フェスの思い出: FUJI ROCK FESTIVAL' 18 (7/28 Sat)
今回で4回目のフジロックだった。これまで、一日の大半を雨の中で過ごすような体験が多かった (小沢健二が出た去年の土曜日とか……)ので、着いたときに空が青かったのがそもそもとても新鮮だった。それでいて雲が多く、涼しい時間も多くて過ごしやすかった。夕方からは本降り〜嵐になったけど。
印象に残ったアクトを4つ挙げつつ、宿泊・行程について最後に書くことにしよう。
14:00、 小袋成彬。
ボーダーのTシャツにジャージというリラックスした格好で登場した小袋成彬。
「自分の声はどんな風に響くと人の心が強く打ち震えるか」を把握していながら、未だ見ぬ自分の力の上限へと高く高く登りつめる過程にいるような、開かれた可能性が存分に感じられるライブだった。1曲目「Game」から完全にハートを掴まれた。
「Lonely One」では、「♪上目遣いで……」という宇多田パートの出だしを小袋が自分で歌い出しつつ、そこからサンプリングされた宇多田ヒカルの声が鳴り出し、宇多田ヒカルの声と小袋がセッションしているようなゾクゾクする展開に突入していった。
アルバム「分離派の夏」に収録されているひたすら完成度の高い楽曲が生の歌声で奏でられていく中、ライブの中盤にて、倦怠感と切なさを綯い交ぜにしたようなギターの伴奏に乗せてフジファブリック「若者のすべて」のカバーが放たれた。会場が驚きと歓喜でどよめき、熱い想いがこみ上げてきた。「他人の曲で大盛り上がり」というよりも、そこからさらに自分の曲のパフォーマンスで圧倒していくための起爆剤のように機能していたのが良かったと思う。
映像や照明の演出は使わず、ギター担当とビート担当を迎えたシンプルな3人編成で、声とリズムの力で圧倒していた。これからどこまでビックになるんだろうか。
ライブがYouTube配信されたおかげで、自宅でフジロックを楽しんでいた人達と現地にいる自分がTwitterを通して「凄い良かった……」という熱狂を共有できるのがとても楽しかった (もともと、毎回ぼっち参戦だったのだけどなんか余計に平気になれた)。
せっかく天気が良いので奥の方まで歩いて行こうということで (今思えばSuperorganismを見逃したのは痛恨の極みだったのだけど)STONE CIRCLEに寄り、みんなで太鼓叩いてセッションするやつをやった。めちゃくちゃ楽しい。ピエール中野の「Animus」みたいに、多くの人が一斉にリズムを刻むとそれぞれ人のクセが織り重なって大きなトランス空間が生まれるのってすごいよね。
17:50、 D.A.N。
「Zidane」でゆっくりと始まり、「Sundance」「SSWB」へとビートを途切れさせずにシームレスに繋いでいく。ケミカル・プラザーズのライブのように見事に練られた流れだった。
彼らの楽曲には、聴いているうちに頭の中がボーッとしてきて身の回りの現実感がだんだん曖昧になっていくようなトリップ感を湧き起こさせるパワーがある。アルバム「Sonatine」の楽曲は特にそうだ。
D.A.Nがレッドマーキーで演るなら深夜が似合うと思っていたけど、 今にも雨が降りそうな夕方の、冷たく重たいムードが素晴らしい時間帯だった。自分の意識が苗場を離れて現実と夢見の間を たゆたって いるような不思議な感覚に浸ることができた。極彩色の映像演出やサイケデリックな音の海ではなく、むしろ抑制の効いた起伏の少ないメロディーを重ねていくことでトリップ感に溺れていく体験だった。
これまでに2回観たことがあったのだけど、新作のモードが彼らのライブで表現したい世界観にバッチリ合っていたこともあり、3回目にしてD.A.Nの本当の実力を体感することができたと思う。
18:45、 Skrillex。
僕はSkrillexの初来日公演を2012年に大阪で観ることができた。という思い入れがあるアーティストなのでちょっと昔話から。あの日の様子がYouTubeに上がっている。1曲目からこんな感じで会場が沸騰していた。
会場のなんばHatchというハコは天井が高くて密室感のある構造なので、ドラム缶の中で爆竹が暴れ回りながら炸裂しまくっているようなカオティックな快楽の坩堝になっていた。
そんな大スケールのライブが、屋外フェスの開放的な場所でいつかまた体験できたらいいなと思っていた。2013年のフジロックではNINの裏でスクリが出ていたがその時には行けず、今回ようやく迎え撃つことができた。
Skrillexのライブは開演5分前のカウントダウンから始まるのが恒例なんだけど、タイムテーブル上の開始時間が18:50なので18:45からカウントダウンが開始された。ちゃんとオンタイムで進行してるのがすごいよね。サイドスクリーンにデジタル表示された数字がどんどん減っていく。
宇宙でいちばんあっという間に過ぎてしまう5分間を経て、地獄の蓋は開いた。「なんだこの音はー!?」と聴き手を驚かせるような、頭がおかしくなってしまうトラックの連続。途中でカルヴィン・ハリス「Summer」やAlvaro & Mercer feat Lil Jon「Welcome to The Jungle」などなど有名曲をミックスしたり、
みんなで肩を組んで
Everybody Left, Left, Left, Left, Left, Left, Left, Left!!
