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アプリ甲子園2017 大会レポート

 

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2017年10月15日、予選を勝ち抜いた10組のファイナリストがD2Cホールへ集結し、「アプリ甲子園2017」決勝大会が開催されました。

例年同様、多数の応募の中から、1次動画・書類審査、2次プレゼンテーション審査会を勝ち抜いて見事に決勝大会進出を果たした小学5年生から高校3年生までのファイナリスト11名が揃いました。

総合司会は昨年に引き続き清水麻美子さん、そしてアメリカザリガニの平井善之さん。緊張した面持ちのファイナリストたちが登壇し、株式会社D2C代表取締役社長の宝珠山卓志より激励を受け、いよいよアプリ甲子園2017 決勝戦の開幕です。

審査は、10組のファイナリストが開発したアプリをプレゼンテーションする企画力審査。その後別室にて実機操作・プログラムソースコードを実際に確認する実装力審査が行われます。 企画力審査300点、実装力審査300点、合計600満点で競います。

企画力審査:独創性・デザイン性・消費者支持度(プレゼンテーション審査) 実装力審査:操作性・技術点・完成度(実機、ソースコード審査)

大会レポートでは、ファイナリストのプレゼンや質疑応答の様子をお伝えいたします!


審査員紹介

日本のアプリ界を牽引する審査員の方々が揃いました。

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齋藤 精一 氏
Rhizomatiks Creative Director / Technical Director

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岩谷 徹 氏
ゲームクリエイター/東京工芸大学 芸術学部 ゲーム学科 教授

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谷本 有香 氏
フォーブス ジャパン副編集長 兼 WEB編集長

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中澤 仁 氏
慶應義塾大学環境情報学部准教授、博士(政策・メディア)

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米澤 香子 氏
電通 クリエーティブ・テクノロジスト

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五十嵐 裕貴 氏
株式会社パワーハウス ビジネスソリューション部 ディレクター


企画力審査

最初は、プレゼンテーションによる企画力審査です。
大人も圧倒される、堂々としたプレゼンテーションが次々に披露されました。

01 横浜国立大学教育学部附属横浜中学校 内山 史也 / Drying Assistant

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アプリ説明
濡れた洗濯物をセンサーのついたハンガーにかけスイッチを入れると、アプリが自動で洗濯物の水分量を計測して、乾燥時間の予測まで全自動で行ってくれるアプリ。通知がきたら、それは洗濯物が乾いた合図。ハンガーのスイッチを切るときに、その日の天気にあったスタンプをもらうことができます。このアプリがあれば、洗濯物を取り込み忘れることはもうありません!※アプリ説明は本人によるもの

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プレゼンテーションによる企画力審査のトップバッターは内山さんです。
「なんでそんなにハキハキしているの?」と司会の平井さんから突っ込まれる程の力強いプレゼンテーションを見せてくれました!

昨年、IoTの世界を知ってから自分で作ってみようと思ったその行動力に審査員の方々も驚きながら、アプリの中身にも興味津々。
なんと、センサー付きのハンガーも自分で設計・はんだ付けも行ったとのことです!

「世界中で洗濯物を干している人たちのデータを取ってこのアプリに応用できるはず。この先が楽しみだ。」と審査員の方からフィードバックもいただき、 自信をのぞかせていました。


02 品川女子学院高等部 西林 咲音 / Calm

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アプリ説明
Calmは持病と共により良い日常生活を送るためのアプリ。体調を崩して授業を休んでしまったときに、授業の欠課数、そのほの症状や日記を記録して学校生活の不安を軽減させます。デザインは印象を柔らかくするために角を減らしオシャレな見た目にすることで、持病のためのアプリだとわからないようにしたこともポイントです。
※アプリ説明は本人によるもの

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持病を抱えている学生のニーズに応えたこのアプリ。
「オンラインで共有せずに、あくまでも対面で話すためにあるアプリ」との西林さんの一言に、司会の清水さんもグッときたとのこと。

使用方法や目的はもちろんのこと、デザインやカラーなどUIのこだわりから不安な気持ちを少しでも和らげようとする思いが感じられますね!


