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魏鳳和と李尚福の党籍剥奪

 6月27日に開催された中央政治局会議で、李尚福の前の国防部部長の魏鳳和に対する処分が発表された。なお、李尚福も同時に処分が発表された。

 2人は共に党籍剥奪、第20回党大会代表資格の取り消し処分、軍籍剥奪、上将階級取り消しという最大級に重い処分を受けた。

 先日わざわざ延安で習近平が軍関係者を集めて中央軍事委政治工作会議を開催し、綱紀粛正は未だ道半ばとぶち上げたのは、この処分が決まっていたからだろう。

  魏鳳和失脚の予兆は確かにあった。まず、副国級以上のまま引退した高級幹部に対して毎年旧正月前に党中央が行う慰問のリストに、魏鳳和の名前が無かった。

 魏鳳和は2023年の3月に開催された全国人民代表大会で国務委員を解任されているが、2023年の慰問は1月に行われているので、この時点では慰問されるべき古参同志の対象者ではなかった。

 国務委員を退任した2024年の今年から、めでたく古参同志デビューするはずだったが、初年度を迎えるまでにその資格を失っていたことになる。

 政治局会議の発表によると、魏鳳和への調査開始は2023年9月21日なので、9月28日に開催された国慶節を祝う招待会を欠席していたのは辻褄があう。

  同招待会は秦剛や、魏鳳和の後任で本日同時に魏鳳和と同じ処分を受けた李尚福もいなかった。彼らが国務委員を解任されたのは10月24日なので、副国級でなくなったから参加資格が無くなったのではなくて、参加できないステータスになったと考えていいと思う。

 ただ秦剛は李尚福ほどの処分にはならないかもしれない。秦剛の全国人大代表資格は「罢免」(罷免)ではなく、秦剛の能動的な動きである「辞职」(辞任)だった。

 2月27日の全国人大常務委員会では、11人の代表資格を停止している。罷免組も全員ではないが、例えば王一新は2023年12月に、孫飚は2024年1月にそれぞれ紀律検査部門の取調べ対象となっている。

 他方、4人いる辞任組はそういった事情は見られないので、秦剛は2月の時点では政治的に終わっていなかったと言えるだろう。

 代表のまま人大に突入すれば来てないとかなんとか言われるのは必定なので、ある程度の圧力があったものと推察するが、辞任をちゃんと辞任と発表する正直なところは中国らしい。

 一方の李尚福は辞職はしていなかったものの、人大のスパークスパーソンを務めた婁勤倹が「他不能参加,因为他已经不是代表」(参加はできない。すでに代表ではなくなったからだ)と説明している。

 李は当時解放軍選出の人大代表なので、この発言は婁の勇み足だろうが、内部的に既にそういう扱いになっていたかもしれない。

 副国級以上の処分は政治局会議で討論されるが、政治局会議は月に1回の開催なので、7月15日から18日までと開催日程が決まった三中全会には間に合わない。

 三中全会に限らず中央委員会は政治局会議の決定を追認するだけなので形式以上の意味はないが、秦剛の処分に対する正式な承認は早くても四中全会以降にずれ込むことになる。

お花の確認は大事

 なお、魏鳳和は5月6日に執り行われた、乌云其木格の葬式に花輪を送れており、政治的にセーフではないかと考えていた。

 周永康は調査開始前に開催された葬式に花輪を送れていないので、政治的にセーフでないと花を送れないのかと思っていたが、認識違いのようだ。

==参考消息==
http://www.mod.gov.cn/gfbw/qwfb/16319114.html
http://www.mod.gov.cn/gfbw/qwfb/16319113.html
https://tv.cctv.com/2024/06/19/VIDEYi5VydusNBq7VMT3uLOs240619.shtml
https://tv.cctv.com/2024/05/06/VIDEs4wcMagyFpWhN1w9VYR9240506.shtml
https://tv.cctv.com/2023/09/28/VIDEAxZyDVx6VIBrts9V9iY4230928.shtml
http://www.npc.gov.cn/npc/c2/c30834/202310/t20231024_432486.html

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