青春編⑥

あの後から何人かの男と付き合ったり寝たりしたが中々しっくり来なかった
反面仕事は順調だった、店のNO3まで上り詰めた
ただそうなって来ると内部に敵が出来始める
一部の嬢からは露骨に無視されたり、一番イヤやったのがバッグにゴキブリの死体が三匹入れられた事だった、女って陰湿だと思う
負けてはいられないと思いつつもプライベートで癒しが欲しかった
収入が安定してきた時点で一人暮らしを始めたので家に帰っても誰もいないからちょっと寂しい…今まではアニキが居たし実家暮らしの時はおじいちゃんも居たしなぁ
結婚したら帰った時に誰かいてくれるのだろうか…あ、その場合は私が家にいる事になるのか
日に日に溜まるストレスと疲労で人肌恋しくて堪らなかった
だからだろうか…今思うと安易な誘いに乗ってしまった
『この後アフターに付き合ってよ』
一見さんとみられる人からそう提案があった、特に珍しい事ではないし他の人からも誘いはあったりする…しかも見た感じ50過ぎのおじさんが明らかにこの後あわよくば…と狙っているのが目でわかった、だからなのかもしれない、あえて誘いに乗ってみた
よっぽど誰でも良かったのだろう、抱いてくれればおじさんでも良かったというのはあった
『それじゃどっかで飲み直そうか』
とりあえずワンクッション置こうとしてるのだろう、しかし私は…
『私疲れちゃったからどっかで休憩したいですね、ダメ?』
普通、嬢の方からこうして誘う事はないだろうと思う、おじさんからは何か裏があるのかもとちょっと警戒した様な感じが見て取れた
『別に取って食おうとか思ってませんよ、ちょっと人肌恋しいだけ…』
『ほんまにええんか?』
私はそっと耳元で
『私本当は17歳なんだ…高校生くらいの女、抱いてみたくない?』
この一言が決め手になったのかそのまま手を繋いでホテルまで歩く
『高校生なのにバイトしてるんや』
『違いますよ、学校は行ってなくてコッチが本業…意外と居ると思いますけどね私みたいな子』
『ふーん、何で学校には行かんかったん?』
『遊んでたせいで成績が良くなくて…あとこの煌びやかな仕事に憧れてたってのも理由ですかね』
『中々自分が憧れた仕事なんて出来ひんよ、そういう意味では君は偉いしスゴイとと思うよ』
偉いしスゴイか…アニキには反対されおじいちゃんも乗り気じゃなかったこの仕事…蔑まれた事こそ無かったけど褒められた事もなかったな…
『ありがとう…』
自然と言葉が出た、自覚は薄かったが嬉しかったんだと思う…他人から褒められたのなんていつ振りだろうか…
学生時代は不良やヤンキーなどと呼ばれ大人から怒られこそすれ褒められた事は無かった
今思えばおじさんも私を落とすのに使った言葉なのかもと考えるが…
そうこうしてるうちにホテルに着いた
『ホンマにええんか?』
『いいですよ、行こうよ』
そうしてホテルに入って行った

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