心と体の不思議な関係

コロナという特殊な条件下だったからなのか、それともやはり積もり積もった疲労のせいなのか、2年前に酷い目眩に見舞われた。

最初は、座っている時にだけ感じる小さな揺れから始まった。
「地震?」と思ってテレビをつけても地震速報は流れず、その後も1日に数度揺れを感じた。

それが地震ではないと気付いたのは、最初の違和感から3日程度たった日のこと、その日は朝起きた瞬間から震度3程度の地震に見舞われているような、グラグラとした感覚があり、立ち上がってお手洗いへ行くだけでも酔いそうな揺れ具合で、何が起こっているのかさっぱりわからず、一人で狼狽した。

冷静に考えて、これはめまいなのじゃないかと思い始め、グーグルで調べて見たところ、めまいにはグルグルめまいとグラグラめまいがあり、一般的によく知られているのが目が回るグルグルめまいだそうだが、私の症状は後者の方に思われた。

あまりの気持ち悪さに半狂乱になりながら、コロナ禍ゆえに人に頼ることもできず、ひとりで脳外科の耳鼻科を受診したあの日を生涯忘れることはないだろう。

歩いている時は、まるで大きな水槽を身体の真ん中に抱えているように前後左右に激しく揺られる感覚で、とにかく早くこの異常事態の原因を突き止め、元通りの生活に戻りたい一心だった。

数名の医師にかかったが、医師によっては「精神的なもの」で終了。
「気分が落ち込む」などの精神的な不調ではなく、身体に影響が出ていることから、どうもメンタルヘルスの問題とは思うことができず、藁にもすがる思いで専門医を調べ上げて徹底的に検査を受けるも原因は不明。
「不定愁訴」という曖昧な表現にとどまり、ストレスを減らすことと自律神経を整えることでゆっくり症状が治まっていくのを待つしかない、というような結論に至った。

眼球の震え(眼振)は早々に無くなったとはいえ、やはり揺れの不快感と共に治るんだか治らないんだかわからない不安を抱えながらも、休職することなく働き、残業の多かった職場から働き方を変えてみようかと転職もしてみたが、結果、面接で聞いていた内容と全く異なった前職での業務と上司からの圧力ゆえに、事態は更に最悪の方向に向かい、退職せざるを得なくなった。

最終出社日から2ヶ月が経とうとする今、めまいを感じることは少なくなった。

皮肉にも、職場を変えたことで「やはり精神的なものが影響していたのかも」という結論に至っている。

お医者さんからは「ドクターストップをかけるほどでもないけど、ゆっくりできるならゆっくりしたら」というマイルドなお達し。

失業保険の規定では、働ける心身の状態でないと失業保険は貰えない(自分と自分が過去務めた会社が支払ってきた雇用保険なのだが・・・)。
人材会社からは、離職期間が長いと不利だと諭される(プラス、何らかの既往歴があるとフラグが立つ)。

世の中は心身に不調を来たした人間に対して無慈悲である。

「休むこと」への重圧や罪悪感の植え付けは今日もどこかで続いている。





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