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アプリ甲子園2012 決勝戦レポート

2012年9月30日、11組のファイナリストが会場に集結し、
アプリ甲子園 決勝戦が行われました。

司会は「アプリソムリエ」として活躍中の石井寛子さん。ファイナリストはいつもの雰囲気とはうって変わって、緊張した様子です。特別参加の小学6年生に、石巻から参加した高校生チームと年齢、性別もバラバラな参加者がそろいました。

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株式会社D2C代表取締役社長、宝珠山卓志によるあいさつで、いよいよアプリ甲子園決勝戦の開幕です。

審査は、前半のプレゼンテーションによる企画力審査300点、後半の実装力審査300点、合計600点で競います。

企画力審査:独創性・デザイン・消費者支持度(プレゼンテーション審査)
実装力審査:操作性・技術点・完成度(実機、ソースコード審査)


審査委員
世界最大級の広告祭、カンヌライオンズで審査員を務めた、面白法人カヤックの代表取締役柳澤大輔氏や、iPhoneアプリレビューサイトのAppBankを運営する村井智健氏、慶応大学の専任講師としてパソコン、スマートフォンなどの研究を行う中澤仁氏など、アプリをさまざまな角度から評価するのにふさわしい面々がそろいました。

柳澤大輔(面白法人カヤック 代表取締役CEO)
佐々木陽(株式会社GClue 代表取締役社長)
村井智健(AppBank株式会社 代表取締役CEO)
中澤仁(慶応義塾大学 環境情報学部 専任講師)
宝珠山卓志(株式会社D2C代表取締役社長)
(敬称略・順不同)

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企画力審査スタート

最初は、プレゼンテーションによる企画力審査です。小・中・高校生とは思えない、堂々としたプレゼンテーションが次々と披露されました。

エントリーNo.1
國學院久我山高等学校2年 笹本健斗くん

動物の鳴き声をきくアプリ!?鳴き声クイズがおもしろい「VoiceZoo

笹本くんは、中高生のためのIT教育キャンプLife is Tech!※後述に参加し、アプリをつくり始めたといいます。とにかく弟が好きで、弟のためのアプリを作りたかったと話す笹本くん。プレゼンでもその弟愛をいかんなくはっきしていました。

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このアプリを作る前に決めたことがあります。それは、アプリを使うか対象を決めること。まだ発展途上のジャンルであることの2つです。
より多くの人に見てもらうためにこのことを決めて、今回は幼児用のアプリを作りました。学びながらつくったのでコードは汚いですが、直感的に操作できる、文字を少なく、と幼児のための工夫もしてあります。


エントリーNo.2
愛知工業大学名電高等学校3年 新矢竜くん
受験生にたまらないアプリ! 科目ごとに勉強時間を記録する「センタータイマー

新矢くんは受験勉強に役立つアプリを開発。自分は受験がないけれど、だったら受験する友だちに使ってもらえるようなアプリを作ろうと考えたそうです。勉強時間の結果画面に、著名人の名言が出る機能がうけていました。

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このアプリケーションはセンター試験を受ける受験生向けに開発したアプリケーションです。 具体的な機能はセンター試験までの日数、時間を表示することと教科別に勉強時間を計測し、記録することです。 記録された勉強時間は日付ごとにわかれ、すべての勉強履歴を表示する「全記録」や今まで勉強した教科ごとの合計時間がわかる「教科別記録」があります。 またタイム計測時には偉人や有名人による名言も表示されるようになっておりモチベーションの向上を図ります。 SNS連携としてTwitterへ勉強時間やセンターまでの残り日数を簡単に投稿できるようになっています。 自分は高校3年生ですが高大一貫教育なため受験がないので周りの受験生に少しだけでも手助けできないかと思いこのアプリケーションを作成しました。


エントリーNo.3
筑波大学附属駒場中学校1年 米山維斗くん
元素をテーマにしたカードゲームアプリ! 複数の元素記号を選択し、分子を作る「ケミストリークエスト

中学生にして、社長でもある米山くんの作品は、自分で開発したゲーム「ケミストリークエスト」のアプリです。ゲームを世界に流通させるには、App Storeに出品するのが一番だと考え、アプリ化に踏み切ったそう。審査員の柳澤さんも、その発想と技術に「すごい才能だね」と脱帽していました。

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僕が小学校3年生だったころに開発し、去年発売開始したカードゲーム、「ケミストリークエスト」の一人遊び編をアプリ化いたしました。


エントリーNo.4
目黒区立東根小学校6年 小原凱也くん
計算で敵を倒していく新感覚RPG!「計算RPG

唯一、小学生で特別エントリーした小原くん。マイクに届かないため、台に乗ってプレゼンする姿はなんともかわいらしいのですが、アプリは本格派です。お金を貯めてアイテムを買えるのですが、なんと借金も可能! ただし、借金を返さないとラスボスには挑めないという、厳しいシステムになっています。まさに、アプリ界の怪物ルーキー現るといった様子に、会場も大盛り上がりでした。

