刀神(とうしん)7

深く深呼吸する。思ったより、緊張しているのが足の運び方でわかる。

立ち止まり、気合いを入れ直す。

緊張した頬を手で挟み、一回叩いたあと、順路を進む。

本当に細かな日用品ばかりが並ぶ、だが、次の部屋に入るとざわめきが聴こえ始めた。

ここだな

まるで、素手で刃物を振り回す相手に立ち向かうような、言い知れぬ恐怖は未だ見ぬものへ敬意かもしれない。

飾られた着物価値など、わかるはずもない。

どこからか、吹き込む風に揺れる。

右の袂だけ動きがおかしい?

近づこうとした時、不意に背中を叩かれる。

「危ない」

声と気配でさっきの人だと確信した。

きちんとした身なり、ガッチリした体格の男性が、微笑んでいた。

「待っていた」


ここまで

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