と合唱しながら上手側から下手側に8回横っとび
<< << << << << << << <<
して、
Everybody Right, Right, Right, Right, Right, Right, Right, Right!!
と合唱しながら逆方向に8回横っとび
>> >> >> >> >> >> >> >>
という楽しい共同作業 (?)のコーナーがあったり、全く飽きずにあっという間に時間が過ぎた。
6月に公開された「デッドプール2」で「やっぱダブステップは最高だな!!」というセリフに続けて「Bangarang」が流れるんだけど、そのBangarangで第一部終了。
そして第二部 (というか最後の10分弱)でYOSHIKIが登場。
ピアノ伴奏で「Endless Rain」を合唱し、その後「Cinema〜Scary Monsters and Nice Sprites (高速バージョン)」のビルドアップでYOSHIKIが怒涛の手数でドラムを叩きまくるという圧巻のパフォーマンスを披露してくれた。
21:00、 Kendrick Lamar。
あれは何だったんだろうか。
一人の人間がマイクを持ち、仕掛けのないステージの上で矢継ぎ早に言葉を繰り出すというパフォーマンスに神々しいカリスマ性と肉体的なノリが宿り、これまでに観たことないようなインパクトに終始ノックアウトされていた。
ケンドリックの放つリリックについて、全部の意味を理解して聴けるわけではないし、予習の不足により僕は一緒に合唱できる箇所も限られていた。だけど、目の前で凄いことが起きていることは、脳が直感的に認識していた。「意味を解釈するための遅延時間」は無く、偉大な存在の迫力を前に畏怖と興奮でハートが一杯になるような、人間としてプリミティブなエンターテイメントを体験していたのかもしれない。
「HUMBLE」を繰り出して暗転した後、アンコールに応えてAll The Starsを演ってくれた。自分で撮った動画↓↓
その他、行程・宿泊について
今回はオフィシャルツアーの「越後湯沢駅周辺エリア(ホテル)」で申し込んだ。相部屋。越後湯沢駅から徒歩10分のホテルに泊まることができた。好立地な上に駅までマイクロバスで送迎してくれるのでストレスなく行き来できた (ありがとうございます!!)。
行きの行程:
10:22 越後湯沢駅着 (新幹線)
10:40 宿に荷物を預けてして越後湯沢駅へ戻る
10:50 シャトルバス列に並ぶ
11:22 乗車したシャトルバス出発
12:03 グリーンステージ真正面に見える橋の上に到達
12:13 下車‼︎
帰りの行程:
8:38 越後湯沢駅発 (新幹線)
9:38 大宮着
10:27 埼京線で新宿着。買い物して小田急線に乗り帰宅。
日曜日の夜も配信でVampire WeekendやCHVRCHESを観ていた。会場にいる人達と自宅の自分が楽しさを共有できるのがやっぱりすごくいい。
来年はどんなラインナップになるんだろう。また行きたい。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?