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このアプリは、計算問題を次々と出してくるモンスターを計算問題を解いて倒していくゲームです。簡単な足し算や引き算から難しいかけ算割り算まであり、子供から大人まで幅広く遊べます。


エントリーNo.5
東京都立富士高等学校2年 鈴木柚花さん・楠野 成美さん
棒人間orz

自ら「イマドキ女子です☆」と自己紹介し、会場の心をつかんだ女子中学生ペア。つくったのはみんなであそべる棒人間のゲームアプリです。棒人間がとるポーズがかわいい、ゆるくて楽しいゲームです。審査員からは「棒人間市場はアメリカが一番大きい、これは世界を狙えるかも」という高評価が出ました。

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バランスをとって棒人間をノートから落とさないようにする、加速度センサを使ったゲームアプリ。5秒ごとに棒人間の画像とおじさんのセリフが切り替わり、それと同時に4方向のうち、いずれかの方向に速度が加わります。加わる速度はだんだん大きくなり、難しくなっていくようになっています。ゲーム終了時は、棒人間が落ちていくアニメーションをつけました。全てObjective-Cで記述しました。


エントリーNo.6
品川女子学院高等部1年  高瀬理奈さん・伊藤美怜さん
プレーヤーの想像力が試される斬新なパズルゲーム!「パズル*花と水*

水と花をモチーフにした美しいゲームアプリ。プログラミングを高瀬さん、デザインを伊藤さんが担当しました。ルールはなく、パズルや神経衰弱など、遊び方はプレーヤーに委ねるという、斬新なゲームです。

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if文swich文を基本として作れるアプリを考えました。音楽は魔王魂より、プログラミングは高瀬、デザインは伊藤が担当しました。自分のイメージする完成図になるようにボタンをタッチしていくというプレーヤーの想像力に任せるパズルゲームを考案しました。

休憩
ここで10分間の休憩です。この6組の発表が終わった時点で、企画力審査点のみの途中経過順位が発表されます。控え室では様々な想いが交錯しますが、後半組はこれから。気合いが入ります。

エントリーNo.7
東京都港区立お台場学園港陽中学校2年 田中響和くん
美しいデザインが特徴! 画面に表示された色を暗記するアプリ「Punch Colors

まるでAppleの商品説明のような、美麗なスライドと流れるようなプレゼンで会場を驚かせた田中くん。各国の伝統色を覚えて、識別するという色のゲームアプリをつくりました。洗練されたデザインに目を引かれるけれど、本人は「デザインは苦手」とのこと。こだわりと努力の結晶が、すばらしいアプリを生みました。

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このアプリは、順にでてくるパネルの色を覚えて20枚のパネルの中から覚えたパネルの色を当てるゲームです。各問では、正確性と時間でポイントが算出されます。獲得ポイントは、ランキング形式で表示され確認できます。


エントリーNo.8
慶應義塾普通部1年(中学1年) 宗國開くん
ゴルフのスコアを分析するアプリ! データを記録し、グラフで表示「Score Analyzer

おもむろにサンバイザーとクラブを取り出し、実際ボールを打つパフォーマンスで会場を沸かせた宗國くん。ゴルフ好きのお父さんのために開発した「親孝行」ゴルフアプリで勝負です。でも実は、スコアを忘れてしまうのは、お父さんではなくお母さんだそう。家族みんなで使えるアプリになりました。

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Score Analyzerはゴルフを有意義に楽しむ為のAndroidアプリです。
主な機能- 打数をカウント- カウントしたデータとパー数を組み合わせて分析- 過去のデータを保存して、再起動した観覧


エントリーNo.9
海陽中等教育学校 3年 杉浦勇希くん・梶浦彰人くん
撮った写真を花にできるアプリ!「Photo Flower

中学3年ペアの杉浦くん、梶浦くんは、子供から大人までみんなが使えるアプリをつくりたいと、写真アプリに挑みました。カメラ機能の制御が複雑なことから、開発には苦労も多かったとのこと。しかし、できあがったそのかわいらしいデザインに、司会の石井さんも「ぜひ使ってみたい!」と大絶賛でした。

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思い出の写真を現像してひとつの花のようにできたらいいなと思い、このアイデアをアプリにしました。「写真を時系列順にならべ、ユーザーが自分の旅行や、1日の行動を振りかえれるようにする」ことです。ユーザーがこのアプリ上で写真を撮ると、地面から、葉っぱが伸び、写真がそこに収まります。


エントリーNo.10
The American School in Japan (中学2年) 角南萌さん
プレゼンには必須! 自分で時間を指定可能なプレゼン用タイマー「見えるプレゼンタイマー

