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IT思い出話(20)

新しいオフィス

新人一年目も年が明けて、春がやってきました。N社のプロジェクトはますます拡大することになり、私たちは他のN社のプロジェクトも含めて、客先常駐をやめて新しい開発拠点を作ることになりました。

客先のある茅場町の近く、人形町にある貸しビルのフロアを借りてわが社のメンバーが終結することになりました。

これは、非常に恵まれたことでまだ新築のピカピカのオフィスビルで働くことができたのです。

複数のフロアを借りてそのうちの一つが端末専用フロアになりました。また、開発用の端末だけではなく、RJE(Remote Job Entry)と言われるプリンタとカードリーダが一体になった装置も設置され、プリントアウトをその場で受け取ることができるようになったのです。

これは客先と全く同じ環境で、いちいちコンピュータセンタからリストを運んでくる必要もなくなり、開発の効率がものすごくよくなりました。

当時開発には、システムによってIBMと日立、両方の汎用機を使用していたので、IBMと日立両方の開発用端末が並びどちらも好きなだけ使うことができました。

また技術マニュアルも両社分準備され、ロッカー一杯に入っていました。

仕事中に生じた疑問を解決するのに利用したのはもちろんですが、時間が空いた時には、自分が興味あることを中心にロッカーの中のマニュアルを読みあさっては、端末に向かっていろいろなことを試すことができました。

今では、個人で簡単にPCや技術情報を簡単に手に入れることができ、自宅に素晴らしい開発環境を構築することができますが、当時のPCはまだまだ性能的に低く、汎用機のこのような開発環境の方が私には非常に魅力的だったのです。

朝から夢中になって端末室にこもって、気が付くと窓からきれいな夕焼けがみえるという日々が続きました。自分の席に戻るのは、昼休みだけというありさまだったのです。


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