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秦剛の中央委員辞任

 7月18日、第20期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が閉幕した。

 目を引くのは秦剛が中央委員の辞職を申請し、中央委員会がこれを受理して解任した点だ。

 「秦剛同志」と記載されているので秦剛は現時点で中国共産党党員であるし、党内の処分も発表されていないのでいまのところ党内外の職務が無くなった以外は無傷の状態だ。

 中央委員を「辞める」というのは記憶にない。中央紀律検査委の調査を受けた結果、中央委員会が「解任」するケースしか思い浮かばない。

 第14期から調べてみたが、やはり自ら中央委員の辞任を求めた事例は無かった。

 例えば2008年10月の第17期三中全会で中央紀律検査委が調査を行い、その結果をもって中央委員会に中央委員を撤銷されている于幼軍に比べれば、秦剛は比較的穏当な着地といえる。

 撤銷は訳せば免去と同じく解任となるが、処分の意味合いが強くなる。陳良宇や薄熙来らはいずれも職務を撤銷されているので、全く違う。

 前々回に秦剛は全国人民代表を「罢免」(罷免)されたのではなく、能動的な動きである「辞职」(辞任)だと説明したが、これと同じである。

 あくまでも現時点での話ではあるが、秦剛の傷は小さいと思われる。少なくとも能動的に辞任をしていることから、党籍剥奪までは行かないのではないだろうか。

 もう1点。中央委員会は中央軍事委員会による李尚福、李玉超、孫金明ら3人の重大な規律違反。違法行為についての取り調べ報告を審議、かつ承認し、中央政治局が行なった3人の党籍剥奪処分を確認した。

 さらっと当たり前のように書かれているが、李玉超と孫金明の党籍剥奪が公表されるのは初めてのはずだ。少なくとも李尚福問題を審議した、6月27日の中央政治局会議で議題に上がったとは公表されていない。

 李玉超は昨年12月29日に全国人大常務委員会が代表資格を停止しており、また摘発が続くロケット軍の司令員経験者なのでさもありなんとは思うが、孫金明に至っては処分公表自体が初めてとなる。

 李尚福、李玉超は中央委員で、先に述べた秦剛も中央委員を辞任し、中央委員会に3人分の空席ができた。こういう場合、得票数順に序列が決まっている中央候補委員から機械的に繰り上げされるのだが、今回繰上げされたのは丁向群、于立軍、于吉紅の3人と発表された。

 票数で2位になっているのは丁興農は、今年4月にロケット軍の副政治委員に就任したばかり。関係があるとは考えにくいのだが、実際昇格は見送られている。

==参考消息==
http://politics.people.com.cn/n1/2024/0718/c1024-40280550.html
https://www.gov.cn/xinwen/2022-10/22/content_5720883.htm
http://cpc.people.com.cn/GB/64093/64094/8160343.html

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