サリアとギトラグの怪物はテキストレスが一番強い
サリアとギトラグの怪物
このカードをご存じだろうか。4マナでパワーとタフネスが4。
カードいっぱいに美麗なイラストが描かれており、小難しいテキストは一切書かれていない。
しかしながらこのカード、クリーチャー同士の戦闘になった場合、相手のパワーが10であろうとタフネスが10であろうと一方的に勝ってしまうのだ。
テキストレスフルアートとは
5月からのストアチャンピオンシップの賞品として、サリアとギトラグの怪物のプロモ版カードデザインが公開された。
https://magic.gg/news/where-and-how-to-play-march-of-the-machine
フレームやカード名を除いたスペースのすべてがイラストに使用されており、カードのテキストが一切書かれていない。
これが所謂テキストレスフルアートのカードである。
テキストレスフルアートの歴史
これまでにもマジック・ザ・ギャザリングのカードは既存のカードがテキストレスで登場したことがあり、例えば最近のカードだと「創造の座、オムナス」が居る。
創造の座、オムナスはテキストを持たない所謂バニラカードではなく、収録エキスパンション「ゼンディカーの夜明け」のメカニズムである「上陸」や、キャントリップを持っており、かなりテキストが長いカードだったため、そんなカードがテキストレスになるのか!
と、話題になった。
オムナスのほかにも、これまでに「稲妻」や「流刑への道(パス)」など、様々な有名カードがテキストレスになっている。
テキストレスの問題点
これまでにも様々なカードがフルアートのプロモカードとして登場したにも関わらず、今回私がサリアとギトラグの怪物を話題にしたのには、2つの理由がある。
まず一つ目が
・カードの知名度
そしてもう一つが
・常在能力
だ。
順番に説明していく。
カードの知名度
稲妻や流刑への道は有名カードで、使用できるフォーマットを嗜んでいる者であればカードのテキストや効果を覚えている。・・・といっても過言ではないと思っている。
創造の座、オムナスも登場から一年も経たずにスタンダードフォーマットで禁止されてしまったが、だからこそ。多くのユーザーがテキストを覚えている。
しかしサリアとギトラグの怪物はどうだろうか?
先制攻撃と接死を持っていることは覚えていても三行目以降の効果を把握しているユーザーは少ない。
先制攻撃と接死を持っていることすら知らないユーザーも居るだろう。
サリアとギトラグの怪物を知っているユーザーがそもそも少ないのだ。
常在型能力
稲妻は3点を与えたあと役目を終えて墓地に行くし、オムナスは上陸の効果を処理し終えたあとはパワーとタフネスが4のクリーチャーになる。
所謂「今はバニラです。」だ。
しかしサリアとギトラグの怪物は違う。先制攻撃と接死という能力は、常に発動し続けているのだ。
先制攻撃と接死の能力について今更説明することもないが、冒頭述べた通り、クリーチャー同士の戦闘でほぼ勝てる。と同義である。
現在のスタンダードだとグリッサ・サンスレイヤーが同様の能力を持っているので、経験的に覚えているユーザーも多いだろう。
クリーチャー同士の戦闘になった場合、問答無用で勝てる効果を持っているのだが、カードを見ただけではわからない。
さらに、サリアとギトラグの怪物にはもう一つ恐ろしい能力がある。
「対戦相手がコントロールしていてクリーチャーや基本出ない土地であるすべてのパーマネントはタップ状態で戦場に出る。」
という効果を持っているのだ。
とりあえずチャンプブロックしようと思ってクリーチャーを出しても、タップ状態で出てしまうし、除去を使おうと思って土地を伸ばしても特殊土地しか手札に無かった場合1ターン遅くなってしまう。
こんな恐ろしいテキストが、イラスト性を重視した結果、カードを見ただけではわからなくなってしまったのだ。
サリアとギトラグの怪物はテキストレスが一番強い
強力な効果を持っているのにも関わらず、カードを見ただけではわからない。
相手に与える情報が一番少ないのだから、サリアとギトラグの怪物はテキストレスが一番強いと考えられる。
先制攻撃と接死以外にどんな効果を持っていたか思い出せなかった時に、わざわざジャッジを呼ぶだろうか。
(カードの効果がわからない場合はジャッジを呼ぶことができる。)
また、カードの効果がわからない場合にジャッジを呼ぶことができることを知っていながら、なんとなく面倒だったので特殊土地を置いてしまい、タップ状態で出てしまった時、巻き戻しができるだろうか。
相手は許してくれるだろうか。ジャッジはどう判断するだろうか。
このカードの恐ろしさは能力だけではない。
サリアとギトラグの怪物の効果を完璧に覚えていない対戦相手に、心理的ストレスを与えることができるカードなのだ。
まとめ
サリアとギトラグの怪物のテキストレスフルアートのイラストがどんなに好きであったとしても、無用な争いを避けたいのであれば、通常版のカードを使うことをお勧めする。
そしてマジック・ザ・ギャザリング公式には、今回のサリアとギトラグの怪物のように、場に残り続けて能力が誘発したり、常在型能力があるカードではテキストレスフルアート版を出さないようにしてほしい。
美麗なイラストではあるが、カードゲームのカードとしてはあまりにも不便すぎる。
現在様々なカードゲームでコレクター需要が高まっており、これもその流れの一つであるとは思うのだが、カードはコレクションするためだけのものではないことを思い出してほしい。
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