03 宮城県工業高等学校 間山 千寛 / ReStudy

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アプリ説明
ReStudyは、テストや学習プリントをカメラ機能で撮影して、間違った部分や答えが書き込まれている部分を画像処理で消去して、画像を印刷することで、再度プリントで学習を行えるようにするアプリケーションです。画像の印刷は、クラウドプリントを利用して印刷することができます。
※アプリ説明は本人によるもの

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受験生のみならず、勉強している人が思わず欲しくなるRestudy。
これまでのRGB色空間を使用した方法ではなく、HSV色空間を使用しているため、従来の方法と比べて色をキレイに消すことができるそう。

間山くんのユニークなプレゼンテーションに笑いが起こる一幕もありました。
将来はアプリ制作ができる仕事をしたいとのこと!


04 東京都立両国高等学校 藤本 結衣 / メモリーカプセル

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アプリ説明
タイムカプセルをイメージして作ったアプリです。いつでもどこでも、いくつでも、気軽に文章と写真を入れたメモリーカプセルを埋めることができます。カプセルを埋めた場所に近づけば、何度でもカプセルを掘り出して、中の文章と写真を見ることができます。
※アプリ説明は本人によるもの

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質疑応答で審査員の方々からアイデアを評価されるコメントがとても多かったのがこちらの作品。
コンセプトの面白さが光っていました!
プレゼンテーションからワクワク感が伝わってきたことで、こんなこともしたい、あれもできるのではないか?と盛り上がりました。

テスト勉強をしている際にタイムカプセルを使ったアイデアがポンッと出てきたそうです。
「みなさんの生活がより楽しくなること間違いなしです」と、自信を持って締めくくってくれました。


05 渋谷教育学園渋谷高等学校 柴原 佳範 / DayTree

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アプリ説明
DayTreeは日々の出来事やふと思いついたアイディアを日記のように記録できるアプリです。
どこにいてもいつでも使用することができ、気軽に自分の好きなことを好きな量書くことができます。スマホで撮った写真をそのまま日記の一部として残しておくこともできます。さらに過去に書いたことを振り返るときも検索機能を使えて便利です。そして新しいエントリーを追加するごとに画面内に少しずつ木が増えていきます。だんだんと育てていく森を見ることによって愛着がわき、継続するきっかけになります。
※アプリ説明は本人によるもの

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もともとデザインに興味があった柴原さん。今ではポスターを作ることを日課にしているそうです。
そんな柴原さんが作るアプリだからこそ、フラットでデザインの細部までこだわりのあるDayTreeが生まれたのでしょう。
「洗練されたデザインが素晴らしい」と審査員の皆様も絶賛されていました。

記録を毎日楽しくするためには?をとことん追求したこちらのアプリ。
「日々育っていく森を見て、継続する楽しさを感じるとともに、自然に対する考え方も変えていけたら」と語ってくれました。


06 早稲田実業学校初等部 菅野 晄 / 回一首

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アプリ説明
「回一首」は、百人一首がコンセプトのカジュアルアクションゲームです。画面の下から立方体が回転しながら上がってくるので、プレイヤーはボールをスワイプしたり画面を傾けて移動させて、字に画面外に押し出されないようにします。ポイントはロゴやアイコンなどすべて手書きで作成したとと海外の方にも百人一首を知ってもらえるように日本語版以外にも英語版を作ったことです。
※アプリ説明は本人によるもの

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「百人一首を覚えれば覚えるほど高得点が取れるゲームがあれば、百人一首がもっと楽しくなる」という発想から菅野さんが開発したのがこの「回一首(まわりっしゅ)」というゲーム。
審査員も思わず「今日見たアプリの中で一番ぶっ飛んでいる」と一言。

質疑応答の際には「アップデート」、「ゲームバランス」など、小学5年生とは思えないような単語が次々と飛び出し観客を驚かせていましたが、結果が出た際には司会の平井さんと2人で飛び跳ねる小学生らしい一面も。
小学5年生とは思えないクオリティにただただ感服です!


