党大会後の人事で見えてきたこと

2022年12月9日 22:13

　8日、政治局委員が兼任している地方自治体トップの書記が全員入れ替わり、残った政治局委員の行き先も見えてきた。まずこれで確定だろう。

刘国中：副総理
李干杰：組織部部長
李鸿忠：全国人大常務委副委員長（序列1位）
何立峰：副総理
张国请：副総理

　中央書記処書紀を兼任している李干傑の組織部部長は確定だが、なぜさっさと組織部部長に就任しないのかわからない。同じ党直属部門の長である、宣伝部部長や統一戦線部部長は、党大会後すぐに交代しているのにだ。

　政治局委員が絡むトップの交代には、組織部部長が現場で宣言するのがしきたりになっている。今期は北京、上海、広東、福建、陝西、遼寧、浙江、重慶、天津と多かった。

　現在組織部部長の陳希は政治局委員ではなくなったので、万が一感染しても政治局会議の運営には影響しないし、必要なことはやってもらってからバトンタッチするつもりなのだろうか。

　政治局委員が24人になり、前期より1人減った。前期に創設記念かなにかで政治局委員枠が回ってきた国家監察委員会主任は、今期前身の監察部部長（中紀委副書紀兼任）と同じく、中央書記処書記が担当するポストに戻った。

　これで帳尻が合うかと思ったら、これまでずっと中央委員兼任だった統一戦線部部長が今期は政治局委員兼任となったので、さらに1枠削る必要が出てきた。

　王小洪が中央弁公庁主任になる公算が高いのだが、栗戦書、丁薛祥と二期続けて政治局委員兼任だったのが中央委員兼任となったので、今期の中央弁公庁主任は大して期待されていないのではないか。65歳と次もなさそうだし。となると、別の誰かが中央弁公庁主任の職務を相当分持っていくのだろう。

　2年前に次期常務委員予想に使った表を更新したが、上海が圧倒的である。失脚した陳良宇を除けば全員が最終的には常務委員に昇格している。

　4人の常務委員を輩出した広東省を超える7人が常務委員の上海は、常務委員の登竜門と言っていい。上海はそういう場所と考えるしかない。北京市市長の陳吉寧をわざわざ上海に持っていくあたり、期待されていると考えていいのだ。

　書記の交代式典で陳吉寧は「中央决定我接替李强同志到上海市工作，是对我的极大信任」（中央が李強同志と私を交代させ、上海市に当てたことは、私に対する最大の信頼だ）と発言しているが、その通りだ。

　先月某所での密談で目一杯好意的考えて出てきた、「北京市委書紀なら陳敏爾もワンチャン」は、3日くらい後に尹力が就任して脆くも崩れ去っている。

　李鴻忠がなかなか天津を動かなかったので、薄々感づいていたが、なんと天津（）入りしてしまった。

　政治局委員で足踏みはよくあるが、この場合副総理か党中央直属の部長に就任することがほとんど。

　政治局委員が兼任する地方自治体を渡り歩くのは自体が例がなく、一見良さそうな動きにも見えるが、62歳なのに政治局委員で足踏みをしている暇はないはずだ。重慶というボーナスステージを活かせていないという判断なのだろう。

　北京（蔡奇）、上海（李強）、広東（李希）の党委書記は常務委員に昇格し、天津（李鴻忠）、重慶（陳敏爾）の党委書記は政治局委員で足踏み。何が彼らを分けたのか。

　蔡奇など、何が評価されたのか全くわからないので、陳敏爾は靴舐めが足りなかったとも考えられるのだが。

　天津（）自体パッとしない都市だし、胡啓立、李瑞環と常務委員を輩出した後の市委書紀は、張高麗を除けば芳しくない。

　前期は胡春華に次ぐ2番目の若さで政治局入りした陳敏爾だが、胡春華の政治局退場と共に役目も終えたのか、早くも全人代常務委副委員長が見えてきてしまっている。

　王滬寧と趙楽際が常務委員に留任したものの、ポストは前期から変わる異例の動きがあった。2期目でポストが変わるのは朱鎔基、喬石以来の出来事になる。　　

　常務委員を2期務めた呉邦国、温家宝、賈慶林、李長春は2期とも同じポストのままだった。

　李鵬、李瑞環、胡錦濤、習近平、李克強といった3期、あるいは4期連続で常務委員の場合は、途中で1度ないし2度ポストが変わっている。

　また、後から常務委員入りした李強に序列で追い越される事態も起きた。これも朱鎔基が李瑞環を追い越して以来となる。

　朱鎔基でも常務副総理を一期務めてから総理だったので、李強は朱鎔基以上の逸材ということになる。

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