福岡の学生にぜひ知ってほしい、西鉄バス「エコルカード」の魅力
三大都市圏ほど鉄道網が発達していない福岡都市圏では、路線バスも基幹交通としての役割を担う。ゆえに、普段から西鉄バスを利用する福岡民は多く、極めて身近な存在となっている。
そんな西鉄バスに、学生を対象としたお得な定期券があるのはご存じだろうか。その名は「エコルカード」。コスパ最強で、福岡在住の学生の強い味方となる存在なのだが、知らない人も多いようだ。今日はその魅力について、ぜひ紹介したい。
※本記事は西鉄が公式で掲載しているものではなく、個人が勝手に書いているものです。西鉄の回し者ではございませんので、ご安心を(笑)
エコルカードとは?
エコルカードは、端的に表現するなら「西鉄グループの路線バス乗り放題定期(学生用)」である。通常の定期券は「経路」を指定して購入するが、エコルカードは「範囲」を指定して購入する。その範囲内では全てのバス停で乗り降り自由となるというものだ。
対象路線は、西鉄とその子会社が福岡都市圏で運行するほぼ全てのバス路線。ただし、西鉄が自治体から委託されて運行するコミュニティバスや、都市間を結ぶ高速バスでは利用できない。
エコルカードは、使用可能範囲に応じて以下の3種類に分かれている。エコル<ワイドエコル<筑豊エコル、の順に範囲が広がり、価格もその分高くなる。範囲や路線の詳細は、公式HPで確認していただきたい。
エコルカード
ワイドエコルカード
筑豊エコルカード
何が魅力的なのか?
ここまでエコルカードの概要を説明した。では、エコルカードは何が魅力的なのだろうか。筆者が考える魅力は以下の3点である。
魅力①圧倒的な割引率
まずこれ。西鉄の通常の通学定期からするとあり得ない価格設定なのだ。通学費は学生にとって死活問題(言い過ぎ?)であるから、安いのは非常にありがたい。
具体的にどの程度安いのか。西鉄の公式HPでは、通常定期の運賃計算について次のように説明されている。
次に、エコルカードの価格を見てみよう。
両者を比較しやすいように、大学生が1か月の定期を購入する状況を想定する。通学定期では片道運賃560円までは割引率40%で一定だが、定額制のエコルカードでは片道運賃が高いほど割引率も高くなる。2024年4月時点で、各種エコルカードの割引率が40%を超える最低片道運賃は以下のようになっている。
エコルカード:230円
ワイドエコルカード:330円
筑豊エコルカード:550円
結論から言えば、この値は余裕でクリアできる。
というのも、現行の運賃制度では、通学定期代は初乗り運賃210円を基準に加算されるためだ。「エコルカード」なら、自転車でも通えるような短距離利用でない限りお得になるのだ。
損益分岐点がエコルカードより高い「ワイドエコルカード」「筑豊エコルカード」でも、エコルカードの範囲外となるような長距離(≒運賃が高い)区間を利用すると予想されるので、やはりお得な可能性が高い。
実際、天神や博多から単純往復するだけであったとしても、福岡都市圏にある多くの大学では各種エコルカードの方が安くなる。公式HP記載の計算方法に従い、代表的な利用例から割引率を計算すると、それぞれ以下の値になる。いずれも通学定期の割引率を上回っている。
エコル利用例:天神~福岡大学:67%
ワイドエコル利用例:天神~九州大学(伊都地区):73%
筑豊エコル利用例:天神~九州工業大学(飯塚地区):72%
割引率70%というのは、鉄道の通学定期ならよくある話だが、バスの通学定期では稀である。西鉄の大盤振る舞い、凄まじい!
