香川の旅エッセイ②
香川県に着いた初日、夜にワインバーに寄った。
黄色い扉がかわいくて、吸い寄せられるようにして入っていった。
バーのママは気さくな女性でお綺麗だった。
よそから来たばかりの私たちにも優しく、旅の周り方をちゃんと決めてないことを話したら、こういう乗り物で行くと景色もよく見えるし、旅の途中あの有名なおうどん屋さんもあるから立ち寄ったら良いよ、そうそうゴールドタワーもね、と旅の行程を一緒に考えてくれた。
まだ着いたばかりで香川のかの字も知らない私たち。うどん県くらいは知ってるけど、小説で読んだあの小豆島が、どんなところか私はずっと知りたかった。
ところで、香川には○○通りと、たくさんのアーケード街が並んでいるのには理由があるのだろうか。
夜遅く賑わう商店街には占い師さんがいたり、マジックバーや、映画館、お洒落な自転車屋さん、カフェとヘアサロンが一体となっているお店や、情緒あるどこか懐かしい看板、どこに繋がっているのかわからない路地裏、猫しか入れなそうな狭い路地裏…
向こう側に見える美味しそうな店の明かり。
すみっこにある神社。
宇宙から来たような猫の像。
遊び心をくすぐられるお店が立ち並び、そこには仲良く手を繋いで歩く学生や、酔って肩を組みながら歩く機嫌の良いサラリーマン等、あらゆる人たちが混在していた。
高級ブティック、バーの通り、綺麗なお姉さんが並ぶ通り、キャッチの通り、そこでもくもくと中華まんを蒸している大きな蒸籠。
私は「ライオン通り」が気に入った。
割と遅くまで飲食店が空いており、歓迎してもらえるような気持ちになったからだ。
初日はライオン通りで見つけた居酒屋さんで「親鳥」という串焼きや大好きなエビを食べた。
香川はうどん以外にも骨付き鳥が有名らしい。看板を出しているお店を何軒も見た。
レモンサワーで乾杯して、ほっと一息つく。
最後にメニューにあるホームランバーアイスをいただいた。ホームランバーはたまにコンビニで見かけると、おいしくてつい買ってしまうアイスなのだが、他の居酒屋さんでもホームランバーがメニューにあった。
ホームランバーが生まれた当時は1本10円だったらしい。手ごろな価格過ぎてついつい食べ過ぎ注意になりそう。
夜更けの居酒屋さんは人情や活気があって、和気あいあいとしていた。
これまで誰かに話したくても誰にも話せなかったから今日話せてよかった、というようなそんな打ち明け話もおおらかにし合える雰囲気だった。
旅の目的はイルカに会うことだったが、足取り軽く歩く色んな人の後ろ姿を眺めながら、なんだか感動していた。
わたしも同じように足取り軽く夜更けのアーケード街を歩いた。
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