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アプリ甲子園2018 大会レポート

予選を勝ち抜いた10組のファイナリストがD2Cホールに集結し、「アプリ甲子園2018」決勝戦が開催されました。

全国、そして海外からの多数の応募の中から、一次動画・書類審査、二次プレゼンテーション審査会を勝ち抜いて、見事決勝進出を果たした小学5年生から高校3年生までのファイナリスト10組が揃いました。

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総合司会者は清水麻美子さん、株式会社コナミデジタルエンタテインメント根岸豊さん。緊張した面持ちのファイナリストたちが登壇し、主催である株式会社D2Cの田村より激励を受け、いよいよアプリ甲子園2018 決勝戦の開幕です。

ファイナリストは「企画力審査」「技術力審査」の合計点で優勝を競います。
企画力審査では、10組のファイナリストが自ら開発したアプリのプレゼンテーションを行いました。その後、別室にて実機操作・プログラムソースコードの開示により技術力審査が行われました。
大会レポートでは、ファイナリストのプレゼンや質疑応答の様子をお伝えいたします!


審査員紹介

日本のアプリ界を牽引する審査員の方々が揃いました。※順不同

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齋藤 精一 氏
Rhizomatiks Creative Director / Technical Director

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田中里沙 氏
事業構想大学院大学学長 / 宣伝会議取締役メディア 情報統括

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千代田まどか(ちょまど) 氏
Microsoft / Software Engineer

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中澤仁 氏
慶應義塾大学環境情報学部准教授、博士(政策・メディア)

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鷲崎弘宜 氏
早稲田大学グローバルソフトウェアエンジニアリング研究所所長・教授、国立情報学研究所 客員教授

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金子 麻里絵 氏
株式会社パワーハウス WEB/モバイルアプリエンジニア


企画力審査

最初は、プレゼンテーションによる企画力審査です。
大人も圧倒される、堂々としたプレゼンテーションが次々に披露されました。
※掲載は決勝大会の発表順

01 武蔵野市立第三中学校 3年生 久下京一郎 「速棋」

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アプリ説明
「速棋」は将棋をベースにした1対1の3Dボードゲームです。「畑」「家」「歩兵」「騎馬兵」「壁」の5つの種類の駒を使って戦い、9マス目の色の付いたマスに到達することで勝利です。素早く自分のターンを終えることで有利になるというルールにより時間の長さという将棋の弱点を克服し、スピーディーなゲーム展開となります。
※アプリ説明は本人によるもの

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審査員の方々からはゲームのルールを評価されるコメントが多かったのがこちらの作品!
「ゲームとしてのルールが新しく今までにないもので素晴らしい。どうやってアイディアは思いついたのでしょうか?」という質問にはベースのルールを決めた後、作りながら思いついたアイディアをどんどん付け足していったと説明してくれました。
もうすでに次に作るゲームを決めていて、来年もまた完成させて参加したいと話してくれました。


02 日本女子大学附属高等学校 3年生 笠原未来 「SPEEDAY」

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アプリ説明
手書きですぐにメモできる、カレンダーアプリです。何度でも書いて消すことが出来ます。 カレンダー以外にも、予定が近づくと通知してくれる機能や、テーマカラーを変える機能が あります。
※アプリ説明は本人によるもの

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審査員の方々からは「今すぐに使いたい」と大絶賛だったこちらのアプリ。
女子中高生がiPhoneと手帳を併用しているという自分たちの身近な課題からアイディアを得てこのアプリは作られました。
今後していきたいアップデートとして「外部のカレンダーアプリとの連携もできるようにしたい。」と話してくれました。
プレゼンの最後には「SPEEDAYであなたの日々をもっと快適にしませんか?」と締めくくってくれました。


03 
渋谷教育学園渋谷高等学校 1年生 浅野啓
埼玉県立浦和高等学校 2年生 田村来希
「PERVERSE」

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アプリ説明
PERVERSE は上下左右逆に動く2つのブロックを動かしてゴールに持っていくゲームです。 また、友達の遊んだマップを共有して遊んだり、サーバーに遊んだマップをアップロードす ることで実際に世界中の人がプレイしたマップで対戦し、レートで競うことができます。
※アプリ説明は本人によるもの

