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YOASOBI ZEPP TOUR 2024 “POP OUT”におけるフロアのありかた

行ってきました。YOASOBI POP OUT ツアー

チケット応募のため、5500円のCD代と月額440円のファンクラブ会費という賭け金を払って勝負したところ、運良く2024年1月26日のZepp Haneda公演(東京2日目)が当たったので行ってきましたよっと

この文章を書くきっかけ

ロックバンド/ポップバンドのオールスタンディングのライブとしてみた場合に、YOASOBIならではの事情・経緯があっての観客の多様性を感じたので、その思いを記しておきたくなった。

YOASOBIは、狭義ではボーカルとコンポーザーの2人からなるユニットで、「バンド」という表現は一般では使われないが、ここではサポートメンバーも含めた6人組のバンドとして論じることにする。

YOASOBIライブの歴史

YOASOBIの有観客単独ライブの歴史は、2021年12月の日本武道館2days「NICE TO MEET YOU」から始まる。その後2023年にはTiktok主催の招待制ライブ(THEATER MILANO-Za)があり、全国アリーナツアー「電光石火」があった。2023年末からはアジアツアーを行っており、2024年1月から日本でZeppツアーを回っている。

アリーナクラスの集客力があり、2024年後半には京セラドーム/東京ドーム公演も予定しているYOASOBIが、なぜ2000人規模のZeppツアーをやっているかというと、それは「ライブが強いバンドになるために経験値を上げたい」であると同時に、「ライブに強いファンを育てたい」ではないかと思っている。

ストリーミング発というハンディキャップ

YOASOBIはYouTube、Spotify、TikTokといったインターネット上のサービスから人気に火がついてスターダムを駆け上がっていったバンドである。人気が上がっていった時点では感染症対策が厳しい時代ということもあり、配信ライブでライブ経験を積んでいかざるを得なかった

2021年夏のROCK IN JAPAN FESで初めての有観客ライブの予定だったが、いろいろあってイベントが中止になってしまったため、初の有観客ライブは日本武道館での単独公演。翌年以降は各種音楽フェスに参加したりしていたが、ストリーミングサービスで売れたバンドが、ライブハウス叩き上げのバンドに混じっていきなり大きなステージの重要な出番を任されることの引け目みたいなものはメンバーも感じたりしたのではないだろうか(完全にオレの想像だが)

初のライブハウスツアー

今回のツアーはYOASOBIにとって初のライブハウス公演(その前のアジアツアーでクアラルンプールとか台北のZeppを回っているのも込みで)であると同時に、観客の多くにとっても初のライブハウスであった。MC中にikuraが「ライブハウス初めての人は手を上げて」といったところ、半数近くが手を上げたような気がする。インターネットサービスで音楽を楽しんでいた層を、不慣れなライブハウスに引き寄せてきたのだからYOASOBIの吸引力それ自体は喜ばしいことである

ライブ慣れしているオレたち(笑)はどれぐらいハジけるべきか

ここからが本題である。ライブ中、Ayaseは「ライブハウスは自由な楽しみ方ができる場所」という言い方をしていた。おそらく、遠回しな表現ではあるが、もっと暴れてもいいよということを言いたかった気がする。とはいえ、周りには、「強めにぶつかるのは気が引けるな」というたたずまいの人も多くいる状況。

さて、オレたちはどうするべきか。抽象的な表現にはなるが、「ライブハウスは怖いところ」という印象を持たれない範囲で、楽しさを自分の身体から放射するしかない。音楽に引き出された感情を最大限開放して気持ちよくなっている姿を感じてもらって、徐々に周りを染めていければいいなと思う。

ちなみに、ライブの注意事項は主に「動画撮影禁止・改造ペンライト禁止」であって、モッシュ・ダイブ禁止といったアナウンスはない。実は許容している、とかではなく、「YOASOBIの音楽性でそういうヤツいないだろ」ということで注意事項に入れてないだけの気がする。

私は前方ブロック上手側にいたが、中盤以降、「圧縮かかってきたなー」という感触を背中で感じてはいたが、そこまで強い圧力でもなかったので、最前列の人がおしつぶされる、というところまではいってはなかった。

国民性の壁を打ち破れ

アジアツアーの映像を見ていると、国民性もあるのかもしれないが、日本よりも観客の熱さを感じる。彼らにとって外国のバンドのライブに行くぐらいだから思い入れも強いのであろうし、言語の理解など、様々な障壁を乗り越えた者たちだけが集まった環境で見られることにうらやましさも感じる。

フルコーラス熱唱してるジャカルタの観客たちに混じったとしたら「うるせぇな」とは思うだろうが。

小規模なライブから積み上げてきたバンドなら、フロアの熱量の核となる観客側の”経験”があるだろう。空中戦で規模を拡大してきたYOASOBIにとって、今回のZeppツアーがその機会。今後ライブハウス公演とか無さそうな気もするし、ドーム公演のSS席はライブハウスに行くつもりでまた集まろうぜ(当選すれば・・・)

ライブ中のMCこぼれ話

ドーム公演するようなミュージシャンからすればZeppはとても小さいハコだが、ライブハウス界では最大級のハコである。ギターのAssHが「こんな大きいライブハウスに立つことができて・・・」といったのがバンドマンらしいな、と思った。

同じくASSHの発言で、「AssHとAyaseと(ドラムの)仄雲はライブハウス出身だから」というものがあった。オレ的には「ikuraとミソハギザクロ(キーボード)もキャリアの初期には結構ライブハウスで活動してたんじゃないの」などと引っかかった。
※やまもとひかる(ベース)は動画サイト出身(wikipedia情報)

AssHとAyaseと仄雲はインディーズバンド時代からの知り合いだが、ザクロは仄雲の紹介でバンドメンバーになったのでASSH自身はザクロの経歴をあまり知らなかったのかもしれないし、男性陣に比べるとザクロとikuraが「ライブハウス出身」と言えるほどの経験は少ないのかもしれない。

「ライブハウス出身」の意味には、チケットノルマをさばけなくて店長に怒られたりとか、ブッキングライブ後の打ち上げの席で、売れてない先輩バンドの音楽業界批判を延々と聞かされてうんざりしたりとか、そういうのも経験して初めて「ライブハウス出身」と名乗れるのだろう。ikuraはそういうの経験してないで欲しい。