帽子をあげた話

このひと月いろいろ心配ばかりかけちゃってるんで、迷ったんですが、少し書き記しておきたい話。

一昨日、長女が仕事帰りに交通事故にあった。

帰宅していきなり
「痛い!骨が変なところにある!」
と肩を押さえながら泣き叫ぶ長女に動揺しつつ、
とにかく救急車を呼ぶ。
パニック。
聞けば、自転車の横に車がぶつかってきて倒れたとのこと。
(検査したら鎖骨と、その下の骨も折れてた。)

細かい経緯は省くけど、
その時警察を呼ばず、
相手の連絡先も車のナンバーも不明なので、
轢き逃げ事件になってしまった。

昨日は病院で検査に次ぐ検査。
付き添いながらずっと、
「通りすがりの人が助けてくれてたらなぁ。
警察呼んでくれてたらなぁ」と
今更どうしようもないことを悶々と考えてた。

そんな時、老夫婦が突然私を待合室で呼び止めて
「すみません。その帽子、どこで買ったか教えてくださいませんか?」と、上品に話しかけてきた。
「妻が抗がん剤治療中で、そういう帽子が欲しくて」と。
私のニットのキャスケット。
偏頭痛で辛い時は冷えピタを隠し、
今日みたいな日は寝癖を隠す、
安いけど何年も使ってるお気に入りである。
「ネットで買いました」と伝えると、
「あぁ、ネットですか。そっか。そういうの、探しても全然見つけられなくて。ネットならあるんでしょうね」
と、とても残念そうに、苦笑いで目を合わすお二人。
奥様の綺麗な白髪を見ながら、
「古いですけどよかったら、これをどうぞ」
と私は帽子を差し出してみた。
「いえいえ、そんな!!悪いから!」
と遠慮する小柄な奥様に、
「せっかくだから頂こうよ!」とはしゃぐ背の高い旦那さん。
「ネットでももう売ってないので。古いけどよかったら洗って使ってください」と受け取ってもらった。
慈しみ合う素敵な夫婦関係をみて、
そして私の後ろで笑う長女を見て
自分の心が少しずつ癒されていった。

通りすがりについて考えてる最中に
声をかけられたことが
運命のように思えた。

帽子を差しあげたことをツイートしたら
たくさんのイイネなどを貰い、
「優しいです」と言ってもらったけど。
実はこういう普通じゃない状況にいたからなので。
なんだか褒められて
ちょっと申し訳なく思えてきて、
こんな日記を書いてみました。

さ、明日は警察と現場検証(実況見分?)。
月曜は入院して
火曜にプレートとワイヤーで骨をつなぐ手術。
まだまだ痛みとの戦いだし、
リハビリ等でひと月はかかりそうだし、
事故の相手も見つかってないけども。
けども
とにかく生きててくれてほんと良かった。

昨日は1日中、
救急車のサイレンが空耳で聞こえてしまうぐらい
落ち込んでたけど、
今はちょっと落ち着きましたのでご心配なく。

みなさまも気をつけて
お過ごしくださいネ

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