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4分間のプレゼンの中ではソースコードの解説もわかりやすく行ってくれました。
ゲームのマップを自動生成し、なんと126京通りものマップ生成をすることができるそう。
さらに自分が遊んだマップを共有して遊ぶ機能を作るため256進数を利用したと解説。
開発者よりも上手い人が5人いるので、その人たちに向けたやりこみ要素も作っていると話してくれました。


04 岩倉南小学校 5年生 宮城采生 「オシマル」

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アプリ説明
動物の絵柄のブロック(以下、動物ブロック)の作るコスト、移動スピード、重さ(押しの力)の違いを考慮しつつ、CPUが出してくる敵動物ブロックとお邪魔オブジェクトなど、ステージの状況をふまえて動物ブロックを配置します。また、矢印アイコンで、同じ種の動物ブロックの集団を(敵味方の区別なく)左右に動かせるので、トラップにかけたり、押し合ったりさせながら、敵の陣地に3体ゴールさせます。敵より先に3体ゴールできたらステージクリアです。失敗したら一つ前のステージに戻ります。
※アプリ説明は本人によるもの

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「企画力が素晴らしくすごくハマった」と審査員の方々と司会の方から褒められていました。
他のゲームにはないルールを作りたいと思って、色々考えて押し出すゲームを作ることにしたそう。
犬と猫の正面図を作ったらどっちがどっちか分からなくなったのでブタのキャラクターに変更したと話していました。今後はランキング機能やネットワーク機能とかをつけていけたらと思うと話していました。
プレゼンの最後には、将来はみんなが平和でハッピーになるものを作りたいと話す宮城君でした。


05 青山学院中等部 3年生 河原慶太郎 「写して翻訳」

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アプリ説明
3つの機能が使えるアプリです。一つ目は、物体を撮影した画像もしくは、保存してある画像を取り込む事で、物の名前を判断して言語を選んで翻訳し、表示してくれる機能です。二つ目は、撮影した画像もしくは、保存してある画像を取り込むと、テキストで文字だけ抽出してくれる機能です。3つ目は、文字を入力すると言語を選んで翻訳できる機能です。
※アプリ説明は本人によるもの

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茶道部に所属する河原慶太郎君は、2020年にはオリンピックが開催されることを踏まえ、海外から来る人に茶道の道具の写真を取るだけで簡単に翻訳ができるようにこのアプリを作ろうと思ったと説明します。
審査員の先生方からは「2020年のオリンピックに向けて、多くの人を助けるいいアプリですね」と絶賛されていました。
このアプリは春から開発を始めて、今は他にもアプリを作っているそう。


06
Canadian International School Singapore Lakeside Campus
G9 中馬慎之祐
「AsnapR」

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アプリ説明
AsnapR(アスナップル)は、AR を特別なものにさせない! AR を身近に感じるための簡単でシンプルな使いやすい AR カメラ(写真・動画)アプリです。AR( 拡張現実 ) で目に写っていることを拡張し、自分の好きなように操り・情報を盛り込 むことで、普通のカメラアプリとは一味違った面白い動画を撮ることが可能になります。撮影者のアイディア次第で、動画 へのデコレーション・情報を空中に加える・感情の表現・写ってはいけない人やモノへのマスキングなどなど、いろいろな楽しみ方を生み出します。また Instagram のストーリーズ・フィードへのシェアも簡単に行うことができるようになっています。
※アプリ説明は本人によるもの

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同年代の友人がインスタグラムのストーリーをよく使うことに注目し、ストーリータイプSNSに特化したARカメラアプリを開発。思わずシェアしたくなるストーリー用の写真や動画を撮影できます。
奥行きを使用して360度全方向にテキストやイラストを配置して録画し、簡単にシェアすることができます。
スムーズな撮影のために細部までこだわったUI、審査員の方からは「ユーザーのクリエイティビティを発揮させるアプリ」という褒め言葉を頂きました。
3年ぶりのステージで堂々としたプレゼンテーションを見せてくれました!