07 三田国際学園高等学校 山口 響也 / Photo Disguiser

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アプリ説明
Photo Disguiserは、iPhoneの標準の「写真」アプリに入っている写真をワンタップで別の写真に偽装することができるアプリ。偽装した写真はいつでも元の状態に戻して見ることができます。
※アプリ説明は本人によるもの

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「見られたくない写真はありませんか?」という切り口から始まった山口さんのプレゼンテーション。
実際にとったアンケートを見せることでこの「Photo Disguiser」の需要を数値的に示していたのも印象的でした。
本人曰く「プレゼンは割と緊張しなかった」とのこと。

審査員も、「ユーザーエクスペリエンスがとてもよく考えられている」とコメントしていて、
山口くんを含め世の中のニーズにとてもマッチしているアプリと称賛。

どの世代も思わず使ってみたくなってしまうアプリです!


08 慶応義塾湘南藤沢高等部 西村 佳之 / Nekt

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アプリ説明
暇な日はあるが誰と遊べるかわからなかったり、いつもは遊べないような友達と気軽に遊びたい…というような中高生あるあるのニーズに応えるためのアプリ。友達を追加し、自分の予定の空いている日を登録すると、その日遊べる友達のリストを見ることができます。イベントを作成したり、リスト表示、カレンダー表示でスケジュール管理もできる他、チャット機能も備わっています。
※アプリ説明は本人によるもの

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夢は起業することだという西村くん。
「日本のザッカバーグみたいなプレゼンだった。」と審査員に言わしめるほど堂々としたプレゼンテーションを見せてくれました!
中高生のあるある事情を見事にアプリに落とし込んでいて、結果として幅広い層の支持を集めているそう。
審査員の「グループ機能が欲しい」との一言にも、ちょうど今作ろうとしていると語ってくれ、今後のアップデートにも期待がかかりますね!


09 日本女子大学附属高等学校 藤田 麻里 / SHINDo

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アプリ説明
「進捗管理人」と呼ばれるSHINDoのオリジナルキャラクターが利用者の作業や宿題の進捗を応援、監視するリマインダーアプリです。タスクを完了させたときに褒めてくれる機能や、利用者を応援する画面などを用意してあなたの作業を応援してくれます。
※アプリ説明は本人によるもの

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「何を食べたらこんなにいいプレゼンができるのか。」と審査員の方が語るほど勢いのあるプレゼンをしてくれた藤田さん。
このアプリで登場するオリジナルキャラクターの「進捗管理人」はなんと全て本人による書き下ろし、音声も録り下ろしという事で藤田さんのこだわりが詰め込まれています。
質疑応答の後の司会者とのやりとりでは藤田さんが大好きな「メガネ男子」の良さを熱く語って会場を沸かせてくれました。


10 徳山工業高等専門学校 関谷 恒甫・石田 薫子 / 天動説と地動説

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アプリ説明
スマートフォンのジャイロを利用したゲームです。スマホをうまく回すことで、地球に向かってくる隕石をオゾン層で防ぎ、地球を守るゲームです。天動説モードと地動説モードがあり、天動説モードでは天(宇宙、隕石)、地動説では地(地球)を回すことができます。
※アプリ説明は本人によるもの

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部活が一緒だという2人。関谷さんがプログラムを担当し、石田さんはイラストやBGMを担当したそうです。ファイナリストの中では唯一チームでの決勝大会出場で、審査員の方からも、「チームでやってよかったこと、大変だったところは?」と質問を受けていたところも印象的でした。
ハンドスピナーを使用するというユニークなアイデアを持ったこのゲーム。実際にプレゼン中に関谷くんがゲームを実演した際には、大きな歓声が上がっていました。


実装力審査・体験会

企画力審査のプレゼンテーションが終了し、続いて実装力審査に移ります。

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審査員の皆様は別室にて実機操作・プログラムソースコードを実際に確認。
会場にお越しくださった皆様には、ファイナリストたちが作ったアプリを実際に体験していただきます。
直接利用者の声を聞ける貴重な機会ということもあり、
ファイナリストの皆さんは自分のアプリの横に立ち、説明をしたりアピールをするなど積極的にコミュニケーションをとっていました。

惜しくも決勝大会に進むことができなかったアプリ甲子園の参加者が
ファイナリストに質問を投げかける場面などもみられ、ここでしかできない交流がありました。


結果発表

実装力審査も終わり、待ちに待った結果発表です。
ファイナリストたちは、緊張しながらも楽しみな様子です。
優勝は、各賞は、誰の手に渡るのでしょうか。

技術賞 / 西村 佳之さん 「Nekt」

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高い実装力とわかりやすいインターフェース、すでにリリースされており多くのユーザーがいる点も評価されました。
「まだ実感がないが嬉しい」と戸惑いながら嬉しそうにコメントをしてくれました。

