通のレッスンで倒れるようなアイドルをプロデュースする気にはなれないだろう。倉本千奈も同じく倒れたが、そちらは祖父の圧力でプロデュースせざるを得ない状況だった。それに対して、広は本人から頼まれただけである。

 

 このときは、当時はプロデューサー自身も理解できていなかった。この答えは親愛度コミュ5にある。

親愛度コミュ5

趣味」だからである。趣味だから、アイドルとして成功する見込みがまったくない広を育てる。結果として成功はできなかったとしても、その過程を楽しむ。そういう意味で、広とプロデューサーは変わりモンの似た者同士だな。そんだけだと思っていた

Trueで現れた「選択肢」

「プロデューサーと、初めて会った日。いまも、覚えてるよ。」

「俺もです。鮮烈な記憶ですから。」

「ふふ・・・どんなところが?」

True End

「プロデューサーが広と初めて会った日を鮮明に覚えているのはなぜ?」という問いに対し、プレイヤーには選択肢が設けられる。

ここで、左を選ぶと先述のプロデュースした理由と同じような内容となる。

しかし、右を選ぶとこのような内容となる。

まず、ここで選択肢を設けることが少し違和感なのである。こんな大事なコミュでわざわざアンサーを分ける必要があまりない。
 これに対し、私は「右が正史で、左が後付ではないか」という考えが浮かんだ。そして、その仮定と後述する親愛度コミュ10を踏まえると、ある考察が導かれる。

「お前、篠澤広に恋してないか?」
「お前、プロデューサーに恋してないか?」


ここから親愛度コミュ10の内容を含むので、注意してください。






『なぜ、』

親愛度コミュ10にて、大きな事実が判明する。

最初に言っていた「お試し期間」というものは制度自体存在せず、本契約をしていたのだ。最初から篠澤広と共に生きることを決めていた、ということになる。「別に戦略のひとつなだけでしょ」と思うかもしれないが、そうすると、一つ矛盾が生まれる。「じゃあ、なぜ篠澤広の経歴を使わないのか?」ということだ。

 よく考えると、「14で大学を飛び級卒業した」という経歴は芸能界において凄まじい威力を持つだろう。「超天才アイドル」として売り出せば相当話題になることは言うまでもない。学園の職員も経歴を武器にすることを推奨していた。しかし、プロデューサーはそれを拒んだのである。なぜか?


紛れもない篠澤広のためである。彼女は、未来が確約されていないアイドルを目指し、その過程を楽しんでいる。プロデューサーは、篠澤広の「未来」ではなく、「趣味」を優先した。親愛度コミュ8にて、佑芽を見て悔しいと感じた広は、「あしたライブを開催させる。プロデューサーがなんとかして」と言い、プロデューサーは本当にそれを実現させた。ずっと広の非合理的な無茶振りも叶えてきたのである。

 広は、このような返答をした。

「プロデューサー、私のこと好きすぎ」

 直後、プロデューサーは改めて、「なぜアイドルになろうと思ったのか」を問う。


ありえないくらいデカい声が出た

 ここで広はこれまでとは打って変わって「少女らしい」アンサーを返した。これを踏まえて、True Endの右の選択肢とその時のボイスを聞いてほしい。

異様に喜んでいる。これまで、広は褒められてもこれほど動揺することはなかった。かわいくなろうとしていた自分が「プロデューサー」に認められて嬉しかったのだろうか。
 
 以上から、Trueで右の選択肢を選ぶと篠澤広の感情に整合性が生まれるのである。


 そして最後、このコミュはこのように締められる。

おい









おわりに

 篠澤広のコミュは、「なぜ?」という問いを軸として広自身、プロデューサー自身の感情とお互いの関係性が動く大変味わい深いものだった。
みんなもやってね。学園アイドルマスター。



おまけ
元気720、スコア+18300で全部破壊した篠澤広です。

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