魅力②他の交通機関にも負けないコスパの高さ
ただの通学定期と比べて明らかに安いことは分かったが、他の交通機関との比較ではどうなのか?という疑問も生まれるだろう。
ここでは、前述した利用区間の例を取り上げる。
(1) 天神から福岡大学に通う場合
西鉄バス以外の移動方法で代表的なのは、地下鉄七隈線を利用する方法である。この場合、天神南~福大前の通学定期(1か月)は7,300円である。
一方、エコルカード利用時は8,000円である。つまり、実質700円追加するだけで、福岡都市圏が乗り放題になるのだ。
ちなみに、福岡市地下鉄には「ちかパス」という乗り放題定期があり、こちらは7,340円(学生用・1か月)である。ただし、地下鉄で行ける範囲はバスより狭いため、エコルカードも負けず劣らずの高コスパな選択肢となっている。
(2) 天神から九州大学(伊都地区)に通う場合
西鉄バス以外の移動方法で代表的なのは、地下鉄空港線・JR筑肥線・昭和バスを利用する方法である。この場合、1か月の定期代は、
天神~姪浜~九大学研都市(地下鉄・JR):11,680円
九大学研都市駅~伊都キャンパス地区(昭和バス):11,880円
なので、計23,560円となる。
一方、ワイドエコルカード利用時は11,500円で済み、福岡都市圏が乗り放題になる上に12,000円近く節約できることになる。
伊都キャンパス通学生の場合、昭和バスが高いという理由で定期を購入しない人や自転車・バイクを利用する人もいるだろう。九大学研都市駅から自転車を使う場合、地下鉄定期と駐輪場定期をセットで購入する「乗っちゃりパス」を利用すれば、地下鉄・JR定期+600円(1か月)で通学可能となる。それでもなおワイドエコルの方が1,000円ほど安いのだから、驚きである。
(3) 天神から九州工業大学(飯塚地区)に通う場合
西鉄バス以外の移動方法で代表的なのは、地下鉄空港線・JR福北ゆたか線・スクールバスを利用する方法である。この場合、1か月の定期代は、
天神~博多(地下鉄):5040円
博多~新飯塚(JR):10160円
新飯塚駅~九工大(スクールバス):2400円
なので、計17600円となる。
一方、筑豊エコルカード利用時は19,500円となる。実質2,700円の追加で広範囲が乗り放題となるが、前述の事例と比べるとお得感は少ないかもしれない。筑豊エコルは対象路線の運賃が高いために定期代が高価なことに加えて、並行するJR線の通学定期が安いという要因も考えられる。
このように、利用エリアと区間次第では、乗り放題という「特典」を加えながら、他の交通機関の定期代と同等かそれより安価に抑えられる。特に、複数の鉄道会社やバス会社が代替通学手段に含まれる場合、エコルカードがコスパの高い選択肢となる可能性が高い。
魅力③バス利用の自由度の高さ
個人的におすすめしたい理由はこれだ。大学生なら、自宅と大学を往復するだけでなく、バイトや遊びで別の場所に出かける日もあるだろう。エコルカードがあれば、そのような用事にも気兼ねなくバスを使える。特に、遠い場所に行くなら自転車は難しいので、エコルカードの存在は助かるのだ。
例えば、休日に海の中道に遊びに行く場合、天神から往復すると1,360円かかる。西鉄のモバイルチケット「スマ乗り放題」で福岡市内24時間フリー乗車券を使用しても1,100円はかかる。これがエコルカードなら追加運賃0円で乗れるので、外出のハードルが下がるし、行動範囲も広くなる。
また、通常定期のようにバスの経路を気にしなくて良いのも優れた点である。例えば、博多駅~福岡大学の場合、下図の行先番号12番(赤線)か16番(青線)に選択乗車できるが、通常の定期ではどちらかで経路指定する必要がある。このとき、16番で経路指定しても12番で使用できるが、乗降可能なバス停は経路が重なるバス停(図の緑色)に限られる。よって、天神に寄り道するために途中で降りると、追加運賃を支払うことになる。
エコルカードならそのような心配は一切いらない。気ままに乗り降りできる。通学に一切関係ない他の路線バスにも乗れちゃう。
乗り放題を活かして福岡を巡ろう
安さと自由度の高さが魅力的なエコルカード。定時制や速達性では鉄道に敵わないが、通学でも遊びでも安く使える学生の強い味方である。
福岡の様々な場所に行ってみたい。そんな方は、エコルカードを利用してみてはいかがだろうか。
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