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セガゲームス賞 / 藤田 麻里さん 「SHINDo」

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セガゲームス賞は藤田 麻里さんの「SHINDo」!
副賞として、オフィスでゲームクリエイターによる受賞作品の講評会、ゲームアプリ開発体験に参加できる他、セガグループ関連商品贈呈の権利が贈られました。
自分のこだわりがユーザーの必要なものに紐付けられていることが評価されました。
「メガネ男子だったらメガネ割れていると思います」と、大好きなメガネ男子で喜びを表現してくれました。

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電通アイソバー賞 / 内山 史也さん 「Drying Assistant」

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電通アイソバー賞は内山 史也さんの「Drying Assistant」!
副賞としてオフィス体験ツアーと、アマゾンカード5万円分が贈られました。
日常のどこにでもある課題をデジタルとIoTで解決し、発展性があることが評価されました。
「プログラミングを始めて1年でこのような賞をいただくことができ本当に嬉しいです」とコメントしてくれました。

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パワーハウス賞 / 藤田 麻里さん 「SHINDo」

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パワーハウス賞は藤田 麻里さんの「SHINDo」!
副賞として受賞記念クリスタルトロフィーと選べるWEBマネー3万円分、若手スマホアプリエンジニアとの交流会の権利が贈られました。
斬新なアイデアと印象的なプレゼンテーションが評価されました。
「人前で話すことが苦手だったが、このようにプレゼンテーションまで評価していただき嬉しい」とコメントしてくれました。

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ゆめみ賞 / 藤本 結衣さん 「メモリーカプセル」

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ゆめみ賞は藤本 結衣さんの「メモリーカプセル」!
副賞としてゆめみのオフィス訪問、Amazonギフト券3万円と、「ソースレビュー会+企画会議」でアプリをブラッシュアップする権利が贈られました。
「企画会議ではいろんな方向に企画が広がるポテンシャルがあるのではないか」と講評をいただきました。
「これからこのアプリをもっと良くしていけるのが楽しみです」と笑顔で語ってくれました。

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そして、いよいよ入賞者の発表です。

第3位 内山 史也さん 「Drying Assistant」

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全世帯の課題と言える「洗濯」に着目したところ、ファイナリストの中で唯一IoTに取り組んでいるところが高く評価され、審査員の谷本有香さんからは「私自身も使いたい」と講評をいただきました。
内山くんは、「今回のアプリ甲子園を通じて、新しい技術を得て、いろんな人にフィードバックをいただけたので、これからも良いものを作っていきたい」と話してくれました。


準優勝 山口 響也さん 「Photo Disguiser」

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スケールの大きいニーズに応えているところや、いち早くユーザーの声をきく姿勢が評価されました。審査員からは「これからも遊び心を持ってアプリに挑戦してほしい」と講評をいただきました。
山口くんは「今日の写真は隠さずにとっておきたい」とコメントし、会場を沸かせてくれました。
山口くんには副賞として最新型タブレット端末、またはAppleWatchSportが贈られます。


優勝・総務大臣賞 西村 佳之さん 「Nekt」

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高い実装力が評価され、審査員からは「西村くん自身の欲求からこのアプリができていて、インターフェースはどこかのベンチャー企業が作ったのかと思うようなクオリティでできている。総合的に見て優勝と判断した」と講評をいただきました。
西村くんは「ファイナリスト達のアプリが本当に凄かったので優勝できると思っていなかった。ありがとうございます。」と笑顔でコメントしてくれました。
西村くんにはベストアプリアワードと総務大臣賞、そして副賞が贈られました。

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最後は各審査員からの講評と齋藤さんからの締めのあいさつがあり、みんなで記念写真!
これにて、アプリ甲子園2017は閉幕です。
「スマートフォンなどのアプリ開発を通して、日常をちょっとずつ面白くすることが未来を作っていくことにつながる」というお話があったように、アプリ甲子園がこれからの未来を担う中高生の「未来を作る第一歩」を踏み出すきっかけになるのではないでしょうか。
来年も、更なる中学生・高校生プログラマの挑戦を心よりお待ちしています!

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