親へのアンチテーゼ、もしくはボイコット

母親から手紙が来た
内容はいつも同じ
娘から連絡が来たのをきっかけにその報告と、自分の今と、父親に対する積年の恨み
そしてお金
私は聞き流す

お金を出さなきゃ話も聞いてもらえないと思っているのか
お金でも出して関心を引こうとしているのか
その切なさ情けなさに、胸が痛む

「闘う私」は、せいぜい、親への反抗なのかもしれない

母は言う
「バスタオル1枚買えない生活をさせられた」
おまえらは知らんやろう?と
知らんがな、でも知っている。確実に
でなかったら私が、今もこんなに捩じれているはずはない

私たちがただ幸せだったと思わないでよ!
あなたがいまだにそこに甘んじているのを、あたしたちのせいにしないで!
そして
「自分」をわかってもらう相手を、あたしに求めないで!

私はあなたをわかろうとしていた、わかりたかった。子どもだから
親を愛していたから
どうしてそれがわからない?
どうしてそれが、今も私を苦しめていること
あたしが沈黙している理由が、わからない?

なぜ娘2人がろくに連絡も寄越さないのを
あなたがたは「自分が嫌われている」と気づこうとしないのか
自分たちが親として築いてきた関係の全てがそこに現れていると、なぜ自覚できないのか
老いた姿を描写して見せれば、飛んでくると思っているのか
それ以上の何かがあると、どうして、思わないのか

歪んだ鏡の前からは、逃げるしかない

私は待っている。沈黙を、安らぎを
分かり合えないならばせめて、無に帰る時を
自分の中の思いを殺しながら