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幼少期のいるか

お遊戯室の乗り物は台数が決められていてしかも確か2、3台という競争率の高いものでした。
いるかはお昼ご飯が終わると自分の教室から出て2階のお遊戯室に駆け込んでいたのですが、いつもいつも誰かにすでに乗られていて、しかも順番制なのに子供って空気読まないから(読んでる子もいましたけど)待ってる人なんておかまいなしにぶーんぶーんと楽しんでいます。
それを羨ましく見守る順番待ちのいるか。
あきらめて砂場や屋上に行く子もいたけれど、いるかは諦めきれませんでした。
そのうち遊び時間は終わってしまいお昼寝時間になって仕方なく教室へ戻る、という日が何回もありました。

いるかはなんとしてもその乗り物に乗りたかったんです。
めいいっぱいお遊戯室をぶーんぶーんと乗り回したかったのです。

翌日からいるかは幼稚園の門を開ける先生より早く登園するようになりました。
母におねだりして「なんでそんなに早くいくの」「車にどうしても乗りたかと」と言って懐柔しお弁当をいつもよりも早く作ってもらっていつもよりも何十分も早く家を出て。

毎日毎日門の前にいるものだから門を開ける先生と母は仲良くなっていきました。
「いるかちゃん乗り物お好きなんですね」「ええ、困ったものです」先生と母の会話が交わされる横で乗り物に一直線のいるか。

毎日朝早くひとりでお遊戯室を独占して乗り物を乗り回していました。
いつ頃飽きたのか何をきっかけでやめてしまったのか忘れてしまったけれど、いるかの今でもあまり変わっていない性格が垣間見れるエピソードなのでした。

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