『ミラーリング』のウソとホント
心理学に“ミラーリング効果”というのがあります。
好意のある相手の仕草を無意識で真似してしまうとか、同じ仕草をされると好意を持ってしまうとかいう、アレです。
恋愛ノウハウのサイトなんかを見ていると、
“相手の仕草を真似すると好意を持ってもらえる”
“あなたの仕草を真似する男性はあなたに好意を持っている”
果ては、
“相手はあなたに好意を持ってもらおうと思って、ミラーリングしている”
というものまで。
あまりにもバカバカしくて、笑ってしまいました。
よく例として挙げられるのが、「相手が飲み物を飲んだら自分も飲み物を手に取る」というもの。
こんなこと、する必要ありますか?
私なんて、目の前の相手がグラスを手に取ったら、思わず自分もつられてグラスを取ってしまうということが結構あるので(相手が男性か女性か、好意のある相手か否かに関わらず)、こんなバカげた話が広まると本当に困ります。
好意を持っていると思われないよう、今後ミラーリングには注意しないといけませんね。
ミラーリングの基本は、調和を保つことだと思うんです。
相手が熱心に話をしている時、あなたは前のめりになって同じくらい熱心に話を聞いてあげる。相手の話に合わせて、時々相槌を打ってあげる。
これだけでいいんです。
そうすれば相手は気分よく話ができるし、あなたと話していると楽、話が合うと勝手に感じてくれるでしょう。同じタイミングでコーヒーを飲むよりも、よほどね。
だからといって、この程度で相手があなたを好きになってくれるかどうかは、また別の話ですよ。
ミラーリングを恋愛テクニックとして捉えるのは早計ですが、二人の関係性を計る物差しにはなると思います。
隣り合って座っている二人が、お互いに相手の方へ体を向けて話している。
肩を寄せ合って、楽しそうに笑っている。
こんな二人は、間違いなく両想い。恋の予感を感じさせます。
逆に付き合っている二人なのに片方がつまらなさそうにそっぽを向いていたとしたら、終わりが近いと感じざるをえませんよね。
個人的には、ミラーリングはもっと大胆に活用すべきだと思います。
とにかく、相手が好きなものに興味を持つこと。
相手の好きな音楽を聴く。
相手の好きな本を読む。
相手の好きな映画を観る。
そして、相手がそれをなぜ好きなのか理解すること。
これは、恋愛における大きな第一歩です。
一例を挙げると、古くは女優の安達祐実さんとお笑い芸人スピードワゴンの井戸田潤さん。
安達祐実さんとの初デートで、井戸田潤さんは大好きな『三国志』の話題を延々としてしまったそうです(確か漫画だったと思います)。
あんな話、面白くなかったんじゃないかなと井戸田さんはあとで後悔したようですが、次に会った時、安達さんは『三国志』をすべて読破していて、その感想を熱心に語ってくれたのだとか。
その出来事をきっかけに、井戸田さんは安達さんとの結婚を意識したようです。
最近では、「Wの悲劇」試写会で中山美穂さんがこう語ったそうです。
「太鳳ちゃんは本当にいい子で、わたしのお勧めする曲も一生懸命聴いてくれるんです」
その結果が、中山美穂さんの「『本当にほしいな、この子』と思った」発言につながるわけですね。
もともと土屋太鳳さんの方から「美穂さん、どんな音楽聴くんですか?」と質問してきたそうです。土屋太鳳さんは、人の心を捉えるすべをよくご存じなのでしょう。
こういった事例も一種のミラーリング効果にあたると、私は考えています。
これは、私に好意を持ってくれている、ある男性の話です。
私も彼も、たまたま同じ「バイク」という趣味を持っています。
ただ、私と彼とでは乗っているバイクの種類も排気量もまったく違っていたため、その場にいた誰かに「一緒にツーリング行ったら?」と言われた時、彼は言いました。
「オレにはついて来れないよ」
ところが、次に会った時。
彼は、数台所有しているバイクの中の一台を、私が乗っているバイクと同じ種類のものに買い替えていたのです。
それとなく、その話を聞かされた時は驚きました。
だって、彼がそれまで好んで乗っていたバイクとは、まったく趣を異にするタイプのバイクなのですから。
その日、さりげなく「ツーリング行こうよ」と誘われましたが、さりげなくお断りしました。
だけど、それが独身の頃だったら一緒にツーリング行って、そこからお付き合いに発展した可能性は十分にあっただろうと思います。
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