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私と相棒のこと

私が今所属している大学の音楽系サークルに、相棒と呼べる同期の友達がいる。その子と私の性格は似てないようで似てて、でも多分向こうの方が頭がいい。
どっちかというと1人で行動するタイプで、初対面で怖がられがち。嫌なことは寝れば忘れる。理性的な判断もできる。
でも意外な所で弱くって、情緒的で、でも誠実。

正直、同じサークルに入ってなければ一生関わらないような、そんな不思議な縁。1年生の時に参加した夏合宿の同期の女子が私とその子だけだったことと、音楽が好きってだけで繋がった、ただそれだけ。


大学1年の終わり頃に好きな曲の聴かせ合いっこして、私が教えたものをすごく気に入ってくれたし、その子が教えてくれた曲を私は今でも聴いている。

デュオ組んで演奏したいね、って言ってくれたり、曲のことをあーだこーだ悩んで意見出し合ったり。
今まで色々なことを一緒に悩みながら、でも楽しみながら取り組んできたと私は思っている。

だから、最後の定期演奏会にも一緒に同期としてステージに出て、長く苦しいであろう時期を一緒に戦うだろう、と当たり前のように思っていたけれど、そうはできないかもしれないと言われてしまった。
理由は就活のためだそうで。


それを聞いたとき、まずそんなのは嫌だなと思った。最後の定期演奏会を一緒に乗り切れないことほど辛いものはない。

その後は怒り。というより、どうして、という感覚かもしれない。たしかに就活は大変だろうし、私は院進学を考えてて、その子は今就活に向けて勉強で、状況が真逆だからその大変さを身をもって知っているわけではない。人生を決める一大イベントでもあるから、どうしても失敗する訳にはいかないのも分かる。

だけど、そのためだけに1番大切な定期演奏会を逃してしまうのは勿体ないだろう、と思ってしまう。
もう二度とできない経験を、これからうんと長い社会人生活の入口のために捨ててしまうのか……?面接で胸を張ってサークルを頑張ったと言えるのか?


その後は悲しみというか、モヤモヤした感情だった。
ここまで一緒に戦って、ステージに上がってきた仲間だ。その子はもう悟りきったような表情をするものだから、辛いことこの上ない。
ここにきていきなりステージを下りて傍観者になるのだろうか。そうなのだとしたら、ものすごく寂しいし辛い。


私は彼女の抱えてるもの全てを共感できないし、負担を分け合うことも難しいと思う。彼女なりに考えた進路だろうから、他人である私が無下にしたくはない。
でも、やっぱり最後の定期演奏会を一緒に戦いたい。それで晴れてみんなで引退して、打ち上げで美味しいお酒をたらふく飲みたい。

どうやったら私の気持ちが伝わるのかを探している途中だけれど、どうか伝わってほしいと願う。

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