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台湾の日本人観光客減少と台湾在住日本人が語る本音

*このブログは台湾人向けに台湾の大手メディア換日線に寄稿したコラムを日本語に翻訳したものです。

先日ニュースで、日本人の観光客が台湾に全く戻っていない割に、台湾人は日本へどんどん行っているため、観光の不均衡が起きているという記事を目にしました。

実際に記事によると、2023年上半期に台湾へ訪れた日本人は2019年の33%で、その一方で台湾から日本へ行った台湾人は2019年の70%だったそうです。

先月は僕の会社のスタッフが一名沖縄へ旅行へ行き、もう一名は先週岡山に行ってきました。(沖縄は台湾人だらけで、なんなら店員も台湾人で、あまり国外に行った気がしなかったとか(苦笑))

僕は台湾で起業し9年が経ち、台湾にはとてもお世話になっています。どうにか台湾のお手伝いをしたいとは考えていますが、2023年9月現在、僕は正直日本人に対して台湾への観光をあまりおすすめできません。こんな話をすると、台湾人の方に文句を言われそうですが、これが僕の本音です。

今回のコラムでは、僕が台湾へ日本人の友人を呼びにくい理由と、日本人がなぜ台湾に戻ってこないかという事を、データを基に解説し、どうすれば外国人観光客を集客出来るか、日本のある事例を基に提言できればと思います。

日本人は海外へ行ってないのか?日本人の最新海外の旅行先

まずは日本人が現在海外のどこへ行っているのか?というお話ができればと思います。
日本から台湾へ旅行する人が減った原因は日本人の海外旅行者が減少しているからだと言う人もいます。

では日本人は本当に海外へ行かないのでしょうか?コロナ前の2019年と2023年のデータを比較してみたいと思います。

『法務省出入国在留管理庁』のデータによると、2023年6月の渡航者数は703,259人で、渡航先 No.1 は韓国です。その数は196,512人で、次は台湾で、58,767人です。

これが 2019年の6月のデータによると、日本人の海外渡航者数は1,520,993で、2023年6月現在の渡航者数は、2019年の約半分です。

残念ながら日本人が2019年6月にどこの国へ渡航しているかというデータは探しても見つからなかったので、『日本交通公社_旅行年報2020』の2018年の日本人の渡航先のデータを基にお話をします。

これによると、日本人の渡航先ランキング1位はアメリカで3,493,313人、次が韓国で2,948,527人、続いて中国で2,689,662人、そして4位が台湾で1,969,151 人でした。
※一位にアメリカが多いのはハワイの影響と思われます。

2018年時は、日本から韓国へ行く人と日本から台湾へ行く人の間には約50%の差がありました。これが2023年6月では、約3倍 (300%) に広がっています...

つまり、日本人の海外渡航者が減った事は確かなのですが、少なくなった日本人海外渡航者がどこへ行っているかと言うと、台湾よりも韓国を選ぶ確率がここ数年で飛躍的に伸びたとも言えます。

台湾旅行は単純に高い(コスパが悪い)

では、台湾が旅行先として韓国に差をつけられている理由はなんでしょうか?

台湾旅行は現在単純に日本人からすると旅費が高く、コスパが悪いと僕は客観的に思っています。日本へ旅行へ行った台湾人の方なら誰しもが日本の旅費のコスパに驚くと思います。

台湾には台湾の事情があって、ホテルや食事は現在の値段になっているため、台湾にあるホテルやお店の価格戦略を批判しているわけではありません。しかし客観的に見て、台湾のホテルやお店を含めた旅費が日本の旅費よりも ”高い”と感じる人が多数いるのは事実です。

一般に消費者は、商品やサービスが提供する価値が自分が払った対価に見合わなかった際、”高い”と感じます。また、”高い” というのは、比較対象があって初めて感じます。

これらを総合すると、台湾旅行は円安の影響で旅費が割高になっている事に加えて、台湾旅行で使う費用に対して得られる価値を低いと感じている日本人がいる事が観光客が戻らない理由である可能性が高いです。

状況に合わせたターゲットへの訴求変化

では、韓国の旅費は以前と比べるとどうなったかと言うと、当然高くなっています。先日台湾のテレビ番組に出演させて頂いた際、韓国の専門家の方が韓国の物価が高騰した事を嘆いていました。

しかし韓国旅行は以前に比べて割高になったものの、グルメ以外に美容整形やカジノ (Paradice City)、ドラマのロケ地巡りなど韓国で得られる価値が以前よりも増した事により、日本人旅行者が増加している傾向にあると思います。

旅費を割高に感じるのは、安いと思った旅費が高かった場合であって、高い旅費でもそれだけの価値がある事をアピールすればいい訳です。

例えば ”ドバイ” や”シンガポール”の旅費を安く見積もる人は少ないでしょう。これはドバイやシンガポールが高いイメージがあるためです。

その代わりドバイやシンガポールは高い旅費に見合った価値を提供するために、とても煌びやかなイメージを演出しています。その結果、旅行者は後をたちません。

つまり、台湾が日本人を集客したいのであれば、円安で割高になった台湾旅行を割高に感じさせないためのイメージが必要だと僕は考えます。もっと言うと、台湾は ”安くない” というイメージを与えることが重要だと僕は考えます。 なぜなら現在の台湾旅行は日本人にとってリアルに安くないからです。

しかし日本のテレビ番組の台湾特集や雑誌等の台湾特集を見ていると、未だに以前と変わらず夜市やB級グルメなど、 “安い” 観光のイメージを日本人に伝えています。夜市をきっかけに台湾に来る日本人を増やすのは一つの戦略ですが、日本人観光客が実際に台湾に来て割高感を感じれば、リピートにつながりません。

商売をしている人なら誰もがリピーターの重要性を理解していると思いますが、残念ながら今のままではコアな台湾ファンばかりが台湾へリピートし、もっと気軽にリピートするような観光客は増えないと思っています。

台湾在住9-10年の日本人が思う台湾のすべき事

では、台湾はどうすれば良いのか?結論から言うと、台湾は今持っているリソースや強みを理解し、唯一無二の体験が出来るような施策への投資が必要だと僕は考えます。

先日大分県の別府で堀江貴文氏が、『別府温泉シャワーフェス』を行いました。別府は温泉の排出量が世界2位らしく、毎日大量の温泉を捨てていると堀江氏は動画で語っていました。なんなら温泉はただ海に捨てると海水の温度の上昇に繋がるので、なんと別府は別途冷却費用をかけて温泉を処理して捨てています。

これに目をつけた堀江氏は、S20やタイのソンクラーンをモチーフとした唯一無二の温泉をぶっかけるフェスを、開催する事にしました。別府市は温泉の冷却費用をかけずにタダで温泉を排出できて、観光客は踊りながら温泉を浴びれるwin-win な体験だった事でしょう。

もしも来年も行えば、リピーターと新規客が更に増えて、イベントの規模は大きくなるでしょう(次回は時間が合えば僕も行ってみたいですね)

台湾も同様に台湾特有のリソースを使ってそれを強化する観光施策を取ると良いでしょう。そのためには、まだまだ台湾人でさえも知らないような台湾の良さを理解する必要があります。

※これは例えですが、台湾は東アジアで唯一ゲイの方の結婚が認められています。LGBT Pride をもっと強化し、LGBT の方が集まる大規模なフェスなんかしてみてもいいかもしれません。

僕も台湾を理解するためにもっと台湾の地理を調べ、まだ多くの人が知らないような魅力があればどんどん発信していければと思っています。

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