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新卒で遠距離初心者、適応の記録

私が文章を書くときはいつも衝動的で、今だって夜に布団から抜け出してろうそくに火をつけて暗い部屋の中でキーボードを打っている。何故か毎回、今どうして書いているのか説明してしまうのも癖だろう。

4月から拠点を変え、仕事を変え新しい生活をしている。4月も2週間が経とうとしていて、慣れたようなストレスが明らかになるようなよくわからないちょっとしんどいタイミングを迎えている。

3月までの仕事はとても暖かいが、難しさだらけで霧がかった中を、ちょっと道を知っている人たちについて行きながらすすんでいるようだった。私も私なりに進んだり戻ったりしながら関わっていた。

最近の適応のことできるなら、記録に残すと良いのだろうと思いながらナン日もくたくたになりながらやっとのことで、生きている。夜型だった私が、6時ごろからもぞもぞ起きて、7時には家を出て車を運転して出勤している。8時の朝礼では「今日も、腹を立てないように、悪口を言わないように、互いに感謝しましょう」といった会社の3則を復唱し、体操をしてからお酒を詰めたり運んだり、する仕事をしている。

初日の仕事はかすはがしからはじまった。酒粕を絞る機械から剥がす仕事だ。こうして酒粕が生まれるのかと感心しつつ、なんにも知らないままここまで来てしまったのだなとちょっと後ろめたい気持ちになる。そうしながら、せっせとかすをはがす。お酒の匂いはいいにおい。搾りたてのお酒は船口のお酒と呼ばれるそうだ。蔵の仕事を担当している社員さんが利き酒をさせてくれた。今まで飲んだお酒で一番美味かった。ぱっと弾ける、甘さの中にもすっきりさ酸味もある、でも米感も消えていない。すごい。複雑でありつつ親しみやすい、素晴らしいお酒だった。こんなお酒を作る仕事に関われているなんて幸せだと心底思った。

それから、酒屋への出荷の用意、オンラインショップで買った人への出荷、売店の開け締め、電話対応、瓶の点検、洗浄、などなど、酒造りもまだまだアナログなんだなーと思ったり、こんな細かい作業のための機械が存在するなんて!と驚きながら、お酒の詰まった重たい瓶をせっせと運んでいる。

友達がたくさんいた東京・横浜から、ひとりぽっちで引っ越してきた。会社の人とは連絡先を交換したりしなかったり。まだ飲みに行ったことがない。東京だったら、今週末飲みに行こうと気軽に言えたのになあ。そんなことを考えつつ、地道にコツコツ福島の良いところを探している。やっと落ち着いてきたので、知り合いにも連絡してみようと思う。

3月に恋人ができた。1月ころから恋人を探して色々動いていたが、私が福島に来ることも2月に決まり、気づいたら遠距離恋愛が始まった。遠距離はつらい。一緒に暮らしたいなと、連絡したくなるタイミングでいつも思う。恋人はあまりテキストでのやり取りが好きじゃなくて、気軽にメッセージが送りにくい。直接自分はテキスト派だとは伝えていて、相手も送ってきてもいいよと言ってくれているけど、テンポとか相手の返信の速さとかそういうので気を遣ってしまう。こういうとき、隣りにいたらなあと思う。ご飯を作りすぎてしまうときも、一緒にいたらなあと思う。一人で桜を見に行った週末も、君は何ていうんだろうなあと考えた。シェアしたい瞬間が多すぎる。週末の電話だけでは伝えきれない。そもそも、電話で伝わるものだけじゃない。私の語彙と体力では電話で伝えきるなんて到底無理だ。自分ひとりでも楽しく生きていけるし、これから友達もできていくだろうけど、君がいてほしい気持ちは今強くあるなあ。

そういえば、働き始めた初日、まだどんな休み方か具体的にわかっていなくて、どきどきしていた。土日休みの君に合わせて会えるだろうか、会えなかったらフルリモートの君には来てもらって一緒に住むしかないな。そのまま結婚したいな。そんなことを考えながら、かすを剥がしたり、冷食を詰めた弁当を食べたりしていた。「4月は土日休みにしようと思います」上司から言われたときは心のなかで君の名前を叫んでいた。

来週君はこちらにやってくる。地震の影響で新幹線がとりづらいから、深夜にバスでやってくる。どんな顔したら良いかわからない。いつも私が寝ている時間に着くバスだから、眠たくて仕方ないかもしれない。迎えに行くときどんな音楽流そうか、いつも帰り道に考えている。なんだか、最近ちゃんと好きだなと思う。電話でそう言うと君は喜んだ。

来る約束、バスの時間、そういうたしかなことがありがたいなあと思う。会いたいという言葉ももちろん嬉しい。好きと言われても、やっぱり目の前にいてほしい気持ち出いっぱいになる私をちゃんと君は受け止めてくれる。

仕事は慣れないし、疲れるし、君には会いたいし、寂しいけど生きている。



いただいたサポートで私はもっと私に優しく生きていきます。銭湯に行ったり、甘酒を作るなど、