07 早稲田実業学校 6年生 菅野晄 「写刺繍 ~Sha-Shi-Shu~」

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アプリ説明
「写刺繍(Sha-Shi-Shu)」は、かんたんに刺繍の図案が作成できるiOS アプリです。 誰でもオリジナルのデザインを作れるように、自分のスマホで写真を撮るだけで、その写真を刺繍の図案に変換し、必要な刺繍糸を教えてくれるようなアプリを開発しました。
※アプリ説明は本人によるもの

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私のおばあちゃんはよく刺繍をしますが、一番悩んでしまうのは設計図である図案を作ることだそうです。そんなおばあちゃんの悩みからこのアプリは作られたそう。
今後はアプリで作成したデータをミシンに送信して自動で刺繍ができるようにもしたいと説明します。
これからもコンピューターを使ってものづくりが便利になるアプリを作っていきたいです!とプレゼンを締めくくりました。
お正月に静岡にいるおばあちゃんに使ってもらうのが楽しみと話していました。


08 三田国際学園 2年生 山口響也 「ARoute」

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アプリ説明
日本に来た外国人向けのアプリです。ホームにある駅ナンバリングをスキャンすることで、ARで路線図の表示、何時発、何番線の電車に乗るかの表示、目的地に近づいたタイミングでの通知 ( 乗り過ごし防止 ) が可能です。ARを使うことによって、どれほど遠い場所にあるのか、また他に行ける駅の確認もできます。
※アプリ説明は本人によるもの

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昨年は準優勝で今回は優勝を狙う山口さんによるプレゼンテーション。
日本に来る外国人の方は公共交通への不満を持っているというデータを紹介し、手軽な検索が必要だと考えアプリを開発したと説明します。
アプリはUIやチュートリアルなどを含めた全て多言語対応(英語、中国語、韓国語、日本語)をしているそう。
「日本旅行をより手軽に」とプレゼンを締めくくりました。
審査員の方と開発でどこが大変だったかという話で盛り上がりました。


09 東洋英和女学院中学部 3年生 原田摩利奈 「ComDiary」

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アプリ説明
このアプリは音声認識機能を使ってユーザーの話した愚痴を文章化し、その文章を限られた友達だけに共有したり、共有せずにただ愚痴って自分のスマホ内だけに留めたりする事ができます。また愚痴は、必ず3日で消えるので、吐き出した愚痴がずっと残される事はありません。このアプリを使って、今まで吐き出せなかった愚痴を吐き出してみませんか。
※アプリ説明は本人によるもの

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いつでも簡単に愚痴りたい、本当に共有したい人だけに共有したいという思いで愚痴ることに特化した新しいSNSを作ったと話す原田さん。
右にスワイプするだけで愚痴を見ることができ、左にスワイプすると共感することができる。直感的に操作ができるUIにこだわったと話す。
愚痴を書いてから3日経つと消えると決めたのはどうして?と聞かれると、
中高生は愚痴を思いついても次の日にはそのことは忘れてしまうため、前の愚痴が残っていると嫌なので3日で消えるようにしたと話していました。


10
千葉県立一宮商業高等学校 2年生 
谷津俊輔・愛野茜太・井上大斗・木村優斗・鋪野和莉
「TIERN」

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アプリ説明
キャラクターに与えた言葉を、形態素解析を利用して分解し、辞書データをもとに感情を判断することでキャラクターが変化していくアプリです。 ある一定の条件を満たすことで感情ごとにキャラクターが変化していきます。またキャラクターが変化した回数に応じてバッジを手に入れることができます。バッジの色は「銅→銀→金→虹」に変わっていき、その感情への変化の数が多いほど虹に近づく仕様になっております。またRankを上げるとキャラクターとのKIZUNAメーターが上がり、エリア(壁紙)が開放されます。最大で4つのエリアを開放することができます。
※アプリ説明は本人によるもの

