ショートショート「蜃気楼」


俺も若い時はムチャをして世界中を冒険したものだ。

ある日、砂漠をさまよっていると、少し先に町が見える。
やれやれと思って近づくが、いつまでたってもたどり着けないのだ。
「これが蜃気楼か……。」


日本に帰って就職、月日は流れた。
年末の大掃除をしていると、今年新社会人となった甥っ子が来た。
お茶をいれて世間話をしながらTVを見ていると
『未来予想~20年後はこうなる』といった番組が……
いわく「20年後には空を飛ぶ自家用車が実用化される?」

TVを見ながら甥っ子が
「こんなの僕の子供の頃の雑誌にも出てたよ。20年たっても変わらないね」
「そういえば俺の子供の頃の本にも空飛ぶエアカーやリニアの話が出てたな。 40年近く前なんだけどな…。」


「未来なんて手が届くようでなかなか近づけない蜃気楼みたいなもんかもな」




もくじ






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?