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消防署の仮眠室
「仮眠室」
それは至福の空間でもあり、怯えの空間でもある。
昼間の度重なる出動を終え、夕ご飯を食べたあと、この薄暗い空間に1人2人と吸い込まれてゆく。
「夜は平和だといいな」
そう口にしながら、2、3時間程度の仮眠へと向かっていくのだ。
決して良品ではないその布団であっても、横になると「あ〜、、、。」と間抜けな声が出る。
運が良ければそのまま6時30分まで寝ることができる。
そんな事を言っていると、「仕事で寝れるなんて最高ですね」という声が聞こえてくるが、それはとんだばかやろうである。
いつ指令音がなるか分からない状況での仮眠はまさに文字通りの"仮の睡眠"で、ちょっとの物音で目は開いてしまう。
廊下で走る音が聞こえたら、どうしても気になって部屋を出る。
起きている隊員に、「なんかあった?」と声を掛ける。
「あれ?あぽさん。起きたんですか?」
誰か走った音が聞こえたんだけど。気のせいかな。
「何もないですよ?」
あ、、。そう。じゃ仮眠室戻るわ。お疲れ様。
「お疲れ様です😊」
中途半端に寝ているからか、仮眠室には特別な力が働きやすいのかもしれない。
僕は占いは全く信じないし、手相の類も興味はないが、消防署に勤務しているお陰で、霊的な何かはあると思っている。
呪いの何かなのか、地縛霊的な何かなのか、はたまたお礼に来てくれた優しい霊なのか。もしかして何年か前に死んだばーちゃんかな。それなら少し嬉しい。
落武者とか、生首とかは勘弁してくれよ、、、。
そう願いながら布団をかぶり、今日も目を閉じるのであった。
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