アメリカンスクールに通う角南さんは、普段の授業でもよくプレゼンをするそう。そんなときに使える、タイムマネジメント用のいいアプリがないことに気づき、自分でつくることにしました。実際に、このタイマーを使いながら、時間配分をきっちり決めて、すばらしいプレゼンを披露してくれた角南さん。「すごい!」「レベルが高い!」という声が会場から上がっていました。

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限られた時間内に効果的なプレゼンテーションを行うためのタイマーアプリです。セクションごとに色分けされたリンググラフで、時間配分と経過時間が一目でパッと把握できます。指1本で簡単にセクション編集でき、カウントダウン/アップの切替えや、 バイブレーションと音のon/offもできます。シンプルで使いやすい、誰でもプレゼンの達人になれるアプリです。


エントリーNo.11
石巻ハッカソンチーム 宮城県石巻工業高校3年 中塩成海くん・三浦和樹くん・遠藤拓也くん
様々なミニゲームがプレイできる盛り沢山なアプリ!「Ishinomaki Hackathon Game Collection

宮城県・石巻から堂々参加の、石巻ハッカソンチーム。ハッカソンで学んだコロナSDKというソフトをつかって、それぞれがゲームを開発し、一つのアプリにまとめました。話題を読んだのは、ただひたすらティッシュをひき出す「無限ティッシュ」というゲーム。最初はティッシュをひき出す音を実際に録音して使ってみたものの、あまり雰囲気が出なかったため「ペラッ」と言う声を使ったところが、おもしろさのポイントになりました。

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これらのミニアプリはLua言語で開発されているので、javaprojectファイルではなく、Lua言語のプロジェクトになります。ハッカソンチームが作ったミニゲームが一度に楽しめるアプリです。


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すべてのプレゼンテーションが終わり、控え室でパチリ。みんなでニコニコ動画を見ながら熱唱するなど、かなり和気あいあいとした雰囲気です。ここにくれば、プログラミングを学ぶ仲間がいる。学校の外の貴重なつながりが生まれています。 img src="images/report/report_21.jpg" width="270" height="172" img src="images/report/report_22.jpg" width="270" height="172"


実装力審査
審査員の方々は別室で、中身のコードやユーザーインターフェイスについて検討します。その点数が、実装力審査の点数となります。
会場では一般の見学者によるアプリ体験タイムです。各チームがブースに分かれ、アプリを紹介します。テレビやWeb サイトの取材なども受けながら、お客さんにアプリを楽しんでもらいました。

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結果発表
実装力審査を終えたあとは、結果発表です。ファイナリストたちは、緊張しながらも楽しみな様子。審査員の中澤仁さんに、それぞれのアプリにコメントをいただき、いよいよ入賞者の発表です。

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まずは第5位。
438点で、エントリーNo.5鈴木柚花さん・楠野 成美さんの「棒人間orz」!
本当に予想外だった、という様子でうれしそうに壇上に上がる二人の姿が印象的でした。審査員からは「加速度センサーを使った、一番ダイナミックなアプリだった。処理の遅れも見られずかなりよくつくられている。今後は、並行だけでなく垂直の動きも入れられるといい」という講評がなされました。

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第4位はエントリーNo.2新矢竜くんの「センタータイマー」です!
新矢くんは、発表があったとき思わずガッツポーズ! 審査員からは「残り時間が減っていくことだけでなく、勉強時間を積み重ねた自信がもてるようになっているのがいい。さらに、難関校に合格した人の勉強時間などを組み込んで、勉強スタイルを真似できるようになったらいいかもしれない」という講評をもらいました。

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第3位はエントリーNo.4小原凱也くん「計算RPG 」です!
ゲーミフィケーションの好例だと評価された小原くんのアプリ。課金して問題の追加ダウンロードができるなど、商品としての可能性も充分とのことでした。

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いよいよ第2位です。492点で、エントリーNo.7田中響和くんの「Punch Color」が選ばれました!
とにかく完成度が高いと評価されたこのアプリ。田中くんは「自分のプログラミングが、全国に通じるレベルだということがわかったのが、本当にうれしい」と受賞の喜びを語っていました。

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そして、ついに第1位の発表です。
第1位は……エントリーNo.10、角南萌さんの「見えるプレゼンタイマー」でした!
「単なるタイマーではなく、いろいろなことに時間配分をしましょうという教育効果が高い、画期的なアプリ」と審査員も大絶賛。独創性、デザイン性ともに90点を超える高評価で、見事1位を獲得しました。

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最後は審査委員長の宝珠山氏から締めのあいさつがあり、みんなで記念写真を撮りました。

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これにて、アプリ甲子園2012は閉幕です。
来年も、中学生・高校生プログラマーの挑戦を、心よりお待ちしています!


(アプリ甲子園2012 決勝戦レポート終わり)

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