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定年のなくなった中国共産党

 第20回党大会が閉会し、中央委員が発表された。

 今まであったとされる内規の定年について考えてみたい。

 「七上八下」、つまり67歳なら中央委員に留任、68歳なら引退という内規だ。中央委員に再選されないということは、そこから選出されると規定がある政治局委員や政治局常務委員にもなれないので、政界引退を意味する。

 内規なのでどこかに明記されているわけではない。2002年の第16回党大会で当時68歳の李瑞環(全国政協主席)が、2007年の第17回党大会で同じく68歳の曾慶紅(国家副主席)が次期も留任する可能性を示唆されながら引退したことで、想像上のラインではなく本当にあるのだろうと考えられてきた。

 第19期は69歳の王岐山が留任するかで意見が分かれたが、中央委員から外れる一方で、67歳の李源潮も中央委員に再選されず、引退となった。この事例から、第19期の時点で67歳以下でも引退する可能性があると確認ができていた。

勢いで作ったが使い道は考えていなかった当落一覧

 今回の第20回党大会は李克強、汪洋といった常務委員が67歳でありながら中央委員に選出されず、政界引退が確実となった。一方で、張又侠(72)や王毅(69)は中央委員に再選されている。

 定年破りは習近平のみの特例であとは規定を守るのだろうと考えていたが、あっけなく「七上八下」は無くなった。

 2012年の第18期は中央委員に選出されなかった周小川(当時64歳)が、全国政協副主席を兼任するという荒技で、中国人民銀行行長のポストをさらに5年間務め、長期政権となった。

 中国人民銀行行長は正部級(閣僚クラス)なので、閣僚クラスの定年である65歳になれば否応なしにポストから下ろされるのだが、副国級(政治局委員クラス)の全国政協副主席を兼任することで任期満了まで政治生命を長らえることができたのだ。

 同じ手法は第19期の何立峰にも使われている。国家発展改革委員会主任も閣僚クラスなので、このポストだけなら65歳になる2020年で下ろされていたのだろうが、周小川と同じく任期を満了しそうだ。

 穿った見方をすれば、周小川や王毅や何立峰には代わりがいないが、李克強や汪洋には代わりがいる(と習近平が考えているだけだろうが)ことになる。

投票する胡錦濤
タイミング的にはその後会場を後にしたようだ

 最後に、胡錦濤について。拙速な判断を下すのはよろしくない。

 中央委員の候補を見て初めて李克強や汪洋らの名前が無いのに気づいたのであれば、投票前に暴れているはずだ。投票自体は行っているのだから、事前に李克強と汪洋は前期で引退となりました、という連絡を受けているのだろう。

 投票した後に暴れるというのは合点が行かない。

 みなさんは体調不良や怪我をしても、「大丈夫だから」と周囲の勧めを押し切ったことはありませんか?
 
==参考消息==
http://www.news.cn/politics/cpc20/2022-10/22/c_1129074998.htm

https://tv.cctv.com/2022/10/22/VIDEOl3pQjIdHCiofYe7B7Q1221022.shtml

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