刀神(とうしん)

名刀には神が宿る

なぜならば、鍛冶は神事

命をかけて神に赦しを乞うもの

命をあまた殺めてしまう

この美しき神の化身を野に放つ

我が命を捧げ赦しを乞う神との対話

そして、子々孫々に至るまで

その報いを受ける約定

覚悟の儀式


その昔、名のある鍛冶は刀と話せたという

なにを語るそれは、盟約に結ばれた者に

しか伝えられていない


黙して語らずだが、僕にはみえる。

甲冑の中にひそむ獣

刀身の輝きに魅いられれば

心の中に忍び寄る影

お前はなぜ心を見せないのだ

刀はそれを扱う強いものを求める

見ているだけではなく

手に取り望むままに

取り込まれてはならない

強い意思をもち対峙しなければならない










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