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みなさんは「ヤバイ」という言葉を使ってしまいませんか?という投げかけからプレゼンが始まりました。語彙力不足が深刻であるということをきっかけに語彙力を鍛えるアプリを開発したそう。
様々な感情の言葉をキャラクターに与えると、その言葉に応じてキャラクターが育っていきます。形態素解析を用いているため文章で入力しても一つ一つの単語を理解することができます。「キャラクターを育てることで語彙力を楽しく鍛えてもらえると嬉しいです。」「ヤバイヤバイはもう卒業!このTIERNで!」とプレゼンテーションを締めくくりました。
審査員の先生からは「このアプリヤバイね。」とのお褒めの言葉を頂きました。今後は感情ごとに新しい言葉を覚えていけるように発展させていきたいと考えてると話してくれました。

実装力審査・体験会

企画力審査のプレゼンテーションが終了し、続いて実装力審査に移ります。

審査員の皆様は別室にて実機操作・プログラムソースコードを実際に確認。
会場にお越しくださった皆様には、ファイナリストたちが作ったアプリを実際に体験していただきます。
直接利用者の声を聞ける貴重な機会ということもあり、
ファイナリストの皆さんは自分のアプリの横に立ち、説明をしたりアピールをするなど積極的にコミュニケーションをとっていました。

惜しくも決勝大会に進むことができなかったアプリ甲子園の参加者が
ファイナリストに質問を投げかける場面などもみられ、ここでしかできない交流がありました。


結果発表

実装力審査も終わり、待ちに待った結果発表です。
ファイナリストたちは、緊張しながらも楽しみな様子です。
優勝は、各賞は、誰の手に渡るのでしょうか。



技術賞 / 原田摩利奈さん 「ComDiary」

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審査員の方からは「QR友達追加や細かな設定ができるところ、するする動くUIやクラウドにも繋がっているなど色んな機能が実装されているところがポイントになりました。」との講評を頂きました。
「賞がもらえて嬉しい。これからも追加したい機能があるので頑張っていきたい。」とコメントしてくれました。

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電通アイソバー賞 / 菅野晄さん 「写刺繍 ~Sha-Shi-Shu~」

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副賞にオフィス体験ツアーと、Google Home、Amazon商品券1万円分を獲得しました!
「身近な人の困っていることを発見して作っていてすごくいい」との講評を頂きました。
「すごい嬉しいです。早くおばあちゃんに知らせたいです。」とコメントしてくれました。

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パワーハウス賞 / 笠原未来さん 「SPEEDAY」
クリスタルトロフィーと選べるWEBマネー3万円分、そして若手エンジニアとの交流会への参加の権利を獲得しました!
「中高生が使っている手帳の使いづらさを改善するというアイデアとプレゼンも素晴らしく選ばせて頂きました。」との講評を頂きました。
「作るのに色んな人に協力してもらったので、みんなの協力のおかげです。ありがとうございました。」とコメントしてくれました。

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第3位 
谷津俊介さん・愛野茜太さん・井上大斗さん・木村優斗さん・鋪野和莉さん
「TIERN」

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「語彙を豊かにしていくという着眼点やデザイン、見栄えの良さが評価されました。今後のさらなる発展を期待させてくれるアプリです。」との講評を頂きました。
谷津さんは「メンバーのみんな、保護者の方、顧問の先生の方のおかげでここまで来れたと思います。ありがとうございました。」と話してくれました。


準優勝 / 中馬慎之祐さん 「AsnapR」

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「企画力が秀逸でした。日常の風景がこんなに楽しくなるのかと実感することができた。堂々の準優勝おめでとうございます。」との講評を頂きました。
中馬くん「3年ぶりにこの舞台に帰ってきてのプレゼンは緊張しましたが、賞が取れて非常に嬉しいです」とコメントしてくれました。


優勝・総務大臣賞 / 浅野啓さん・田村来希さん 「PERVERSE」

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「ゲームのUIデザインなどを含めた全てのバランスがとても良かった。優勝おめでとうございます。」との講評を頂きました。
「本当に嬉しいと言う言葉しかない。今まで競技プログラミングをやってきてやっと報われたという気持ちです。」と笑顔で話してくれました。

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最後はみんなで記念写真!そして各審査員からの講評と齋藤さんからの締めのあいさつがありました。これにてアプリ甲子園2018は閉幕です。
来年も、更なる中学生・高校生プログラマの挑戦を心よりお待ちしています!





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